少女は一人 傘を掴み
少し遠くの 空を見ている
降って来たのは 銀の羽
炎を纏って 落ちる鳥
焼けた港で 少女は一人
沈みかけた 船を漕ぐ
少女は一つ その一つ
黒い海に 言葉を浮かべる
「 雨を待ってます。 」
「 雨を待ってます。 」
少女は一人 傘を握り
倒れた家の窓を 潜っている
焼け残る 焦げた絵本
首の落ちた ぬいぐるみ
誰もいない校庭に 少女は一人
炭の鉄棒で 逆上がり
少女は一つ たった一つ
空との境に 言葉を差し込む
「 雨を待ってます。 」
「 雨を待ってます。 」
焼け野原の片隅に 一輪の花がある
乾涸びた湖の 水溜りに魚がいる
入り込む倒木の下 雛鳥が泣いている
傘以外燃え去って 一人少女がいる
それだけ 一つだけ
少女は待っている
まだ あるもの のために
少女は 傘をさす
「 雨を待っています。 」
「 雨を待ってます。 」
「 雨を待ってます。 」
「 雨を待ってます。 」
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