ほかに理由などはありませんでした。

その日は日曜日でしかもバカンスの最後の日だったので、

一日の生活時間のリズムが遅れ気味になっていました。

午後1時を過ぎても昼食の支度は整っていませんでしたが、

私はテレビを横目にそろそろ昼の準備をと思っていました。

ところが、その矢先のことでした。

突如1男が玄関を指差して、叫んだのです。

「あれっ、3男くんの靴ないよ…」

 

はっと見ると、確かに3男の靴がありません。

部屋で寝ているとばかり思っていたので

いささかびっくりはしましたが、

内緒で外出することだってアリでしょう。

「休みの最後の日に、友達とでも会ってるんだろうか。

もしかしたら GFなのかもね…」

あくまでも、暢気にかまえていた私でした。

「午後の適当な時間には帰ってくるでしょ。」

翌日からは学校で その日のうちには

来年の進学希望の書類を作ることになっていたので、

私はそう思っていましたが、

時間が4時、5時をまわっても

帰ってくる気配はありません。

 

「彼女との逢瀬で よっぽど帰りたくないのかな…」

 

その時点でもなお私は、

「内緒で外出している3男」を疑うことすらしていませんでした。

それでも翌日の学校の支度はあるわけで、

あまり邪魔はしたくなかったのはやまやまでしたが、

夕刻に3男の携帯に電話をしてみました。

しかし、それはすぐに留守電に切り替わってしまいました。