はぎわら_m の部屋
社会・時事批評、オピニオン、初等物理の気まぐれ考究、物理教育放談

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前稿で示した(A)と(B)の立場について、もう少し補っておこう。

(B)の方は、文化的観点を重視する立場と見なすことができるだろう。「人」という語を規定するときに、文化的に培われている観念を大元に据える。人の文化的集団の中で、人が死にゆく過程が何度も目撃され、死ぬことへの恐怖とともに、死なない可能性に対する畏怖のような心理が共有されていくことは容易に想像できる。こうした状況を前提とした上で、客観的(つまり誰も否定できないような)結論を求めれば、死ぬときに初めて人となり得るのだという理解に辿り着くのだ。けっして観念的に結論ありきとしているのではなく、十分論理的な演繹が為されていることに注意しよう。

一方、(A)の方は、集団的文化というよりは、個々人の中で内省を貫くことで、論理は構築されるという立場だ。先ず、絶対に否定されない真理を徹底的に探そうとする。それが、「生きている人が存在する」ことだ。この問題を考えている自分は生きている人なのだから、、と考えるわけだ。ここにおいて、R. Descartesが提示した「Cogito ergo sum」の意味がはっきりする(本当に私はこの歳にしてはっきり解った気がする)。デカルトは、集団文化的な観念を哲学の原理に持ち込むなと言いたかったのだろう。だたし、このデカルトの方法的懐疑に基づいても、大した結果は生み出されない。「時間的将来のことには言及できない」という程度の結論しか出せない。何も間違ってはいないが、何も得られない一種の自己満足的哲学だ、、という辛辣な批評も当てはまるだろう。

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少し脱線気味に話が進んだので、「人は死すべきものである」と、自然科学的論理の話しに戻していこう。

論理的な考察は、客観的な結論を求めて行われるものだ。「貴方はそう思う。私はこう思う。人それぞれだな。」などとなるのを避けるのが、論理の役目のはずだ。しかし、「人は死すべきものだ」を厳格に論理的に扱った結果、全然違う二方向に論理が展開して、別々の見解が得られた。しかも、そのどちらもが、それなりに有意義な意味をもつようだ。いったい論理とは何だったのか?

ちょっと考えると途方に暮れる悩ましい事態に陥ったわけだが、この例を基にして、論理と自然科学、両者の相違、それぞれの本質を次々に明らかにすることができるのだ。

<ing>

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「こんな機能の製品は無いものか、、有名メーカの宣伝では見ないけれど、、」
このような時に Amazonの検索で探して、試し買いしてしまうことが多くなった。
当然のことだが、期待外れの失敗も多々経験した。
そんな中で、期待どおり or それ以上、の製品に巡り合うことも稀にある。
今回は、そんなネット販売上の小物・少額(5000円未満)アイテムを紹介する。
(些細な話題です)

(1) 洗面・脱衣室用ヒーター
洗面コーナー用の暖房器として本格的な製品もあるが、ホンの短時間使うだけ
なので、大げさなものは、コストは高いし消費電力も大きく、無用と考える。
以下の製品は、600Wで十分に温まるし、人感センサー搭載で自動的にONして
くれる。目的にピッタリで快適に使っている。書斎の足元用などにも使えそう。
ドウシシャ セラミックヒーター 上下首振り 人感センサー付
https://amzn.asia/d/5w0V7gw

(2)充電、着脱式の自転車ライト
LEDヘッドライトはこれまでに何度も買ったが、構造、機能、照度の全てで
合格点のものは無かった。以下の製品は(詳細は述べないが)走行時のon・
off制御から、盗難防止の配慮まで、理想の機能を持っていた。ただし、自転
車フレームのフォークにブラケットが溶接してあることが前提の製品。
Hapyson充電式スマートランプ
https://amzn.asia/d/3w3fkTP

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先に、以下のように述べた。

「時間が経過したある時点において、死亡という変化が起きないのであれば、その対象は人の1個体とはいえない。」※
から以下が導かれる。
「生きている人は存在し得ない。」※※

これを基に、いろいろな事が見えてくる。

まず、※と※※は本当に論理的同値であるかどうかが怪しいという観点で議論してみよう。

生きている人が存在しないというのは、明らかに誤っていると思う人がいるだろう。(この場合をAとする)
その時は、偽命題を導く仮定は偽であるという背理法の話しに進むことになる。

あるいは、※なる前提は人の本質を表すから、否定のしようがないと思う人もいるだろう。(この場合をBとする)
その時は、「◯◯は人である」という論理的判定が不可能であることを認識することになる。

実は、上のどちらの解釈も、それなりに有意義な結論なのである。

---
(A)
全ての考察は、人が存在するという前提の上に始まったのだ。明らかに、※※は偽だ。したがって、※と※※が同値であるならば、※も偽となる。つまり、「人の1個体は、いつか死ぬとは限らない」という結論が得られる。
しかし、このことは、我々がもっている自然科学的(生物学的)な知見とは食い違う、、のだろうか?
―そんなことはない。科学的に「人」と称するものの集合を規定するとき、「いつか死ぬ」ことは本質的に重要な要件ではない。例えば、特殊な冷凍保存のような処理を施して、代謝を停止させた生物個体があるとする。その個体の遺伝子を調べて、ヒトの条件に合致すれば、それは人であると判断する。今我々が知っている科学は、このような立場であることが確認されるのだ。

(B)
人が死すべきものであることは、人類の文化の最初期から認識されていることだ。これは、真・偽を論じる対象というよりは、むしろ先験的な大前提のように扱うべきだ。
確かにこれを素直に認めれば、生きている限り、その個体は人とは言えないとなる。しかしよく考えてみれば、それが正統ではないか。一見あたかも人のように見え、人のように生きてきた個体があるとする。しかし、その個体を死刑に処しても死亡しない、、一旦死んだように見えても何度でも復活する、、こういうことが起こったならば、それは人ではない(例えば神だ)ということが明らかになる。このように考えれば、生きている限り人でない可能性が残っているというのは、論理的にはもっともなことだ。

--続く



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当方、コロナ禍に巻き込まれて、予定が全てくるってしまったこの数年であるが、その間オンライン授業の資料などを準備する中で、「科学」や「科学的」の一般的な意味を考える時間を多く持つことになった。ここからしばらく、そのプロセスで辿り着いた私なりの理解を題材にしてみたい。

「科学的」は「論理的」とほぼ同義であると思っている人が多いのではないだろうか。科学的営みの本質はロジカルシンキングだなどと語られることもある。

さて、論理は、命題(述べられた内容が、真か偽のいずれであるかが客観的に判定され得る文)によって構築される。

そこで、はじめに、次の、シンプルな命題を取り上げる。これが正しいかどうかを考え巡ることが、科学と論理の関係を探る最初の取っかかりになるからだ。

「人は死すべきものである」

--
この文章は文学的テイストを帯びているので、先ずそれを取り払ってみよう:
「考える対象が人の1個体であるならば、その対象には、時間が経過したある時点において、必ず死亡という変化が起きる。」

有限時間のうちに死亡する(それ以後人の範疇から外れる)ことが、ある対象個体が「人」であることの必要条件だと言っているわけだ。
首を刎ねても死なないとか、何千年も生き続けるとか、そんなことはありえないという、真っ当な命題のようにも思える。
しかし、これを論理命題ととると、おかしな事態に陥るのだ。

---- 続く
後件の否定を考えてみよう。
「時間が経過したある時点において、死亡という変化が起きないのであれば」
これで必要条件が満たされなくなるので、
「考える対象は人の1個体とはいえない」
が帰結される。(いわゆる’対偶’だが、形式的に扱わず、徹底的に文脈で考えることをお勧めする.)

ここで、ある人の将来の死亡を絶対確実に予測する手段はない(「いつかは死ぬ」などというのは、あやふやな経験則であって、論理ではない.)。
したがって、人であると推定されたある個体について、死亡の成立は、実際に死亡するときまで満たされることはない。
つまり、誰であれ、生きている間は、人であることの必要条件が満たされないということだ。
貴方も私も、(死ぬときまで)人間にはなれない。
もっと言えば、「生きている人は存在し得ない」という一般的内容が演繹的に帰結されることになる。




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我が国の宇宙開発用ロケット技術に関する失敗や事故が続いている。
3月のH3ロケットの打ち上げ失敗については、ようやく原因が特定されたそうだ。

H3打ち上げ失敗の調査完了、原因は2段エンジン制御系の短絡による過電流

 宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、2023年3月7日に発生した「H3」ロケット初号機打ち上げ失敗の事故調査を完了した。

日経クロステック(xTECH)

 

↑この解説を見て、電気・電子回路に関わる技術畑の人ならば、気が抜けるというか、不安に駆られるというか、複雑な心境になったのではないだろうか。
回路素子の中に内部短絡などの不具合を起こすものがあって、設計どおりに動作しないということは、割とよくあることである。ただし、そのようなことは、大量に出荷される工業製品の場合には、対処しやすい問題だ。検査してはねればよい、所謂「歩留まり」の問題の範疇におさまることなのだ。大量につくられるモノに対しては、異常が起きやすい部品、それによって生じる症状、などが統計的な経験値として蓄積できる。そうなれば、検査を、マニュアルにしたがって実行する作業扱いにすることもできる。ところが、宇宙向けの機材ではそうはいかない。試作を含めてもごく少数、本番に使うものは1発限りという世界だ。したがって、ロケット打ち上げ技術においては、開発・設計と同格というほどに、検査・チェックが重みをもつことになる。こうしたチェックは、マニュアルにしたがって期限内にきっちり仕事を為すという意識では成り立たない。起こるかも知れないことを推察・想像し、それがシステム全体にどのように影響するかを考え含めて、場合によっては、納期延長を提案する、プロジェクトの進行にストップかける、設計変更や予備ボードの装備などを強く提起する、、検査する技術者にはこうした行いを躊躇わずに為す立ち位置が求められる。
長年の大学改革の流れを観てきた私としては、日本の国策に根本的な誤りがあったことを痛感せざるを得ない。「階層的な分業」に基づく組織運営の発想が大学に持ち込まれて20年。この方針は、日教組的なものを忌み嫌うというイデオロジカルな心理を底流にして、思慮なく盲目的に政治主導で推進された。言われたことをきちんとやって評価されることを目指す、、この思考の色が、教える側にも学習する側にも染み渡ってしまった。
科学技術を考えるときに、「創出」の役目ばかりに目を向けてはだめだ。生産や検査の場面で、科学的な広い見識と推理力を本気で発揮する、、こうした意思が湧き起こるような、科学技術的風土が必要だ。製造業への派遣が制限されていた1900年代までの日本ではそれがかなり実現していた。ただし、もし、こうした根源的問題に気づき、製造業の雇用形態や大学の運営体制などを今から是正したとしても、技術レべルが回復するためはかなり長期間の年月がかかることだろう。世界がそれを待ってはくれない。鬱々とした思いに苦しむ。

〔追記〕
この20数年、日本(の自民党政治)が指向した社会的改革は、ぼんやり曖昧にされているところを鮮明化して言えば、ひたすら、軍隊型(あるいはマフィア型)の意思決定スタイルを目指してきたと言える。大元の方針がどこでどのように決まったか、それが最良と言えるのか、末端側が考えることではない、意見をもつこと自体許されない、、これがこのスタイルの核心の姿だ。右翼的精神を持つ人はさぞかし美しく感じることだろう。だが、これは、「全容を理解しようとする思考活動を止めよ、諦めよ!」と言うことに等しい。そして、これこそが、新しい科学技術を培う活力を徹底的に阻害する土壌なのだ。
確かに、単に物量を増せばいいだけの仕事ならば、大元などを考える暇に作業を進めた方が儲かると言う図式も成り立つ。しかし、宇宙技術をはじめとして、オリジナルな開拓が求められる場面では、部品一つの作製段階から、全体構成を理解した者が、疑いの思考や推理力を発揮して、最大限のこだわりを込めた仕事を積み上げる必要がある。「下請」スタイルをできるだけ遠ざけ、複数チーム間の意見の交換や情報の共有によって、計画が進んでいく形にしなければならない。
そういうスタイル・気風を予め大学で学んだ若手が、チームのメンバーでなければならない。全くもって当たり前のことなのだ。


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 「逆流性食道炎」は、中年以降の人の多くが罹るポピュラーな疾患だ。日本では、食生活の変化や高齢化の影響で、罹患者の割合が急速に増加し続けているそうだ。食道-胃噴門部の活躍筋が弱まるために、食道に胃酸が侵入して炎症が起こる疾患。首下がりや前かがみ姿勢は間接的な原因になる。症状はけっこう辛く、仕事等の活動の大きな支障となる。悪性疾患でないとは言え、真の完治につながる治療法はなかなかなく、治療はもっぱら、胃酸の分泌を抑える薬の内服にたよることになる。その方式となれば著効を示す処方薬があるので、薬を飲んで炎症をおさめていくことはできるのだが、根本的な治癒を導くものではないので、薬との付き合い方に個々の特性に応じた工夫が要る。今回は、その関連の注意・工夫についてのちょっとした話。

先ず、胃酸分泌を抑える薬として、今日使われるのは次の4種に区分される:M1ブロッカー、H2ブロッカー、PPI、P-CAB (これらの情報はネット上に多数. ここでは触れない.)
よく使われる薬品名:ピレンゼピン、ファモチジン、ネキシウム、タケキャブ(←これのみ唯一の商品名)
効果は、基本的に右に行くほど顕著。医院で処方されるのは、右側3種類。患者側からみて、この3つからどのように処方してもらえばいいかと言う話しを記す。
結論的に言えば、強い症状を止めたいと思ったら、「タケキャブ」に限る。

ファモチジンは効果が弱い。治すというより、(辛いものや油ものをたくさん食べた、夜遅くに飲食したなどで)症状が出そうだと思ったときに、予防的に飲むのに向いている。市販薬にもなっているので、口内崩溶型(ガスター10 S錠等)を鞄に入れておくとよい。

PPIはそこそこよく効くのだが効果が出るのに日にちが必要。さらに「ネキシウム」は、私には合わなかった(むしろ腹痛を誘発する)。形状がカプセルで、しかもその色が無用に派手(毒々しい)であることもネガティブポイントだ。

タケキャブは、顕著な効果を示す。かなり即効的で持続時間も長い(効果は、飲んで1時間あたりから出はじめ、余裕で半日は続く)。腹痛なども出ない(唇が乾いて、塩っぱいような感触を覚えるという副反応があるのだが、このことは薬が効いている期間の確認に役立つ)。さらに錠剤が長細く半分に割れる形が良い。タケキャブの唯一の欠点はやや高価なことなのだが、20mg錠を処方してもらって、それを半分に割り、日によって飲み方を変えることができる。薬価は、20mg 157.9円、10mg 105.3円 なので、10mgとして使う場合でも、必ず 20mgを処方してもらうべきだ。逆流性食道炎では、最初に内視鏡検査をした後は、簡単な問診が行われるだけだ。通院する意味はほとんどないので、医院に出向く回数は極力減らしたい。ただし、1回に処方してもらえる薬の日数分には制限がある。そこで、20mgを1ヶ月分出してもらえれば、2月間もつことになるのだ。また、症状が、朝にひどい場合、夕方にひどくなる場合などあるのだが、半錠ずつ朝夕に内服する方式をとれば、1日中強力に効く。要するに、ひどいときには1日2回に分け服用、おさまってきたら、1日の中のどこかで1回、半分だけ服用するという使い方ができる。これが決定版だ。(症状がひどくなる時間帯があれば、それに先立つ食事の前に飲むのが効果的.)


-----参考となるリンク集------

胃食道逆流症(GERD)と逆流性食道炎/オリンパス(株)
https://www.onaka-kenko.com/various-illnesses/esophagus/esophagus_04.html

NHK健康--胃食道逆流症の症状--【胸焼けの治し方】胃食道逆流症の治療と注意すべきこと/NHK
https://www.nhk.or.jp/kenko/atc_428.html

兵庫医科大学病院>もっとよく知る!病気ガイド>胃食道逆流症(GERD)注意
https://www.hosp.hyo-med.ac.jp/disease_guide/detail/12

日本消化器学会ガイドライン>患者さんとご家族のためのガイド>胃食道逆流症(GERD)ガイドQ&A>Q7〜Q9
https://www.jsge.or.jp/guideline/disease/gerd.html#q1

胃酸の分泌を抑えるお薬(酸分泌抑制薬)の解説
https://www.tanaka-cl.or.jp/health-column/isan/

PPIとH2ブロッカーはどう使い分けるべきか
https://www.m3.com/clinical/open/news/962018

逆流性食道炎は薬で治せる?薬の使い分けとは?(オンデマンド療法のことなど)
https://www.tamapla-ichounaika.com/knowledge/category/post-35616/

タケキャブ錠10mg、タケキャブ錠20mg
https://clinicalsup.jp/jpoc/drugdetails.aspx?code=65139

食道裂孔ヘルニア改善には腹式呼吸?正しい腹式呼吸とは?
https://www.tamapla-ichounaika.com/knowledge/category/post-35111/


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「首下がり」の症状が強く出ている最中は、体の他のトラブルに意識が向かいにくくなる。知らず知らずのうちに他の疾病を悪化させないよう注意した方がいい(病気一般について言えることです)。
意識すべきは、首下がりの症状や治療経緯と連動して生じやすい疾患があることだ。

今回の私のケースで重要となる観点は以下の3つだ:
(1) 首の曲がりは「食道」の形態に直結するので、首下がり状態の間、食道が、極端な前かがみ姿勢のときの向き・形になっている。
(2) 首下がりからの回復を促すためには、横臥姿勢をとることが有効。デスクワーク中、ある程度の時間おきに休んで一旦横になるのがよいし、しっかり昼寝することも効果的と(医師に)勧められた。
(3) 就寝時の枕は低くした方がよい。(ホテルなどを含め)首の姿勢には不自然な厚みの枕が使われている場合が多いので注意する。

以上のどれもが原因となって、発症・悪化しやすくなる病気がある。「逆流性食道炎」だ。実は、首下がりになる前に一度発症したことがあり、もっと早く気づくべきだったが、逆流性食道炎のことは忘れて一生懸命横になる時間を確保していた。枕も薄くした。そのような過程で、のど奥の詰まり感、(時折現れる)痰と胸焼けなどの症状を少しずつ断続的に自覚するに至り、しかもその状態をしばらく放置してしまった後に(首下がりとは別の)医院に駆け込むことになった。内視鏡検査の結果、案の定、(軽度裂孔ヘルニア含む)逆流性食道炎とわかった。

今なお悩みが続いているのは、(2)のジレンマ問題だ。逆流性食道炎を治すには、(胃に物が入っているときは)横にならない方がいい。首下がりを治すには、なるべく横になった方がいい。考えられる対策は、食後すぐになるべくがんばってデスクワークを進めることだ。横になる休憩は食後2時間より後にする。さらに、(3)に関連することとしては、寝る時に左下(右側が上)の姿勢をとることが大切だ(胃の入り口は右側なので)。寝返り打てば元の木阿弥だが、、経験上、意識するとしないとでは、明らかに違う。
以上は、(中高年で)首下がり症候群を発症した方に共通する注意事項になると思う。

逆流性食道炎の処方薬についても追加情報がある。これは次回に。

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(遅まきながら)ここで以下をお断りしておきます。
このブログでは、私個人の経験に基づくことを記しています。状況が共通する人も少なくないと思い、ブログにしているわけですが、もちろん、病状・原因・経過などは人によって違うでしょうから、個別の治療方針は、医療機関でよく相談して進めていくことが基本です。
=====

MRIや血液検査もして、結局、私の「首下がり」の症状に対しては、器質的・内分泌的な異常は認められず、ジストニア(異常な筋肉拘縮)によるものと診断された。しかしこれで、本質的な機序や原因が特定されたわけではなく、言葉が割り当てられただけとも言える。ただし「ジストニア」系統ならば、パーキンソン病ではないとして、治療方針が区別される、、こうした意味があるようだ。(人間の体に起こることは、未だ解らないことだらけと再認識する. 特に神経関係の症状では.)

そこで、診療科が(脳神経内科から)神経筋内科に移り、ボトックス治療を受けることができた次第、、ここまでは既に述べた。
ボトックスは、首の筋肉の物理的動作側面に反映するだけだ。その効果がで出ている間に、脳内プログラムをなるべく速やかに正常化(再構築)したい、、こうした戦いが始まるのである。
その再構築を促進してくれる薬物療法があればもちろん助かる。そのために最初に処方された薬が、トリヘキシフェニジル塩酸塩「アーテン」とゾルピデム酒石酸塩錠「マイスリー」だった。
(低い枕を使い)横臥している時には、首の向きは正常になっているので、この状態で、余計な思考を無にしてプログラムをつくり直すことが回復につながる、、このように私は解釈している。
さてそこで、マイスリーは睡眠導入剤。寝入りばなの頭の働きを確かに止めてくれる。物理屋にとっては辛いところもあるが、効果はよくわかるし、実際に具合も良くなるように感じる。
一方、アーテンは、『抗コリン作用により、脳内のドパミン作用を強め、パーキンソン病における手足の震えなどの症状や抗精神病薬によるパーキンソン症候群などを改善する』こういう働きをする薬だそうだ。無にする以上にもっと積極的に、神経系のフィードバックに働きかけるようだ。私流の解釈では、フィードバックあえて乱すことで、残存する間違ったプログラムを一旦壊して、再構築を促すことを狙うものだ。―しかし、この処方は、私には全く合わなかった。腕や手指に震えが出るようになり、心理的な不安も増して、歩く時の姿勢を意識するどころではなくなる。こわばりも無くなるというよりは悪化するように感じられる。結局、このことを医師に話し、アーテンは止めてもらった(服用したのははじめの1W程度のみ)。
そのようなプロセスで、一つ光明を見つけた。フルスルチアミン「アリナミン」を飲むことだ。筋肉における代謝を向上させる薬剤で、ありふれたビタミン剤なのだが、これによって首が重く張った状態で姿勢を正すのが楽になる。疲労回復よりももう少し本質的な効果が明らかにあるようだ。ただし、寝付きには反する効果があるようなので、夜は飲まない方がいい(後日次第に判ったことだが)。

結局、朝、昼食後にフルスルチアミン25、寝る直前に「ゾルピデム」(いずれもジェネリック名)を服用。これが私には合っていた。ゆっくりではあるが、ほぼ確実に回復する軌道に乗った。
---
しかしこれで話は終わらない。首下がりに伴って発症あるいは悪化する全く別の疾患があるのだった、、
(続く)

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「首下がり」に罹ってしまったら、長い期間の苦痛を覚悟する必要がある。
ただし、寝込むような症状ではないので、通勤や就業は続けねばならない(症状の程度はまちまちだが、多くの場合こうなるだろう)。
頭部というのは、人体中の特段重たい部分であり、また、(視覚情報の)視野の向きを定める座標基準となる部位でもある。頭の支え方と向きが変わってしまうと、立って歩くことにいろいろな意味で無理が生じてしまうのだ。視界が変わる(脳が覚えていた基準に対する異変が起こる)ので、ぐるぐる回りのような目まいを覚えることもある。こうした症状を少しでも緩和する手段を講じる必要がある。

ボトックス治療である程度首が立つようになったら、自分の意志をもって、歩く時の姿勢を修正することが大切だ。歩くときに、お腹を前に出して重心バランスをとることのないよう気をつけねばならない。そうしないと、全身あちこちの筋肉が異常に疲労し、腰、膝、ふくらはぎなどの痛みも加わってきて、一層大変なことになる。
そこで、私が見出した有効な対策は以下のとおり。
・腕を曲げ、前腕をお腹の左右に水平(かつ平行)に置き、脇腹を絞める体勢で固定する(男子ならベルトをつかむのもよい)
・お腹を前に突き出さない
・胸郭を(十分に)開き前に出す
・顔面を(後ろ側に)引く
私は、以上を掛け声のようなフレーズにして、これを唱えながら歩いた。
一番下の「顔面を引く」ところが特に大事。(写真撮影のときによく言われる)あごを引くこととは違う。顔面の面の位置を後ろにずらすのだ。少し上向きでもいいから、そのまま平行に後ろに移動。このとき、あごは上がって構わないが、お腹を前に出しふんぞり返るように頭を上げるのはダメ。あくまで、胸だけを前に出しながら顔面を引く。
改善してきたら、最初の腕の形は普通の腕振りスタイルに戻すことができる。ただし、それ以下の3項目は常に守るよう心掛け、習慣にしてしまう。(私は、若いころからこれに反する猫背型の姿勢が癖になっていた、、今にして思えば最悪だった、、)

他にも、関連疾病を防ぐための注意とか、有効な処方薬とか、いろいろあるが、別の稿であらためて。

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ここからしばらく、「首下がり症候群」とおぼしき症状に見舞われた人に対して、アドバイスになりそうなことを記していきたい。

(1) 先ず鏡を見て、この病気だと気づけ
 歩く時に、姿勢と筋肉の使い方が普通でなくなり、非常に疲れるようになる。これが典型的な自覚症状だ。立った時の首の角度を鏡で見れば、首下がり症候であることは容易に判断できる。

(2) 近くの医院で紹介状をもらって脳神経内科のある病院へ行く
 かかるべきは、(整形外科ではなく)脳神経内科だ。ただし、総合病院は、紹介状をもっていないと受け付けてもらえないところが多い。そこで、先ず、内科か外科系の近所の医院に行く。首のレントゲンを撮ってもいいが、そんなことをしなくても判断はつくので、単に内科医の問診を受けるだけでもいい。とにかく紹介状をもらうことが必要。ただし、紹介状の宛先は、「ボトックス療法」を実施している病院がよい(そうでないと二重手間になる可能性高い)。「ボトックス」という言葉を出せば、医師であれば直ぐわかるはずで、必要ならば電話で問い合わせてくれると思う。

(3) ボツリヌス毒素を基にして開発された「ボトックス療法」を受ける
 注射によって、首の前側の筋肉を無力化する。首下がりの程度があまりひどくなければ、これで回復のスタート段階に立つことができる。注射の3日後ぐらいから効果が出るが、、とても長い回復過程がそこから始まることになる、、

<続く>

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安倍元首相の「国葬」に対する疑問・批判の声が(私の予想をこえて)広く高まっている。

このことについては、ネット上にある、賛否を問うアンケート型サイトや、反対への賛同者を募る署名型サイトなどが、大活躍している。

本Blogでも、その後者のタイプのサイト:
安倍元首相の-国葬-中止を求めます
を紹介しておきたい。

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オンライン署名プラットフォーム:
change.org (https://www.change.org/ja)
が使われている。
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私が、どう考えているか、安倍元首相を如何に評価するか、、本題にするつもりはないが、ほんの少しだけ述べておく。
安倍元首相は、彼自身が忌み嫌う精神構造と社会活動を無力化することに対して、並々ならぬ行動力を発揮した実力者であった。それだけだ。日本(人)全体の何かの側面を向上させるようなことは何もしていない。何を不快と思うかという思想が合致する人にとってはそれなりに頼もしい人物に映るのだろうが、それ以外の多くの人にとっては、特段の何かを為したとは思えない総理であった。自分の好み(恨み晴らし)を実現するために、権力を長期に渡り最大限に活用した人物と言えばわかり易いだろうか。国民の税金によって執り行う「国葬」を例外的に当てはめる事例になるとは、到底思えない。

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症状や回復の過程のことはひとまず置く。
何はともあれ本blogで皆さんに伝えたいこと、、それは、私がこの病状に陥ったきっかけに、明確な心当たりがあることだ。
これを見た皆さんには、同様の轍を踏むことを避けてほしい、、その一念でこのメモを書くことにした。
首下がり症候群は、動物(主に哺乳類)が首を支える生体的なフィードバックの誤動作状態だと言える。
私の推察では、この誤動作は、’ハード的に対応可能な範囲を逸脱した’の類の警告的信号を度々検知することで、ソフトウェア的に通常のルーチン動作をやめてしまう現象に他ならない。ハード的な破綻を防ぐために、首を一定角度に保つべく働くプログラムが、セーフティーモードに入ってしまう、、こう理解できそうだ。

今回の私の場合、そのようなエラー検知について、心当たることが2つある。
その1.連日長時間 、ノートPCを使うために前かがみ下向きの姿勢が続いたこと。
その2.頭・首を後ろに反らせることを抑制してしまうヘッドレスト付きのOAチェアを使用し続けたこと。

その1は、よく知られた事で、実感を持つ人も多いだろう。ノートPCのモニターは、デスクトップ型に比べて低い位置にある。普通に机上に置いて使うと、うつむき姿勢になる。長時間使うには適していない。やむを得ないときは、必ず、高く持ち上げる専用台を使うべきだ。
(私が今使っているのは:BoYataノートパソコン スタンド 型番 BY-N31-Silver Amazonリンク

その2がさらに重大だ。
椅子のヘッドレストが、PC作業に適するように付いているならば、あなたは、非常に危うい状況にある。
「きっちりある所から後ろには頭が行かない」ということを、脳のフィードバックプログラムが学習してしまうのだ。
長時間デスクワークするときには、時々、バックレストよりも後ろに首を反らせる動作をしないといけない。
特にヘッドレストが直立の基本姿勢より前に位置しているときは最悪だ。私はこのことを薄々感じながら、数年間あるヘッドレスト付きの椅子を使ってしまい、遂に首下がり症候群発症に至った。もちろん、その椅子は、(原因が思い当たったとき)即刻処分した。
(自動車座席のへッドレストは、追突される事故対策のため装備が必須であるが、本稿の観点ではかなり、いや、非常に問題があると思う)


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この3年におよぶコロナ禍のために、ノートPCを睨む時間を増やすことを余儀なくされた人が多い。(その上、空いた時間はスマホなる人も多々)
私も、大学のオンライン講義などのため、もろにそのような状況に置かれた。
―その結果、、昨年秋、「首下がり症候群」を発症し、長らく苦しむこととなった。
この病気は、命に関わるとかではないが、回復がとてもゆっくりとしか進まない。なるときは、何かをきっかにしてパッと急に発症し、以後、適切な治療を受けてうまく進んでも、半年以上かかって極めて徐々に回復に向かう、、「腰痛」とか、「四十・五十肩」とかの類の(整形外科領域の)疾患とは全く違うのだ。神経活動の学習的なソフトウェア動作にかかるトラブルであり、時間をかけて学習をインプットし直すことで回復に向かうしなない、、このことをいやというほど実感することとなった。

以後何回かに分けて、関する実体験的情報を掲載します。



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PC(Windows環境)を用いて理系の文書を作成する人向けの話題です。

理系の内容の文を、PC上で、ビジュアル的に出版レベルの文書として
完成させようとするとき、用いるフォントが悩ましい問題となる。
理工系の文章だからこそ悩ましくなる理由はいろいろあるが、まず、
物理量を表す記号はイタリック(斜)体の文字、さらにベクトル量であ
る場合にはボールド(強調)体の文字で表すという表記上のルールがあ
る。その上、上付き・下付き文字、ギリシャ文字、算術演算子などの
数学的記号が頻繁に登場し、さらに、プランク定数や℃、Åなどの特
殊文字が必要になることもある。こうした、通常とは異なる字体や記
号類がそこかしこに織り混ざった文を、欧文として綺麗に表示・印字
できるようなフォントが求められる事情にあるのだ。
さて、さて、当ブログでは過去の2007年に、「℃」などの記号を、欧
文フォントで表すときの苦労や対策についての記事(物理量を表すためのフォント)を書いた。
その当時の見解として、「純粋な欧文フォントであらゆる特殊記号を
表すことは困難だ。Unicode系のフォント(代表例Arial Unicode MS)
を使うことが、限られた対策になる。」と結論した。
そして、10年以上の時が経った。その間に、私が使うPCのOSは、ほと
んど全て、Windows10に変わった(ダウングレード版XPからWin10に入
れ替え、快適に動いているものも多々)。それに伴って、Windowsや
Officeの内部で標準的に使われる文字コードも、unicode系が主流に
なっていった(当方は詳しい知識を有しません.詳しい情報はネット
検索でどうぞ.)
こんなことを薄々感じつつ、一旦自分なりに決めたフォントの使い方
を変えることもなく最近に至っていたのだが、先日、ふと気になって、
アップグレード・アップデートしたWin-Officeに備わているフォント
と、それによる特殊記号の表示のされ方を調べてみた。
その結果、興味深い(私にとってはかなりびっくりの)ことが分かっ
てきたので、ここに、自己用メモを兼ねてまとめておく。

→続きを書く時間がとれませんので、書きかけ状態ながら、準備した
図だけを以下に掲載して、とりあえず公開します。(後日続きを書く
予定.また、稿をいくつかに分ける可能性も検討中.)


表1. MS Windows-Office環境の欧文系各フォントで表示した、理工学でよく用いられる記号の一覧(対応するUnicodeのコードポイントも示している).
〔以下は縮小表示.その画像かココをクリックすると、フルサイズで表示します.〕




図1.MS Windows-Office環境の欧文系各フォントの字体比較.注目すべき違いが現れるものを掲げている.立体,斜体のちがいと交番の際の表示のされ方にも注意されたい.

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この項目は、先に投稿した記事の付記のところにリンクするために立てています。


MS-Wordは、欠点もあるが、書式を詳細に指定したテキスト、数式、ベクトル画像、ラスタ画像、罫線による表、を、一括環境で扱うことができて、しかも、最初の3つは、余計な知識を使わずにWYSIWYG(ウィジウィグ)で編集可能な、とても便利なワープロである。
Wordを使って、数式等を含む見栄えのよい文書を完成させた後、それを画像化して、他で使いたいという場面も少なからずある。
そのような場合の変換をWebサイト上で無料で行ってくれるサービスを見つけ、便利に活用させてもらっている。
-というわけで、それを紹介した前の記事の最後のところにジャンプするリンク(の練習)。
Convertioの紹介

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〔追記〕
その後、日本語OCRも、Webサービスを使ってあっさり実現できることを知ったので、追加紹介する。
何と、(かなりの)世界中の言語から選ぶことができて、出力も、Word,Excel,テキストを選択指定できる。
(少なくとも私にとっては)「いつの間にこんなに進歩したの」と驚きを覚えるほどの高性能でした。
FREE ONLINE OCR SERVICE

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