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35条書面と37条書面の「交付先」の違いを押さえよう

  公開日:2018/04/10
最終更新日:2024/02/28

※この記事は約5分で読めます。

こんにちは、四谷学院宅建講座の甲斐です。

宅建業法のうちで最も重要かつ、毎年必ず出題されるのが35条書面37条書面です。
それと同時に37条書面は、一見すると35条書面と似ているので、混乱しがちなところでもあります。
今回は、35条書面と37条書面の「交付先」の違いを中心に見ていきましょう。

35条書面と37条書面はどのような書面なのか

35条書面とは何か?

35条書面は重要事項説明書ともいいます。宅地建物取引業法35条の規定に基づいて作成される書面であることから、このように呼ばれます。

35条書面は、契約を締結する前に、売主や貸主となろうとする側の宅建業者(宅地建物取引業者)が作成するものです。買主や借主になろうとする者に対して、主に契約の対象となる宅地建物の状況を知らせるために作成します。

そのため、買主や借主になろうとする者は、契約を締結するかどうかを判断するための材料の一つとして、35条書面に書かれている内容を確認します。

37条書面とは何か?

37条書面は契約書面又は契約内容記載書面ともいいます。宅地建物取引業法37条の規定に基づいて作成される書面であることから、このように呼ばれます。

37条書面は、契約を締結したときに取り決める諸条件を書面化したものです。後から紛争が起こるのをできる限り防ぐために作成します。

なお、37条書面と契約書とは、法律上は「別の書面」という位置付けです。しかし、37条書面と契約書を一つの書面にまとめて作成することもできます。実際に契約を締結するときは、一つの書面にまとまっていることが多いようです。

どの宅建業者が作成義務を負うのかは交付先によって異なる

前提として、35条書面と37条書面は、両方とも宅建業者が作成しなければなりません。
もっとも、どの宅建業者が書面の作成義務を負うのかについては、35条書面と37条書面の交付先によって変わります

35条書面の交付先は買主・借主になろうとする者である

35条書面は、主に宅地建物の状況を知らせるのが目的ですから、契約対象の宅地建物の状況について詳しくない、買主や借主になろうとする者が35条書面の交付先となります。

したがって、契約対象の宅地建物の状況について詳しい、売主や貸主になろうとする側の宅建業者が35条書面の作成・交付の義務を負います
これに対し、買主や借主になろうとする側の宅建業者は35条書面の作成・交付の義務を負いません

たとえば、上図のように、Aが宅建業者Bに甲宅地の売却についての媒介を依頼し、Cが買主になろうとしているとします。
この場合、売主になろうとするAの側にいる宅建業者Bが、35条書面の作成・交付の義務を負います。宅建業者Bは、買主になろうとするCに対して35条書面を交付しなければなりません。
これに対し、Cは、宅建業者であったとしても、買主や借主になろうとする側であるため、35条書面の作成・交付の義務を負いません

37条書面の交付先は契約の当事者である

37条書面は、契約の諸条件の書面化が目的ですが、このような書面は買主や借主だけでなく、売主や貸主も所持しておく必要がありますので、契約の当事者に相当する者が37条書面の交付先となります。
したがって、当事者の一方または双方の側にいる宅建業者が37条書面の作成・交付の義務を負います

たとえば、上図のように、Aが宅建業者Bに甲宅地の売却についての媒介を依頼し、宅建業者Cが買主になって、AC間で売買契約が締結されたとします。
この場合、売主の側にいる宅建業者B及び買主の側にいる宅建業者Cが、それぞれ当事者の一方の側にいますので、37条書面の作成・交付の義務を負います

上図における37条書面の交付先
媒介をしている宅建業者Bは、後述する (2) の場合に当てはまるので、両当事者である売主A及び買主の宅建業者Cに対して37条書面を交付しなければなりません。
これに対し、買主(自ら当事者)の宅建業者Cは、後述する (1) の場合に当てはまるので、相手方である売主Aに対して、37条書面を交付しなければなりません。
もっとも、上図のように、複数の宅建業者が37条書面の作成・交付の義務を負うときは、「37条書面と契約書を一つの書面にまとめたもの」を1通だけ作成し、その書面に各々の宅建業者に所属する宅地建物取引士が記名して契約の両当事者に交付する、という方法を取ることが多いようです。

37条書面の交付先のまとめ

最後に、37条書面の交付先をまとめると、次のようになります。

(1) 宅建業者が自ら当事者となって売買契約を締結した場合

売買契約の相手方が交付先
(上図では宅建業者Cが当てはまります)

(2) 宅建業者の媒介により売買・貸借の契約が成立した場合

売買・貸借の契約の両当事者が交付先
(上図では宅建業者Bが当てはまります)

(3) 宅建業者が代理して売買・貸借の契約を締結した場合

売買・貸借の契約の相手方と代理の依頼者

●2021年成立の法改正で、35条書面、37条書面、媒介書面(34条の2書面)の電子化を認める内容が盛り込まれ、2022年5月18日に施行されました。施行日が2022年4月1日以降であるため、2023年度(令和5年度)宅建試験において出題範囲となります。
●2021年成立の法改正で、35条書面、37条書面において押印を不要とする内容が盛り込まれ、2022年5月18日に施行されました。施行日が2022年4月1日以降であるため、2023年度(令和5年度)宅建試験において出題範囲となります。

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