象が転んだ

たかがブロク、されどブロク

野球とニューヨークに見る、”敗者のスポーツ”としてのベースボールと、その7。〜スタインブレナーの支配と、放映権という化け物と〜

2018年05月20日 12時25分07秒 | 野球とニューヨーク

 ”ノクターナルアニマル”のレビューブログを読んで下さった方、どうも有難うです。妻に逃げられた、売れない作家の復讐劇、実に渋かったすでね。
 私だったら、ブロンドの元妻の弛んだ顔面に、一発ズドンと食らわせたいんですが。そんな勇気があれば、不幸には陥らないのですが(笑)。


 大谷は5月に入っても良さげですな。打つ方ではタイミングをコンパクトに取る事で、上手く対応してますね。投げる方では防御率も3点台で、日本人メジャーの中ではトップですよ。でも、出だし良すぎで少し心配ですが。


 さて本題に入ります。

 国技と呼ばれたベースボールは、フェアとスポーツマンシップという精神と一体化したものであった筈だが。これが実際に生かされるのは、皮肉にも遠く離れた日本での事。

 しかし、アメリカではそうは行かなかった。このベースボールに不正の道筋を付けたのが、(その6)でも述べた様に、全て、W・ツウィードたちの仕業とまでは言わないが。間違いなく彼らは、それに油を注いだ張本人ではあった。


 ”アメリカ社会の最も良い所を例証してるとされるベースボールが、実はアメリカの悪徳の象徴のような人達に操られてたとは、何とも皮肉だ”(S・リース)。

 国技として、アメリカの国民性の良さを象徴する筈のベースボールが、実はインチキ&イカサマの手に支配されてたという逆説は、1901年から1920年まで間、大リーグのオーナー18人のうちの17人までが、悪徳政治家と関係を持ってたとされるなら、十分に成立する。


 ”ニューヨークの市技”として発展したベースボールと、”校技”として始まった日本の野球との違いに、アレン・ガットマン教授は、”ベースボールは敗者のスポーツ”とまで言い切る。

 ”a sports for underdogs”

 元々、”中産階級”のスポーツだったベースボールは、急増した移民の愛好のスポーツとなるに及び、”中の下(underdogs)”にまで成り下がった。
 ”フェアの精神とはエリートの精神”であり、フェアプレーが称揚されるクリケットに対し、ベースボールでは”正直者がバカを見る”が幅を利かせた。

 
 日本人がベースボールをアメリカから移入して、野球として受け入れた後の苦心の深さと大きさが、どんなものであったか。異国のスポーツを輸入するにしても、それが”普通の”ものならば何の努力もいらない。”善いもの”を善いものとして紹介するに、何の無理も格別の工夫もいらない。

 しかし、インチキやイカサマを内包してるゲームとしてのベースボールを、若者たちの健全なスポーツとして世に広めるには、マイナス面からの格上げが必要なのだ。


 ”野球の面目、ここに一変し、精神を主とし、修養に資し、品性を研ぐの具なるなり”とある様に、一高において一変して高められたベースボールの精神は、中等学校、小学校、大学、社会人、そして全国へと広まった。

 ”下層のスポーツ”であり、”敗者のゲーム”であり、”賤技としての野球”を、スポーツマンシップの養成場へと一変させ、フェアプレイの精神を宿らせた。
 明治以来、本場以上の価値を築き上げ、それを守り勝つ磨き上げてきた。そして、日本人はアメリカのように、野球を低く見る事も、軽く見る事もなかった。誠に偉いですな、日本人は。
 意外にもベースボールの完成形は、非力ではありますが、日本の”高校野球”にあるのかもです。

 
 現代版のW・ツウィードとも言われるスタインブレナーは、1973年にヤンキースを1000万ドル(30億円)で買収し、彼が死ぬ2010年には16億ドル(1440億円)にまで資産価値を引き上げた。カネに糸目をつけぬ勝利至上主義は、ツウィード親分以上だし、市の財政からのカネの引き出し方も、ツウィードのやり口と全く同じだ。

 でも、資産価値が上がるのはいい事だが。この額で、誰が好き好んで今のヤンキースを買うのだろうか。売れなければ資産価値も何もないだろうに。


 ステロイド疑惑とストライキ騒ぎで損失を出したコミッショナーとしては、多少イカサマな行為があったとしても、ファンを喜ばせる活躍さえすれば、客足は戻るだろうと、悪事に目をつむった結果でもあった。
 事実、放映権のお陰でカネは戻ったが、客足は遠のいたままだ。

 放映権を馬鹿デカイ額で売り捌き、私腹をたんまりと肥やしたバド・セリグ元コミッショナーも、ツウィード親分やスタインブレナーと同類であろうか。お陰で、スポンサー潰れによる放映権の空洞化が進み、大リーグに往年の輝きはない。

 ツウィードやスタインブレナーも悪いが、汚いという点では、このバド•セリグも負けてはいない。フルタイムのコミッショナーでいながら、ブリュワーズの役員としての給与も貰ってる。

 WBCの開催やステロイドの放免と、色んな失策もあるが。MLB史上最高の経済的繁栄をもたらしたとの評価が高まるのは、事実であっても、果たして真実であろうか。

 お陰で彼は、270億の大金を稼ぎ出したとの噂は本当か?それでいて、殿堂入りなのだ。ならば、ボンズもマクガイアも殿堂入り確定だろうに。

 アメリカって、金さえあれば名誉も買える超便利な国だ。


 今、大リーグは既に空洞化してるし、腐リつつある。いや腐ってる。大リーグは今、浄化を必要としてる。それも大谷という日本人メジャーを使って。
 
 しかし、それには大谷がルースになるという条件付きだ。かつて、ルースがアメリカを、ベースボールそのものを、ニューヨークを、アメリカのプロスポーツの在り方をも、変えた様に。

 大リーグが、これまでのイカサマと商業主義を切り捨て、新しい時代へと向かうのか?それとも、今のまま汚辱と不正を続け、放映権という化け物に目がくらんだまま、破滅へと向かうのか。


 私的には、大リーグは消滅すると思う。バブルみたいに膨らんだ放映権料と共にです。腐敗し切ったこの放映権こそが、世界中のプロスポーツをも駄目にすると。

 追記、”野球とNY”ブログのサブタイトルをそれぞれ変更します。悪しからずです。 



2 コメント

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メジャー崩壊のシナリオ (paulkuroneko)
2018-05-22 16:12:09
こんにちわ。

メジャー崩壊ですか。でも、実際にどういった過程を経て、消滅するんでしょうかねぇ。野球好きな僕は、自分なりにシナリオ立てたんですが。
 
先ず、放映権が膨らみ、それに従い、観客動員が冷え込む。球団側に極端な二極化が進み、贅沢税では補いきれなくなる。実際、今でも30球団の内、黒字は5球団程ですかね。既に空洞化だけの問題では済まされなってきてますが。

新コミッショナーは、とうとう球団削減を提案。中地区が段階を追って消滅し、30球団から東10チームと西の10
チームの合計20球団に。それでも観客動員の減少に歯止めが効かず、コミッショナーが退任。頼みの放映権もバブルが崩壊し、とうとう国の監視と管理の元になります。

国営ベースボールに成り下がる。放映権に頼れない為、極端なサラリーキャップや格安チケットの導入、カジノの賭けの対象にしたりと。それに、大リーガーの年金に高額な課税を課すなど、益々選手の国民のメジャー離れを加速させる。

結局、国営ベースボールとして起死回生を図るのですが。時すでに遅し、僅か数年で崩壊し、MLBの全ての権利を、中国とインドと中東が運営する企業に売り渡す。これに、日本と韓国と台湾、それにオーストラリアが加盟し、WBL(ワールドベースボールリーグ)が誕生する。

と、こういった流れですか。ところで、転んださんは、このシナリオどう思われますか?悪くはないでしょう?
Re:メジャー崩壊のシナリオ (lemonwater2017)
2018-05-22 22:47:25
paulさん、100点満点の解答、有難うです。

 メジャーが崩壊し、ワールドリーグに繋げる所は流石ですね。頭下がります。バドセリグが仕掛けた放映権の巨額なバブルの収益が、逆に裏目に出そうですね。お陰で、球団は観客動員に背を向ける傾向にありますもの。

 それに、ルールが複雑で試合時間が長いなベースボールが生き延びる余地は何処にもないかと。かつて同じような目にあった、クリケットと同じ運命を辿る気がします。

 ルールを簡潔にして、試合時間を短くしないと。そこで、”タイブレークベースボール”の提案。一死満塁の状況でイキナリ行う。回が終ってリードした方が勝ち。殆どが1イニングで終わる。
 3セットマッチにして、2セット先取制。殆どが1時間程で終わる。各チーム、一番から強打者を揃える。ブルペンも剛球投手ばかり。力対力のオンパレード。これこそが新世代のベースボールの姿ですな。

 どうです?paulさん。悪くはないでしょう?

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