非国民通信

ノーモア・コイズミ

とりあえず麻生は感謝しないと思う

2018-03-11 22:46:40 | 政治・国際

 さて先日は金正恩が突如としてアメリカとの首脳会談に応じる姿勢を表明し、トランプもそれに応じたわけです。首脳会談が実現しても物別れに終わりそうな気がしないでもありませんが、この急展開は誰にとってプラスであり、マイナスになるのでしょうか。とりあえず今は、「これから」首脳会談をやるのだと宣言しているに過ぎません。それでも「話し合いの場」に金正恩を引っ張り出したあたり、第一ラウンドの小さな勝者は韓国政府と言えそうです。

 もう10年以上前ですが、当時の外相であった麻生太郎は「金正日に感謝しないといけないな」と述べました。金正日が国際的な非難の中でミサイル発射実験を強行した結果、日本の内閣支持率は上昇した、そのことへの率直な感謝であったと言えます。そして昨年の総選挙での勝利後に麻生太郎は「北朝鮮のおかげ」とも述べました。「選挙前」には北朝鮮が色々と物議を醸していたもので、何はともあれ結果としてやはり内閣支持率は回復していたわけです。内閣の一員として、感謝せずにはいられなかったのでしょう。(今だって北のミサイルがあれば森友学園や財務省の問題から政府を救ってくれそうではないかと……)

 往々にして外交上の破綻は、国内の支持を高めます。いざ戦争にでも突入となれば、国民は熱狂的に政府を支持するものですし、日頃は反政府系メディアとして活動する朝日新聞だって戦争が迫れば翼賛メディアへと転身してきました。太陽は支持率を引きはがし、北風が支持率をつなぎ止める、内向きの団結は「敵」を前にしてこそ得られるものなのです。トランプ政権も然り、「外」に敵を描き出し、それに対して強硬姿勢を見せることで国内の支持を保っている部分は少なくないでしょう。では、「北」が柔軟姿勢に転じたならば?

 北朝鮮への強硬姿勢をアピールして支持を得てきた政党、政治家にとって、北朝鮮の軟化は大きな痛手となります。凧と支持率は向かい風が強いほどに高く上がるもの、しかし向かい風が止んでしまったら転落の危機です。日本なりアメリカなりの「国」にとってはいざ知らず、それぞれの国の「政権」にとっては、北朝鮮の対話路線こそが脅威になるところもあると思います。トランプもしくは日本の首相が金正恩と会談して友好を深めたとして、それが国内の支持向上に繋がるかどうか? むしろ有権者の中には「対決姿勢」を望んでいる人も多い気がします。

 逆に北朝鮮政府からするとどうなのでしょう。対話路線でもプロレス路線でも、金正恩体制の維持という面ではあまり差がないようにも見えます。金正恩体制に危機が迫るとすれば、北朝鮮経済が発展して中産階級が育ち市民革命に至ること、ぐらいでしょうか。国民が「今日を生きるのに精一杯」ならば革命の恐れなどありませんが、市民が豊かになって力を蓄えるようになると独裁体制の維持は難しくなるわけです。それを避けるためには適度に経済制裁を受けておく方が良い、ぐらいの判断がこれまでには働いていたように思います。それでも敢えて金正恩が交渉のテーブルに着くことを選んだのはなぜか、なにしろ相方はトランプですから、常識では計れない展開もありそうです。


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