非国民通信

ノーモア・コイズミ

YESと言えない日本人

2015-06-24 22:48:34 | 雇用・経済

 先日、マクドでコーラを飲んでいたところ、どうやら昼休み明けの時間に事前面接でも受けるのでしょうか、求職者と人材会社のコーディネイターらしき人が隣で話していました。なんと言いますか、私って「遠慮されない」タイプのようで不思議と「空いているときでもすぐ隣に人が座る」ことが多いんですよね。よく電車で「自分の隣に人が座ろうとしない」なんてネタ話もありますけれど、私は対極です。老若男女問わず、引き寄せられるように私の隣に座ってはパカパカ股を開いていきますから。

 そして「部外者に聞かせるべきではない内容」でも、何の気兼ねもなく私の周りではベラベラと口にされていることが多いですね。会社の偉い人が結構な重要事項を聞こえる距離で普通に話していたりして「私もいるんだけどな」みたいに感じることも多いもので、もしかすると自分はスパイとかに向いているのではないかと思ったりもします。それはさておき、これから面接に向かうであろう二人組が隣で会話していたわけです。

 人材会社のコーディネイターと思しき人が、おそらく求職者であろう人に色々とアドバイスしていたのですが、これまた通り一遍の何の役にも立たない代物でした。そうは言っても「こうすれば採用される」みたいな都合の良い魔法はありません。特別なことができるのは特別な人だけ、普通の人は普通のことをやっていくしかないのです。有用なアドバイスなど初めから存在しない、そういうものなのでしょう。

 さて変わり映えのしない助言の中に「最後には必ず、質問してください」なんてのもありました。面接の定番として「何か質問はありますか」みたいに聞かれるわけです。そこで特に質問が無くても「十分にお伺いさせていただきました」ではダメで「必ず何か質問してください」と、コーディネイター風の人は語っていました。まぁ、慣習としてはそうなのだろうと理解はしています。しかし、特に聞きたいこともないのに無理に質問をひねり出すというのもまた不毛で非効率的な因習だと私は思ったものです。

 しかしながら、入社した後でも同じようなことは続きます。連日連夜の会議でも同様、何も言うべきことが無かろうとも「発言しろ」と求められるのが日本の一般的な職場なのではないでしょうか。会議の早い段階で真っ当な報告と真っ当な方針が示されて、それで完了かと思いきや必ず誰かがイチャモンを付け出すのが常です。結局ああでもない、こうでもないと会議は迷走、「最初の案で良いじゃないか」と呆れ果てていれば「お前は何か意見はないのか」「他人事だとでも思っているのか」と詰られ出す始末、そうして会議は延々と続いていきます。

 面接では質問しなければならないと信じられているように、会議でもやはり発言しなければならない、そうしない人はやる気がない、当事者意識が欠けているのだと、そう誤って信じ込まれているものなのではないでしょうか。必要の無いことは言わない、賛成なら賛成で異議は唱えない、無駄を省くとはそういうことなのですが、しかし日本の一般的な職場でこれは通用しません。必ず何か、言わなくてはならないのです。二つ返事でOKは出せない、YESとは言えない、何かしら議題を追加して話を終わらせない姿勢が「やる気」として勘違いされているように思います。

 上司への報告なり提案でも同様ですね。全く問題の無い事柄でも素直にYESとは言わず、無理矢理にでも問題点を探し出して必ず一度は突き返すみたいな流れが私の勤務先では完全にできあがっていたりします。たぶん、それが上司の仕事と心得られているのでしょう。あっさりとOKを出せば、それは上司として何の仕事もしていないのと同じことなのです。何かしら「口出しをする」ことでようやく上司として仕事をしていると認められる、そういうものなのかも知れません。

 だから私は最初に敢えてグレードの落ちる案を持っていき、上司にダメ出しを食らった後に「改善した案」として当初から用意していたプランを提言することにしていたりしますが、まぁ大いに無駄ですね。でも、最初からマトモな案を出してしまえば、それがダメ出しを食らって終わりなのです。結果は上長の意見を取り入れて改変する必要が出てきて、余計に酷い方向で物事を進める羽目になったりします。そしてこの不毛な工程はウチの部課だけではなく、隣の部署でも同じ、部門の偉い人達の間でも同じことなのです。だれもが素直に「YES」とは言わない、必ず何かしらダメ出しをする、そうやって「仕事をしている」とアピールしているばかり、何とも下らない話ですが――この辺は必ずしも私の今の勤務先に限定して見られる光景でもないと思います。

 

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