飾釦

飾釦(かざりぼたん)とは意匠を施されたお洒落な釦。生活に飾釦をと、もがきつつも綴るブログです。

映画「グランド・マスター」(監督:ウォン・カーウァイ)

2014-08-24 | Weblog

■製作年:2012年
■監督:ウォン・カーウァイ
■出演:トニー・レオン、チャン・ツィイー、チャン・チェン、マックス・チャン、他

ブルース・リーの師匠として近年何本もの映画が作られ香港ではちょっとしたブームになったと聞いている、あのブルース・リーの先生で詠春拳のイップ・マン(葉問)を、香港映画界の巨匠 ウォン・カーウァイが仕上げた異色のカンフー映画です。とにかく映像美に優れた世界的な監督として知られるウォン・カーウァイであるためか、スローモーションとクローズアップを多用した懲りに凝った映像が随所、というより全編がそのような映像で彩られています。

それがいいのかどうか?見ているこちらの方としては、映像が懲りすぎだよ、そこまでやらなくてもいいのに、なんて感じる人が多いんじゃないかなあと心配になってみたり。細部のこだわり映像を見せることにより登場人物や背景について説明は少なくなっていて、逆に物語がわかりづらくなっている部分もある。そうなると感情移入なるものがしにくくなるということもある。また、見せ場の一つであるカンフーの格闘場面でも美しさが先行してしまっており格闘シーンとしての迫力も伝わりづらくなっている。いやいや、君は甘いね。監督の方としてはそんなのは織り込み済みで、達人の技の美を重視して見せているのだと通からは言われてしまうかもしれませんが。

この映画は公開された年のアメリカ「タイム誌」の ベスト10の中に選れているとか。あるいは、日本の老舗映画雑誌「キネマ旬報」でも14位となっているようだ。つまり映画のプロの視点から見るとそこそこ評価が高いということになります。この評価については、どうなんだろうか?と個人的感性からすれば疑問符がついてしまうのですが、専門的なレベルの高い人たちからすれば、そうではないく映画的なポイントが高いいい作品のでしょう。私としては映像美については文句なしに素晴らしい、ただ懲りすぎによって物語性とか格闘シーンの迫力など犠牲にしてしまったのではないかという印象は否めません。傑作一歩手前の失敗作と言うしかありません。ちょっとしたボタンのかけ違えのとても惜しい映画ということ。同じイップマンを主人公にした映画であれば香港のカンフー・スター、ドニー・イェン が主演した「イップ・マン  序章 」の方が断然面白いと思います(こちらは香港を占領した日本軍の格闘家との戦いがメイン)。若い時に「初恋の来た道」で初々しい演技を見せたチャン・ツィイーが毅然とした大人の雰囲気と意志の強そうな女性を演じたのはよかったのですが。

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