ちょっとだけ想像してみてください 来月のあなたはどれくらい意志力を高めることができた超人になっていますか?
悪い習慣を捨てて良い習慣を継続するため、「自分を変える」本の実践記録の連載シリーズ
来月のあなたは意志力を高めることができているか!
あなた2.0に会う
さて前回の予告で書いた「あなた2.0」というのはいったい誰なんだろう?
まずこのセクションでは「あなた」と「あなた2.0」の特徴について説明されている
「あなた」というのは、まぎれもない現在の自分自身のこと
- 物事を先延ばしにしがち
- 衝動を抑えるのが苦手
- 運動するのも好きじゃない
- 書類仕事を片付けるのが面倒
- 洗濯するのも面倒
そして「あなた2.0」はこんな人だ
- 物事を先延ばしにするなんて考えられない
- どんなに退屈な仕事や難しい仕事でもさっさと片付けてしまう
- ポテトチップスもバーゲンセールもきっぱりと退ける
- イケナイ誘惑にかられても欲望を抑え込み、これも見事に退ける
で、あなた2.0とは結局誰なの?
まあ予想がついているとは思うけど、あなた2.0とは「未来の自分の姿」だ
未来の自分とは言っても、「この連載を全部読んで意志力を高めることに成功して、こんな素晴らしい人になっているでしょう!」というワケじゃない
正確な言い方をすると、あなた2.0とは「未来の自分を想像したときの姿」のことなんだ
「今日中にクローゼットの片付けをしたほうがいいかな、それとも明日にしちゃおかな」といったことを考えたときに思い浮かべる「明日の自分」のこと
そういった想像をするとき、必ずといっていいほど未来の自分は現在の自分より時間もエネルギーもあって、意志力が強いことになっている
- 今の自分と違って、まじめにエクササイズをやるに決まっている
- 未来の自分ならファストフード店のメニューでも一番ヘルシーなものを注文するに決まっている
だから今日は動脈が詰まりそうなほどコッテリしたハンバーガーを食べたってまったくかまわない!
ようし、どうせ今日は食うことに決めたんだ、ナゲットもつけよう!
とまあこういう考え方をしてしまうんだよね
人はつねに「将来の自分」を過大評価している
さっき見たとおり、人は未来の自分のことをまるで別人のように考えて、すっかり理想化してしまっている
いまの自分の手に負えないようなことでも、未来の自分ならできるはずだとタカをくくっているんだ
未来の自分も今の自分と同じようなことを考えたり感じたりするだろうとは思っていない
そして現在の自分が決めたことで未来の自分が重荷を背負うことになり、結局あとでツライ思いをするのは自分自身
いかに自分を過大評価しているかの証明
人がいかに自分を過大評価しているかを証明する4つの実験を紹介しよう
現在の自分・未来の自分・他人がやることを選びなさい
まず1つ目はプリンストン大学の心理学者 エミリー・プローニンによる実験から
この実験によって、先のことを的確に予想できないせいで未来の自分のことを他人のように考えてしまうことが証明されたんだ
まず実験に参加した学生たちは自己コントロールに関する選択をするよう指示を受けた
- Aグループ:今日やろうと思っていることを選びなさい
- Bグループ:あとでやろうと思っていることを選びなさい
- Cグループ:○○君(他の学生)がやるべきだと思うことを選びなさい
Aグループは「現在の自分」、Bグループは「未来の自分」、Cグループは「他人」に対するタスクを設定してるワケだね
すると現在の自分のことはストレスの多い状況から救おうとするのに、未来の自分に対してはまるで他人のように重荷を押しつけることがわかった
ケチャップと醤油を混ぜた液体を飲ませる
次は「科学の発展に寄与するために」ケチャップと醤油を混ぜた液体を「どれくらいの量なら飲めるのか」学生たちに自分で決めさせるという実験
- Aグループ(現在):「数分後に飲んでください」と言われた
- Bグループ(未来):「実際に飲んでもらうのは次の学期です」と言われた
- Cグループ(他人):「次にこの実験に参加する人はこのドリンクをどれくらい飲むべきでしょうか」と質問された
Aグループは「スプーン2杯なら何とか飲める」と答えたのに対して、BグループとCグループは「約半カップ」と回答
大さじ1杯15ccだから、2杯なら30cc……半カップは100cc……3倍以上も多く予想したんだね!
人助けのために提供できる時間は?
学生同士で勉強を教えてやれる時間を答えさせる
- 「今学期中にあなたはどれくらい教えられますか?」と聞かれた
- 「次の学期ならあなたはどれくらい教えられますか?」と聞かれた
- 「あなた自身ではなく、一般的に学生は仲間のために勉強をどれくらい教えてやるべきですか?」と聞かれた
「次の学期」で聞かれると「85分」と回答したのに対して、「一般的に学生」は「120分」と大きく伸びた
そして肝心の「現在の自分」はというと……たった「27分」
おい
いま少額のお金をもらうか、あとで多額のお金をもらうか
前々回の記事『10分待て!意志力を高めるまで!』や、前回の記事『背水の陣が意志力を高める』に出てきたのでもうお馴染み、マシュマロ・テストだ
- 「現在の自分」の希望
- 「未来の自分」の選択を予想
- 「他の学生たち」の選択を予想
現在の自分は「少額でもすぐもらえる方」、未来の自分と他人は「あとで多額のお金をもらうだろう」と予想したんだ
なぜ人は先延ばしにしてしまうのか? その理由
やるべきことを先延ばしにする理由は、問題をあっさりと片付けてくれる誰かさんが登場するのを期待しているから
いま自己コントロールの問題でさんざん悩んでいるのに、なぜか未来の自分も同じことで悩んでいるとは思わない
ところが「未来の自分」のその未来が実際に訪れると、「理想の自分」なんてどこにもいなくて、結局「いつもの自分」が決断を迫られることになる
やれるのか!おいっ! ってね
こうして「未来の自分」に期待していたことは、さらにその先の自分へと先送りされていく
マイクロスコープ:「万能の自分」を待っていませんか?
各章で説明するポイントが自分の生活にも当てはまることに気づくための課題、マイクロスコープ
今回のマイクロスコープは「未来の自分に対するイメージ」を観察すること
いまより意志力の強い未来の自分が現れて、大きな変化を起こしたり、重要なことをやってくれたりするのを待っていませんか?
もう少しあとになればあれもやれる、これもやれると思って、やるべきことを無茶なほど増やしすぎていませんか?
きっと明日ならやる気になると思って、今日やるべきことを先延ばしにしていませんか?
実はこれをやらなくなったのは本当に最近の話なんだけど、中長期のタスク管理をするまでは本当に「未来の自分」に対して押し付けていた
あるとき膨大に積みあがったタスクを見て「よし具体的にいつ片付けるか全部スケジュールを決めよう」と思い立ったんだよね
「1日に割り当てる時間は最大で7時間」と決めて、それを分散していくと毎日やっても丸ごと1カ月先まで手一杯になっていることが分かったんだ
ということは、次に何か片付けるなら1カ月以上先のスケジュールにしないといけない
それでも1カ月以内に片付けないといけないことが発生したなら、スケジュールを調整するか他の人に依頼する必要がある
これが理解できていないまま「まぁ今は忙しいけど2週間先くらいなら何とかなるだろ」と安易に考えてしまうのは非常に危険だ
それだけのタスクスケジュールがぎっちり詰まってる状況を見れば「あっ今日サボったら後がかなりしんどい」と感じるので踏ん張れる
まとめ:あなた2.0は超人じゃない
「未来の自分」を想像した姿「あなた2.0」に対する過度な期待は禁物
実際にその未来が来たときに対応するのは「いつもの自分」「現在と変わりない自分」だということを忘れないように
次回予告:未来に行って「将来の自分」に会うと貯金が増える
今回の次回予告はちょっとSFめいてるなぁ
どうやって未来に行くのか なぜ「将来の自分」に会うと貯金が増えるのか
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