子育て
愚かなる 親はわが子を かあいとて
あまやかすのは にくむ也けり
我が子可愛さ故に甘やかすことは、かえって駄目にしていくことをお示しの御教歌です。
親なら誰でも我が子は可愛いいもので、昔から「出来の悪い子ほど可愛い」といわれたものです。
人様から見たらどんなに至らない子でも、親にしてみれば可愛いものですが、可愛いからといって甘やかしすぎても子供のためにはよくないようです。
例えば甘熟したトマトは、樹に与える水を極限まで減らすことによってトマトの生命力を極限にまで高め、より甘いトマトを栽培するとも聞きます。
水も肥料も十二分に与えたトマトより、水もあまり与えられないトマトの方が糖度を増すというのですから、本当に不思議なものです。
このように、私たちも同じ事がいえるのだと思います。
親に甘やかされヌクヌクと育った子供より、時には辛抱を強いられ、苦労して育きた方が、人としての「甘熟味」が出てくるように思います。
御指南に
「いやな事をつとめて仕(し)い、つらき事をしのびてするにあらざれば何の道にも上達しがたし。
いやな事はせず、物毎(ものごと)にこらえず、情(なさけ)のなき気随気侭(きづいきまま)のおひたちなる者は、世間の事にも一切物毎不成就也。」
「嫌なことを努め、辛いことでも耐え忍んでいかなければ、どのような道でも上達することは難しいものである。嫌なことは避ける、辛抱もない、その上わがままに育った者に、世間のことで物事を成就した者はいない。」
このようにお示しです。
子供のことを思えばこそ、単に可愛がる
のではなく、時には叱り、時には辛抱をさせ、時には難儀なこともさせ、そして時には優しく接していくことは大事なことだと思います。
「優しさ」と「慈悲」では、深さが違うはずです。
子供が大きな挫折や壁にぶつかった時、そのような子育てが役に立つときが来ると思います。
子供を甘やかすのではなく、慈悲をもって時には厳しく、難儀・苦労にも耐えていけるよう育てていきたいものです。