前略、さようなら。

一文字一文字を記していくことですべてを過去にしていきたい。

夜の仕事をしている人は夜の空気を纏っている

 

 

以前、誰かに言われました。

水商売、特に夜の仕事やホステスは常に

「暗闇を纏っている」

「闇に同化する」と。

 

 

 

 

ホステス、コンパニオン時代

同業の人ってすれ違うだけでも分かるの

昼間だろうが

昼職中であろうが

あれってそういう事なんだろうね。

 

 

果たして私もそうだったのか?と今更ながら思う。

 

 

 

だって、よくお客様から言われていたのが

「本当は何の為にいるの?」って。

「この店のホステスっぽくないよね」って。

 

 

通っていた歯医者の先生にも

「さとうさんって何してる人なの?」

「物書きさん?」

「謎だよね」って。

 

 

 

ただのホステスですとは言えず・・・。

 

 

 

ホステス従業員時代

一見さんと思われるお客様が一人でお店にきた時

ママは私を席につけた

 

 

そのお店、一見さんって珍しかったのよね。

 

 

 

そのお客様は芸術家っぽい雰囲気で

ボトルは入れず

薄暗いボックス席を好んだ。

 

 

その後、時々ふらりとやって来るようになって

ボトルを入れてくれて、私の固定客になった。

不景気になってきた時代なのに

必ずチップをくれて、他のホステスにも快くドリンクを飲ませてくれた。

 

 

魅力的なおじさんだったんです。

 遊び上手でユーモアがあって。

 

 

そのおじさんから言われたのが

「さとうさんがこの店で働く理由は何?」

「潜入取材かなんかなの?」

「本でも書くんでしょ?」

でした。

 

 

いくら否定しても信じてもらえないので

どんな本にしたら面白いかを一緒に考えたり

私が身に着けている物をいつも面白いと言ってくれるので

着けていたイヤーカフをその場であげたり。

 静かなのに楽しい時間でした。

 

 

 

 

私の友達でホステスしてる子は

やっぱり夜を纏っている。

 

 

そうかと思えば全然纏っていない子もいる。

 

 

「夜に飲まれるな」

「闇に染まるな」

よく言われてた。

 

 

 

そういう意味では私は闇を纏っていなかったのだと思う。

しかし、昔から物書きに間違われる事が多いです。

逆に何でそう思うのか聞きたい。