みんなの学び場美術館 館長 日下育子です。


今日は、素敵な作家をご紹介いたします。
版画家の 神山 歩さんです。



神山 歩さん 

以下、2016年6月の再放送でお届けいたします。
前回、有馬寛子さんのご紹介でご登場いただきます。

有馬寛子さん
第1回  、第2回 、第3回 、第4回 、第5回 、第6回

神山 歩さん
第1回 ~一番苦手な木版画を直感で選択しました~

第2回の今日は、制作テーマについて伺いました。 
神山さんは制作する動作のリズム感をテーマにされているとのことです。


どうぞお楽しみいただけましたら幸いです。

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『the dream of grape』木版画2008 700
『the dream of grape』
木版画2008



『Grandpa's word』木版画2009 700
『Grandpa's word』
木版画2009



『Alphabet-1』木版画2011 700
『Alphabet-1』
木版画 2011



『Alphabet-2』木版画2011 700
『Alphabet-2』
木版画2011



『雨音の道』木版画2013 700
『雨音の道』
木版画2013



drawing2013.5.1_2 600
drawing2013.5.1_2



2006_14 700
2006_14



drawing2012.10.22 700
Drawing2012.10.22_2



drawing2015 700
drawing2015



日下
私は神山 歩さんの作品を拝見してすぐに感じたのは「明るく、さわやか、透明感がある、楽しい!」ということでした。
作品からもドローイングもからも、とても楽しんで作られているような感覚が伝わってきます。ご自身は制作テーマを持って制作されていますか。


神山 歩さん
作品テーマは、突き詰めていくと“楽しい”とか“心地いい”とか、そういうところなんです。大学院の論文で「版画制作におけるリズムについて」という論文を書かせていただいたんですが、作品を作る時の「楽しい」「嬉しい」「気持ちいい」「心地よい」感覚って、一体どこから来るんだろうか?ということを考察していきました。

結果、私は、版画の彫刻刀で木を彫った時の抵抗感とか、制作するときに広がるたくさんの色の視覚的な楽しさとか、バレンで摺っている抵抗感や身体全体の動き、霧吹きで版木に水をかけ湿す時の触覚や霧吹きを握るあの感覚・・・・・、すべての過程にあるリズミカルな感じが、とっても楽しくって、心地よいなって思って。


日下
はい。仰る通り、制作を想像すると本当にそうなんでしょうね。(納得)


神山 歩さん
彫刻で言えば、木や石を彫るときに自分と体の間で何かしらの抵抗が起きるじゃないですか。その抵抗を生み出す過程には、自分の手だけじゃなくて彫るための道具も関わってきますよね。最初は面倒くさくて仕方なかった版画の過程も、繰り返し続けていくことで身体の中に刻み込まれていって、心地よさを感じる程になっていって。

クレヨンや色鉛筆、水彩絵具でのドローイングもしますが、自分の心に湧き上がった感覚を、クレヨンや色鉛筆、水彩絵具を使って描き続けることで、気持ちよく紙に刻み込んでいけるようになりまた。

そのため私は、自分の感覚の中にある楽しさや心地よさを大事にしています。線を引きたいなと思った時に、線を引くんです。自分に嘘をつかないことを、大事にしていますね。


日下
自分に嘘をつかない、というのは素晴らしいですね。そうですね。大切なことですね。


神山 歩さん
もし、わたしの作品にリズム感が現れているとしたら、観る人が作品から受け取るリズム感も、とても大切にしています。
私の絵はすごく抽象的なので、人によって様々見え方が違ってくるんですね。もちろん、私はその抽象のなかに、表現したいものを込めているわけですが。私の絵を見て「これはなんだろう、人の顔かな、蝶々かなぁ」なーんて、色々感じてくれるのはすごく良いことだなと思って。

全然絵が好きじゃない方も、なんかこれいいとか、こんな気持ちになるねとか、こんな形に見えるねとか、楽しんでいただいて、自由な解釈が出来たらいいなって私は思っています。


日下
それはとっても素晴らしいことですね。 先にお話してくださった、リズムっていうのは私にもすごくよく伝わってきていて。私、そういう意味で好きだったのは2011年のアルファベット2つ。これはすごくリズムが感じられます。


神山 歩さん
ありがとうございます。


日下
棟方志巧が版木を彫っている映像を見たことがありますが、すごく勢いよくて神山さんのお話がとてもよくイメージ出来ます。


神山 歩さん
彫っている姿とか、描いている姿を見てもらった方が面白いんだろうなあと思います。棟方志巧・・・まさにあんな感じで彫るので。


日下
とはいえ、実際に作っているところは人には見せにはならないんでしょ。


神山 歩さん
アトリエを借りていなくて家で作っているので、多分誰も知らない。大学の時は同じアトリエの人がいたので、楽しんでくれましたけどね。「おもしろーい!」って。


日下
いいですね。作品から伝わってくるものがとても綺麗で、すごく明るいから良いなと思って。


神山 歩さん
ありがとうございます。


日下
今日もとても新鮮なお話をお聴かせいただきましてありがとうございました。



『マイ・マイ』木版画2009 700
『マイ・マイ』
木版画 2009



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編集後記

今年2016年3月17日~4月21日に全6回で掲載した彫刻家 有馬寛子さんのご紹介により、今回初めて神山 歩さんお話をお伺いしました。
私が神山 歩さんの作品写真を初めて拝見した時、すぐに感じたのが「明るく、爽やか、透明感!楽しい!」ということでした。 
私は木版画の経験は少ないのですが、版木を「彫る」ことについてお話いただいたとき、その体感がよくイメージできることもありとても楽しくお話を伺いました。また神山 歩さんの制作に対する思いをお伺いすると、姿勢が明快で迷いのない感じがとても心地良く感じられて、とても共感いたしました。

神山 歩さんは東京芸術大学大学院の美術教育研究室のご卒業でいらっしゃいます。制作者であると同時に学童保育の指導員として、これまでに学ばれたこと、ご自身の体験を踏まえてお仕事に誇りを持って携わっていらっしゃるところがとても素晴らしいと感じました。

次回は神山 歩さんの制作について、ご自身の深い思いをお聴かせいただきます。
どうぞお楽しみに。

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神山 歩さんのホームページ


◆神山 歩さんが掲載されているWEBページ

ART tokyo インターネットギャラリー

かわかみ画廊


◆神山 歩さんの略歴
  第1回 ~一番苦手な木版画を直感で選択しました~ (記事終盤に掲載) 

 

本日もご訪問くださいまして、ありがとうございました。

 

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