『はじめのモモ』 1. 誕生 | ◆笑門来福/夢の円座◆

『はじめのモモ』 1. 誕生

モモわ
桃から産まれて
いー匂い



あまいやさしい匂いにつられ
においをかぎたいもの
羽毛にその匂いをうつしたいもの
ほおずりをしたいもの
もっと鼻をちかづけたいもの
あつまった
あつまった



あつまったものの中には
ちょっとかんでみたいもの
なめるだけでいいというもの
口の中に入れたいといいだすもの
蜜をすいたいもの
たまごをうみつけたいもの
きけんなものもたくさんたくさん
あつまった
あつまった



おじいとおばあは
モモの汗から
飴をつくり
これを食べて
どうかモモを
食べないでおくれ、と
あつまったキケンなものたちを帰らせた



汗からつくった
モモの飴は

淡い果実の甘さに
ほんのり塩味
甘さがよりきわだって
瞬く間に大評判
飴を欲しがるものたちも
またたくさんたくさん
あつまった
あつまった            



つづく2 不思議なアメ