先日、スーパーで買い物を終え、店の外へ出ると、店の前で六十代とおぼ

 

しきオジサンが、ひとりで何か喋っていた。　酔っ払っているのだなと思いつ

 

つ、何を言っているのだろうと聞いてみると、

 

 

 

 

 

コレナニセン？　どういう意味だ。　ああそうか。　私は思った。　オジサンが

 

指している先には鉄道の高架が通っている。　「コレナニセン？」 とは、「こ

 

れ何線？」 で、その路線名を訊いているのだろう。　しかし、問題はオジサン

 

が、それを誰に尋ねているのかということだ。　その場にはオジサンの他に私

 

しかいないのだが、オジサンは私を見ずに全然違う方向を見ている。

 

 

 

　独り言だろうか。　それとも私に尋ねているのだろうか。　考えていると、オジ

 

サンが再び、「これなにせーん？」 と、言った。　相変わらず私しかそこにはい

 

ないのだが、私の方は見ていない。　奇怪である。　ひょっとすると、酔っ払っ

 

て生きている人間と死んでいる人間の区別がつかず、霊魂に喋りかけてしま

 

っているのではないか。　

 

 

　そう思った私は、薄気味悪くなり、静かにその場を去ろうとしたが、またオジ

 

サンが 「なにせーん？」 と言った。　先ほどよりボリュームが大きい。　やはり

 

私に尋ねているのか。　分からない。　なんなんだこのジジイは・・・。　私は面

 

倒になり、オジサンの質問に答えることにした。　結果、会話が成立せず、は？

 

何言ってんだコイツ、と、思われてもいい。　静かにその場を去るだけだ。　む

 

しろそちらの方がすっきり終って良い。

 

　私は、オジサンに 「それは南海線ですね」　と言った。　すると、

 

 

 

 

 

なんと、オジサンは私に喋りかけていたのである。　私の方を全く見ずに。　な

 

んとも器用なオジサンだが、オジサンは続けて、今度は反対方向を指し、

 

 

 

 

 

と言った。　早くその場を去りたい私は即答した。　

 

　オジサンは、阪堺線・・・、南海線・・・、阪堺線・・・、南海線・・・、と呟きながら

 

その二つの路線とは全く関係のないスーパーへ入っていった。　

 

 

 

　私は、ジジイよ、投げっぱなしの質問の後処理もせずに、私より先にこの場

 

 

を去るんじゃない。　なぜ訊いたのだ。　酔っ払っているとは言え、赤の他人に

 

 

訊いてしまうほど気になったのか。　そして、南海線と阪堺線、二つの路線名

 

 

が分かったところで、なぜ、スーパーに入って酒を買おうとするのか。

 

 

ジジイよ、私は今、物凄く気になっておるぞ。　と、心の中で呟きながら、店内

 

 

の酒コーナーをうろつくオジサンをしばらく見つめていた。

 

 

 

 

 

亀久

 

 

 

 

 

　　　　　↓ブログランキングに参加しております。 クリックお願いします！

 

　　　　　　　　　　　　　　　　　　

 

 

 

 

 

　　　　　　　　　　　　◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

　　　　皆様、いつもコメント、ランキングへのクリック、ありがとうございます！！

 

　　　　ミミさん、ふわふわさん、にゃぴさん、柚子胡椒さん、おまめさん、hitonさ

 

　　　　ん、poeさん、YNさん、陽(ヨー)さん、コメント感謝です！

 

 

 

 

 

　　　　柚子胡椒さん、デザート感覚で噛みますな！　poeさん、いや、それは穏

 

　　　　やかな子なのです。そして器が大きい子なのですよ。　YNさん、そうなの

 

　　　　です。カテゴリー分け。しなければと思いづづけて気づけばブログを書き

 

　　　　始めて10年以上。大量の記事をカテゴライズするのは、ちと厳しいかなと

 

　　　　思っておりますが、いつかはやりたいと思います！サンクス！