パッション(2012年) | 勝手に映画紹介!?

パッション(2012年)

パッション

先週、GEOアプリの新作100円クーポンを利用して借りてきた6本、本日返却期限だけどなんとか消化完了…色々と寄り道してたから、あんがい時間がかかってしまった…欲張って10本とか借りなくてよかったよ。ということで、最後の1本は…7月の借り忘れ作品をチョイス、ブライアン・デ・パルマの「パッション」。実は劇場未公開作品でWOWOWで放送された「ラブ・クライム 偽りの愛に溺れて」という作品のリメイクなんだよね。元ネタを見てるので、急いで見なくてもいいかなって、それこそWOWOW放送まで待とうかななんて思ってたんだけど…。

広告代理店のベルリン支店を任されているクリスティーンと、彼女の部下イザベル。イザベルは新型スマートフォンの広告を手掛けることになり、アシスタントのダニとプロモーションビデオを制作。クリスティーンの代わりに出向いた会議でそれを発表し、重役たちからの評判も上々。しかし、当然のようにその手柄をクリスティーンが横取り。それどころか、付き合っていた恋人ダークが突然の別れ話を切り出し、その裏にはクリスティーンの存在が!イザベルはクリスティーンを出し抜くため、独断でプロモーションビデオをネットにアップし、成功を収めるのだが…。

いや~、借りてきて正解だった!所詮リメイクと思いきや…デ・パルマ印のなんとも魅惑的なサスペンスに仕上がっているではないですか!ぶっちゃけ、元ネタの映画って…そんなに面白いって感じではなかったよね。いやね、主人公が陰険な女上司に復讐するため、完全犯罪を実行するというコンセプト自体は悪くはないものの…最後はありふれた内容、それこそ日本の2時間サスペンスレベルの作品に落ち着いてしまい、普通のサスペンスだよねって思ったんだよ。それがデ・パルマの手にかかると…こうも、違った作品に仕上がるのねと、驚くばかり。

サスペンス映画のリメイクなんて、ネタバレしてるからつまらないに決まっているという先入観を覆してくれる…。まず、キャラクターも元ネタと全然違うよね。元ネタの方は陰険な上司が、いかにもな中年のおばちゃん(クリスティン・スコット・トーマス)で、復讐を企む方が若くて可愛らしい女の子だったんだけれども、こちらの作品では両者を同年代(アラフォーくらいかな?)に設定してあり、上司の方が小悪魔的な可愛さ、部下の方が野暮ったく地味な印象。部下を演じるノオミ・ラパスってミレニアムシリーズのリスベット以外は、なんかおばちゃんくさいよな(笑)

さらに謎の双子設定やレズなんていうのもオリジナルにはない要素…これがどのように物語に関わってくるのかも重要ポイントだ。色々とシーンや設定のアレンジはあるものの、中盤あたりまでは…元ネタをなぞったような展開が続く。部下が彼氏とヤってるところが、盗撮されているなんていうのは、たぶんオリジナルの方にはなかったんじゃないかな?で、精神的に追い詰められた部下が、上司殺しを決行…って展開にいよいよ入っていくんだけれども、元ネタではアリバイ工作に使う場所が映画館だったけど、こちらではバレエ鑑賞に変更されている。

このあたりからがもうデ・パルマ的演出のつるべ落としといいましょうか…急に画面が二分割になり、片方で犯人がアリバイ工作に使うバレエの映像が流れ、片方で犯人に狙われ、殺されるまでの被害者の様子が延々と描かれるという…なんともトリッキーな映像で魅了してくれる。っていうか、オリジナルの方では、けっこうはっきりと犯人の顔が映ってて、犯人=部下だってまるバレになっている。この部下がどうやって完全犯罪を成し遂げるのかが見どころになっていったんですけど…こちらのリメイク版ではそれすらも、ちょっとあやふやな感じ。

あれ、展開は同じなのかな?って、かなり不安な気持ちになってくる。ここでも、リメイク版ならではのあるアイテムが効果的に使われている。で…その後の展開は、部下の女が容疑者にされ、一度は睡眠薬など服用していた薬のせいで罪を認めてしまったんだけど、薬が抜けて、正気に戻ると…一転して身の潔白を訴えはじめてという…オリジナルと似た展開に戻っていくんだけれども、登場人物などは少な目に、設定されています。オリジナルの方は、アリバイ工作が計画的で、その過程で犯人である部下の身内とか、ご近所さんとか色々と出てきていた。

で、いったい上司殺しの時に何が起きていたのかが判明するクライマックスから、ラストカットまでが、デ・パルマの真骨頂とでもいうべきでしょうか…オリジナルを見ていたからこそ、え~な展開が連発でした。ここで、それらを細かく書き連ねるのも野暮ってもんですよね。主人公のアシスタントが、オリジナルの男から女に変わっていたというのもやっぱり大きいな。主人公が最後に追い込まれる状況なんかもまったく違うものでして…驚いている暇がないくらいに、“END”の文字が出て、エンディングロールへ突入。凄すぎて開いた口がふさがらなかった。


監督:ブライアン・デ・パルマ
出演:レイチェル・マクアダムス ノオミ・ラパス カロリーネ・ヘルフルト ポール・アンダーソン ライナー・ボック


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