ナオミが映画レビューする!

ナオミが映画レビューするブログです。日本映画、海外映画、アニメ映画などジャンルは色々。個人的な感想が満載の「なんちゃって」レビューです!



原題の意味どころか、映画の内容や主題までをも歪めてしまう、悪い邦題が話題になりやすい昨今ですが、今作に関しては、日本語版の『リメンバー・ミー』というタイトルは、映画の内容を的確かつ端的に表していて、原題『COCO』よりも、むしろピッタリなのではないか…と思いました。



アメリカに住むメキシコ移民のためにつくられた、メキシコを舞台にしたアメリカ製アニメ映画、ということで、本国では英語のタイトルをあえて避けて、『COCO』というタイトルにしたのかな、という気もしますが、日本人の観客としては、『リメンバー・ミー』という劇中歌の印象的なフレーズと同じタイトルで、とてもしっくりきました。



メキシコの「死者の日」を題材にした、不気味ながらも陽気で極彩色の世界観が非常に美しくて、魅力的でした。

メキシコの祖先崇拝の文化は日本のお盆にも通じて、馴染み深く、とっつきやすかった点も良かったです。



『ナイトメア・ビフォア・クリスマス』のハロウィンの国を彷彿とする、オレンジの色彩と、ガイコツという組み合わせには、ディズニーランドのハロウィン・シーズンのコンテンツを増やすために作ったんじゃないのか?なんて、邪推してしまいそうになりましたが、映画さながらのフェイスペイントやメキシコ風のお祭り、コンサートをパーク内で再現してくれるなら、絶対に足を運んでしまう…と思いました。



女が強い家庭、特に、厳しい祖母に躾けられた経験のあるひとなら、主人公の気持ちが痛いほどわかる…と思います。

おすすめです。






終戦からは僅か5ヶ月後の昭和21年1月、佐渡島の海辺の小村、高千村に英国軍輸送機が不時着した。

上海の英国総領事を乗せ、東京に向かう途中、エンジントラブルで緊急着陸したのだ。

総領事は船で東京に向かったが、残された輸送機「ダコタ」(ダグラスDC−3の英軍向けモデル)と英国将兵をどうするか——5ヶ月前まで戦争をしていた敵国の将兵に、最初は緊張していた村民も「困った人を助けるのが佐渡ン者(さどんもん)だ」と、村長以下団結し、再び「ダコタ」を舞い上がらせるため、海岸に滑走路を作ることに協力するのだが・・・


映画「飛べ!フェニックス」のようなエピソードが、この日本でもあった事にまずは驚きです。

そして、それから64年後。高千村をひとりの英国人が訪れ、彼の父が不時着した「ダコタ」の乗組員であった事と、もう1度佐渡に行きたいとの願いを叶えられずに他界した事を告げた、と言うのです。

この国境を越えた絆の物語を、このまま風化させてはいけない、との思いで作られたのが、この映画です。

映画製作費は2億円と、日本映画としても低予算の部類になりますが、それでもタイからDC−3の実機を引っ張って来るなど頑張った部分もあり、地元の多大な協力も得て、なかなか見応えのある映画になっています。 


基本的には、「ダコタ」の不時着から、修理して再び飛ばすまでを史実に基づいて描いて行くのですが、その背景に、かつての敵国将兵を助ける事への葛藤、そして、軍国教育を受けていた若者の、終戦を機に姿勢を一変させた大人たちへの不信感、そして、出征した息子の帰りを待ち続ける母親と、様々なエピソードを絡めて行くのは手堅くも良心的な作り。



時代は南北戦争中、南部の女子寄宿舎に助けられた北軍の兵士ジョン。

そのジョンをめぐる女性たちの諍いです…で終わったら話は簡単なのですが、女性監督だけにわかりやすく作られてはいませんでした。



おそらく長い間、先生も生徒も女性だけという生活をしていた彼女たち。

先生から一番年少の生徒まで、迷い込んだ男性に興味を持ちます。

敵軍の兵士ということもあり、最初は警戒していた彼女たちは次第にジョンと友人のようになります。

ジョンもずっとここにいたいと口にします。

女性のひとりと特別な関係になろうとします。

そうするうちに思わぬ展開になるのですが、BGMもなく淡々とストーリーが進むのです。

隔絶された女子寄宿舎という独特感は、こんなことでも表現に厚みが出されています。



史実には基づいていないけれど、彼女たちの衣装がみんな白くて、しかもおそろいではなくて興味を惹かれました。

質素と清純を意味したかったのでしょうか。

でも特別なディナーのときは個性的な色彩のドレスで、そのコントラストも意図したものがあるのでしょう。

南北戦争ものなら必ず黒人の従者がいそうなものですが、黒人を出すとそこにも焦点が当たるとのことでキャスティング無しでした。

女性の感情を描くことをぼやかさないためにはそれでよかったと思います。



女性たちが最後に並んで門の外を見るシーンはちらしの写真にもなっていますが、その表情が印象的です。

私たちは全員で同じ秘密をもってしまった。

小さい子もおとなの先生もみんなこれからの人生にこの重荷を背負って歩くのです。

でも進むしかない…という顔でした。

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