こんばんは、アイです。
 日本のスポーツ選手が世界で活躍するニュースを見ると、
我が事のように嬉しくなりますね。

 全米オープンで準優勝した錦織選手に、
先日の中国GPで傷だらけの姿になりながらも踊りきった羽生選手。
体を酷使しながら、これからも活躍を続けていくのでしょう。

 ところで、観客には二種類あると思います。

 ひとつは純粋なファン、あるいは批評家として舞台を見る人たち。
 そしてもうひとつは、自分も同じ舞台に立ちたい、立てるさと
思う人たちです。

 どちらかに優劣があるということはありません。
 しかし後者の場合は、自信が必要です。

 
  

 



 ドラマ「ドクターX」が面白いです。

 米倉涼子さんは相変わらず綺麗だし、
大門未知子という主人公の軸がブレないので、
物語に安定感がある。

 でもシロートはともかく、医療関係者はこの作品を
どう考えているのでしょう。

 面白い、だけどこの作品にはリアリティがない。
 それがアイの感想です。


 
 >大学病院の
医局は弱体化し、医師のヒエラルキーは崩壊。
命のやりとりをする医療も、ついに弱肉強食の時代に突入した。
過酷な労働条件から外科医のなり手は激減。そこに現れたのが、
未知子のようなフリーランス医師たちだ。

 
 このオープニングナレーションからして、アイは違和感を
覚えます。

 大学病院の医局が弱体化したのは、約10年前に導入された
新医師臨床研修制度や、少子化等による医師不足が原因であり、
医師の世界が実力主義なのは今も昔も変わらないのではないで
しょうか。
 
 そもそも弱肉強食とは、何を指して言っているのでしょう。
 『優秀な医師の獲得』という意味でしょうか。それとも
『患者の奪い合い』という意味でしょうか。はっきりしません。

 過酷な労働条件から外科医のなり手が減少しているのは
本当らしいです。

 しかし、医師の総数は確実に増加しているわけで、
やはりシステムの問題ではないでしょうか。そして外科医も、
食道外科とか心臓血管外科とか、より専門特化したことにより
結果的に何でもやる一般外科医が減少したという見方もあるの
ではないでしょうか。

 外科医が減少しているとしても、東京のような都心部はもちろん、
名門と呼ばれる病院には十分な数がいるはずです。

 フリーランス医師たちの活躍の場も、本来は地方や
あるいは医師の確保に苦労している中小の私立病院のはず。
 この作品の舞台が東京で、しかも国立高度医療センター
というのは、だからこそ面白いのでしょうけど、リアリティがない。



 
 この作品の主人公、大門未知子は「神」に近い存在です。

 どんな手術にも対応できる万能の力を持ち、決して失敗しない。

 なぜ失敗しないのか?例えば他の医師には無い
特別な能力があるから、あるいは失敗しても大丈夫なように
二重三重の安全策があるから、そんな小賢しいアンサーはありません。
『手術が上手いから』ただそれだけで失敗しないのです。
もはや人間離れしているといえるでしょう。

 ひょんなことから病院に居着いた大門未知子という神に、
人間たちは己の欲に目が眩んで逆らおうとします。

 だけど結局は、神の意志に添う形で物事が進んでいく。
 それがドクターXという作品です。
 

  

 少子化が進む日本ですが、医大志望者は年々増加しています。

 国公立医大の人気はもちろん、私立医大の志願者は
昨年は約9万人だったのに対し、今年は10万人を超えるとか。

 日本で安定した将来を求めるなら、医師になるしかないんですよ。
 
 弁護士その他諸々の資格を取っても、もはやそれだけで
食える時代ではありません。

 医師だけが安定した将来を約束されている。そう断言していい。
 
 少子化がさらに進み、医師不足が深刻になれば
国公立医大のハードルも少しは下がり、私立医大の入学金も
少しは安くなるかもしれません。

 だけど、医大志望者は今後も増え続けるでしょう。
 文部科学省が医大の定員増加を認めても、追いつかないくらいに。
 結果的に医大の門はさらに狭き門となり、より優秀な才能を
持つ者か、才能は不足ぎみでもそれを補うものを持つ者でなければ
なれない職業となっていくでしょう。

 医師というのは選ばれた者だけがなれる職業です。
 これまでも、きっとこれからも。

 
 


 自宅で白衣にアイロンをかけつつ、録画したドクターXを観るアイ。
 
 主人公の大門を引き立てるためか、ドラマに出てくる他の
医師たちは、いささか情けなく描かれています。

 面白くても、こういう描き方はしてほしくない。

 ライセンスホルダーには敬意を払うべきです。
 
 アイたち薬剤師にとって、医師たちは先生でもあり、
ビジネスパートナーでもあります。

 少なくとも、無資格なうえにろくに勉強もしていない
メディアなんかが貶めていい存在なんかじゃない。

 そりゃ人格に問題がある医師もいるでしょう。
 しかし人格に問題があっても、人並み以上の能力を持ち、
そして本気になれば大抵のことは実現してしまうのが、
医師という方々なのです。




 画面に映るのは、女に約束をすっぽかされて
ショボンとしている海老名教授。

 まあ、無いとは言い切りませんけど、実状を知らないな。

 男の医師はよく浮気するといいます。ですがそれは、男だけでなく
女にも原因があるのです。

 できる医師はモテるんですよ。女のほうからすり寄ってきます。
 どうせ奥さんや彼女だって、元はそのうちの1人でしょう。
 程々なら勘弁してあげてください。

 アイの知ってる医師の中で、某名門高校を3番以内の成績で
卒業して東大医学部に合格したエリートがいますが、その人は
モデルさんと結婚しました。なれそめは、女のほうが診察中に
電話番号を書いた名刺を置いていったとか。たいした自信です。

 誰もが目にしたことのあるテレビのお天気お姉さんも、
旦那は医師ですよ。

 自身も医師だった作家コナン・ドイルは探偵ホームズに
こんな言葉を言わせています。
 
 『
医者が悪事に手を染めると最悪の犯罪者になる。
 いずれも人並み以上の度胸と知識を備えた連中だからね』
 

 医師がドラマの主役に選ばれることが多いのは、
つまり、そういうことなのです。