パットは「必ずオーバー」ということに対して、これを否定するのはレッスンの神様と言われたH・ペニックさんです。
「ハーヴィー・ペニックのゴルフ・グリーン・ブック」(H・ペニック著 菊谷匡弘訳 集英社文庫刊)の一節から、一部を引用させて頂きます。
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(デイヴィス三世が15フィートのパットを外すと、2fts、3ftsも行きすぎているのを見て)何てことだ。いつも私は口にしているのだが、ゴルフにおいて最も悪しき格言は”ネバー・アップ、ネバー・イン”という言葉である。(中略)
ボビー・ジョーンズはいみじくも、ホールに届かないボールが入らないのは自明であるが、それと同時にカップを通り過ぎてしまったボールもまた決して入らないのだ--と、真理をついた。そして、スリーパットはカップの手前からよりも、向こう側からより多く起こると論証している。
私は言った。
「ボールをホールの辺りで止まるように打ってみて欲しいね。そうすれば、ボールはホールの中に入るようになるはずだよ。これはこの距離のパットを入れようとするときだけに当てはまるんじゃない。いつでもホールでボールが止まるように転がしてみるんだ」
彼は言葉の意味を考えていた。
2週間後、彼はハーバー・タウンの#17で、30ftsのパットを沈め、トーナメントに優勝した。
その夜興奮した彼の父親が電話をかけてきた。
「倅が言うんですよ『僕は全くペニックさんが言った通りにやったんだ。ボールをホールのところまで転がせば、チャンスが生まれるって--そしたら、勝っちゃった』」
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カップまでの距離をジャストタッチで転がせば、方向が少しずれていても入る確率は最も高いですね。ですから、ジャストタッチで転がすことが出来れば一番良いタッチと言えます。
但し、そうするとカップ近くでは転がりが弱くなるので、スパイク痕や砂粒などの影響を受けやすくなります。
最近のグリーンは良く整備されていて、ツアーなどではジャストタッチで転がすのが普通になっています。
そうなるとラインも違ってきます。傾斜のあるラインでは曲がり幅を多目に見る必要もあります。
グリーン上のライから、どちらが「1パットで入れる」(←最悪3パットあり)を重視するか「2パット」(←3パット回避)で行くか、はじめに決断するというのが良いということになります。