非国民通信

ノーモア・コイズミ

もし藤原氏がイケメンであったなら

2014-07-22 22:08:57 | 社会

自分好みに育てたかった、と供述 倉敷・女児監禁容疑で逮捕の男(山陽新聞)

 倉敷市の小学校5年女児(11)が下校途中に連れ去られ、5日後に無事保護された事件で、監禁容疑で現行犯逮捕された岡山市北区楢津、自称イラストレーター藤原武容疑者(49)が、倉敷署捜査本部(本部長・野上幹夫刑事部長)の調べに、「少女に興味があった。自分の好きな女の子のイメージ通りに育て、将来は結婚したかった」と動機を語っていることが20日、捜査関係者への取材で分かった。

 

 ……こんな事件もあったわけです。発覚に至る子細を見るに、どうにも周辺住民が少なからず容疑者を監視していたイメージを受けないでもない、こういう覗き見趣味の隣人がいると大変だなと思いました。それはさておき、逮捕された容疑者曰く「自分の好きな女の子のイメージ通りに育て、将来は結婚したかった」とのこと。この発言に光源氏が頭に浮かんだ人は少なくないのではないでしょうか。しかも姓は藤原だそうで、実際に光源氏のモデルとされる中には藤原一門の人間も多い、せっかくならイラストレーターを称するよりも天皇家の末裔を称した方が格好は付いたかも知れません。

 さて先日は同様に(罪状はさておき)逮捕されて「自称・芸術家」と報道された人の事例を出汁に色々と書きましたけれど、今回は「自称・イラストレーター」と伝えられていますね。自称芸術家呼ばわりも酷いですが、自称イラストレーターとのレッテルもまた失礼な話ではないでしょうか。あるソ連の裁判官は詩人になるための職業訓練を受けたりしているのでもなければ詩人とは認めないとの判決を下したようですが、日本社会においてイラストレーターと認められるための条件は、いったいどこにあるのやら。

 この手の事件が起これば決まって、容疑者の本棚が暴かれると言いますか、そこにアニメや漫画が見つかれば同様に容疑者として持ち出されるのが常です。何とも馬鹿げた話ではありますけれど、例えば今回の藤原氏の愛読書が源氏物語であったりしたらどうなのでしょう。今回はたまたま容疑者が光源氏みたいなことを言い出しているだけであるとしても、源氏物語の主人公にあこがれて作中人物と同様の行為に走る人が出て来る可能性は決して否定できるものではないと思います。

 結局のところ我々の社会において――この辺は日本に限らないかも知れませんが――芸術や文化を知ることとは権威に阿ることなのかも知れないなと感じるわけです。既に権威を確立済の作品に対しては「芸術」としてありがたがり、一方で現代の漫画やアニメに関しては低俗なものとしてその影響を危険視する、そうした接し方をする人も多いですけれど、「文化」として棚に上げられている作品の中で描かれているものは必ずしも道徳的ではない、現実の人間にも実行可能であり、かつ実行すれば法に触れるようなことが盛りだくさんです。しかし知識人ぶって芸術や文化を持ち上げている人ほどそれを危険視しない、と。

 

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