トーキング・マイノリティ

　平昌冬季オリンピック開催期間ということもあり、メディアではこの所、オリンピック報道一色となっている。日本選手の活躍やメダル獲得には狂喜する日本人が大半だろうし、私も地元出身の羽生結弦選手が金メダルを取った時は本当に嬉しかった。試合本番前からの過熱報道にはウンザリさせられたが、それでも前回に続いての金メダルは素晴らしい。
　ただ、同じ金メダリストでも小平奈緒選手への報道には複雑な思いになった。ウィンタースポーツにはまるで関心がないため、小平選手の名は今回のオリンピックで初めて知ったが、素直に喜べなかったのは、報道ではやたら韓国の銀メダリスト李相花との友情を強調していたからだ。

　河北新報にも、日韓のスケート選手の友情話を写真付きで第二面に載せていた。ブロガーの中にも取り上げている方もおり、「小平奈緒と李相花の友情に感動した」もそのひとつである。だが、管理人はどちらかといえば保守系の記事を書いており、そんなブロガーでもスポーツ選手の友情物語には感動するのか…と思った。
　私自身は生来のへそ曲がりもあり、この類の報道、殊に韓国絡みとなると気持ち悪い以外の感情しか湧かなかった。小平選手や李自身の言動にではなく、日韓の報道が不快だったのだ。

　報道によれば、李は小平とは良き親友でライバルであり、小平と相花は互いに尊敬しあっていると語っていたとある。小平もお互いの家へそれぞれ招いて、招かれ食事を振る舞ったりしていることを明かしていた。これを以って先のブログ管理人は、「こんな美しい関係を韓国と日本の間で作ることができることが驚きだ」と書いている。
　報道が全て事実だったとしても、キレイごとにしか私には感じられなかった。スポーツ選手が特殊な環境で暮らしているのは日韓ともに変わりなく、例え民族・宗教対立が起きている地域でも、異民族・異宗派個人間で友情関係が生じることはたまにあるが。

　韓国では小平選手を讃える報道がされているそうだが、それが何？と感じたのは私だけではないかもしれない。先の記事に使われている画像も、韓国旗を持って韓国選手を抱きしめている小平選手が写っている。これでは韓国メディアが讃えるのは当然なのだ。もし小平選手が日の丸を持ってリンクに現れたならば、韓国はもちろん日本のメディアも報じなかっただろう。
　要するに韓国に極めて友好的な選手であり、だからこそ讃える報道がされたはず。韓国側が“友情”を強調するのは“用日”の手段なのは想像に難くなく、そのためには何でも利用するのが隣国人である。小平選手の金メダルも、自国のお蔭と思っている韓国人は少なくないのではないか？

　改めて日本人とは、外国人との友情物語がつくづく大好きなのだ、と痛感させられた。特に韓国とのそれは何度繰り返されたのか？個人間では友情も成り立つが、国家や民族単位では殆ど不可能なのに。個人といえども家族や友人、属する集団の影響から逃れられぬし、いざ紛争となれば立場を鮮明にする必要に迫られる。
　私がこのように見るのは、暗黒面につい目が向く傾向もあるが、インド・中東オタクということが少なからず影響していると思う。これら両地域は宗教・民族対立が恒例行事のように起きている処でもあり、それら紛争を無視してはインド・中東を語れない。普段は平穏に暮らしている異教徒や異民族が、何かのきっかけで暴動に発展、凄惨な暴力行為を重ねるのは日本人の想像を絶する。

　印パ分離独立時を描いたインド人作家ビーシュム・サーヘニーの作品『タマス』を読んだことがあり、2006-01-04付で記事にしている。たとえ幼なじみで子供の頃から遊んだ仲でも、異教徒を攻撃する者が登場する凄惨な宗教対立には言葉もなかった。幼い子供さえ異教徒の腹を刃物で刺すのだから、一般日本人からすれば狂気の世界としか思えないだろう。
　これが中世ではなく20世紀半ばの話で、21世紀でも紛争の芽は絶えない。ネット民風に言えば「土人国家」の特殊事情にせよ、世界規模では「土人国家」が大半なのだ。

「小平と李相花の氷上に咲いた友情をいつまでも記憶しておきたい」と思うのは自由である。しかし、年端の行かぬ子供が日本をミサイル攻撃する絵を描き、公共の場に貼りだしているのが隣国なのは、とうにネットで曝されている。スケート選手個人間の友情で関係改善することは決してないと心得ておくべきだろう。

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　「島国根性」
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