【読書日記】結局のところ、現代の「普通」とは何なのだろうか?-『「メジャー」を生みだす』 | ほぼ日blog~通勤読書で継続力を高めよう!~

【読書日記】結局のところ、現代の「普通」とは何なのだろうか?-『「メジャー」を生みだす』

おはようございます。
本日の1冊はコチラ↓


『「メジャー」を生みだす マーケティングを超えるクリエイターたち』 堀田 純司 角川oneテーマ21


現代はよく分からない時代だ。
私はつくづくそう思います。
それ以前の時代を知っている
というわけでもないのですが。

もう少し踏み込んで言うと、
世の中が細分化されすぎていて、
よく分からないということ。

10年、20年前に比べると、
共有できる話題というのが、
格段に少なくなった気がします。

例えば、私が子供の頃は、
スポーツといえば大相撲と野球。
小学校の途中からはサッカー。

音楽はB'zにジュディマリ。
スピッツにミスチル。
そして小室ファミリーの曲。

あとはドラゴンボールと、
スラムダンクの話があれば、
ほとんど誰とでも会話が成立
したような感じでした。
というとちょっと大げさですが。

でも今の時代は・・・
多くの人と共通の話題というのは、
ほとんどないかもしれません。

逆に、身近な人どうしは、
話題に事欠くことはありません。
その理由は、SNSです。

Facebookやツイッター、LINEで、
24時間つながっています。
これらを通じた日々の交流で、
実際に会っていなくても、
よく会っている錯覚に陥ります。

モノが売れない時代といいますが、
実はこういう背景があるのだ。
ということを、クリエイターたちに
インタビューして明らかにしたのが
本書になります。

この本に出てくる多くの人が、
私と同世代か少し上の人ばかりなので、
書かれている内容はよくわかります。

例えば、次のようなことについて。

『人って、なにかを手にしたら、その分だけなにかを捨てなければならなくなると思うんです。だから、いいものなのか悪いものなのかわからないですけどネットが出てきて、そしてSNSとかいろんなやりとりが人の暮らしに増えた分だけ、実はその分、本当に相手を思いやる気持ちは薄くなってきたのかな、とは感じます。僕の場合は、小さいころはそういうことはぜんぜん考えていなかった。大きくなって人とのつながりが広がってくると、なぜか『結局ひとりじゃないか』と感じるようになってきました。仲間が広がるほど、逆に寂しいことも知りました。たぶん大人になるといろんなことが見えてくるでしょう? しかも今っていろんなことがよく見えるようになってきているから"見えてくるからこそ感じる孤独さ"というものも、あるんだと思います。』(P57)

あー、そうそう、そうだよね。
と私は心の中でつぶやきました。

多くの人と出会い、
多くの人とSNSでつながり、
多くの人とやり取りをする。

これって、交流が増えるぶん、
寂しさも増えていくな。
と私は感じたことがあります。

わかりやすい例で言うと、
Facebookで友人たちが食事をしている
写真をアップしているのを見て・・・

「あ、自分は誘われていない」とか。
「予定あるっと言ってたのに」とか。

自分が投稿をしたときも、

「今日は『いいね』が少ない」とか。
「誰もコメントしてくれない」とか。

そういうネガティブな感情を、
誰もが少しは抱くと思います。

いろんな情報が入ってきすぎて、
いろんなものが見えすぎて、
それがキャパオーバーになると、
孤独を感じるようになってしまう。

世界は広がっていってるのに、
自分を取り巻く世界というのは、
どんどん小さくなっていく。
放っておくと、今の時代は、
そうなってしまうのですね。

いろんな情報が入ってくるから、
それに惑わされることも増えて、
ネガティブなパワーを生み出す
温床にもなっています。

それが今の日本では、
閉塞感を生み出していて、
時に異常な牙を剥くこともあります。

先日のイスラム国の事件でも、
その牙が現れましたよね。

偏った意見や情報、
それとは真逆の意見や情報。
これらがぶつかり合っている。

ただ、それ自体というのは、
悪いことでもない気がします。
そういう社会の歪みの中から、
新しい何かが生まれることもあって、
新しい価値観になることもあります。

ネット社会の中からも、
これまでにいろいろなものが
世に送り出されてきました。
これはポジティブに捉えても
いいところだと思います。

『今の時代は"なにが正しくてなにが正しくないということ自体がない"と思っているんです。すべてのものにウソと本当が混ざり合っている。だからどんなこともいくぶんかは正しくて、いくぶんかは間違っているんじゃないのかな。でもそれは悪いことではなくて、たとえば今までは正しいとされてきた音楽じゃなくても、通用する可能性があるということでもあると思うんです。音楽をつくるにしても、今までは『メジャーからデビューする』が正しいとされてきたかもしれないですけど、故人がインディーズでつくってもいい。それをネットで公開すれば、もしかすると今まではダメだとされてきた音楽でも個性になるかもしれない。むしろダメなところも武器にできる時代だと思います。』(P181)

これまでの価値観が壊されて、
新しい価値観が生まれる社会。
今の日本はその過渡期にいます。

客観的に見れば、
今ほど暮らしやすい時代は、
きっとなかったと思います。

確かに、低所得の人は増えて、
日本の競争力は低下して、
財政問題も抱えているかもしれない。

それでも世の中は便利になり、
そこそこの生活をするには、
全く困らない時代です。

そこそこの生活をするために、
仲間を求めて価値観を共有し、
それなりの楽しい生活をする。
それが今の時代の若い世代に
とって大切なのかもしれない。

こういう人が増えて、
昨年は「マイルドヤンキー」と
いう言葉が流行りました。

世の中は多様化していて、
情報もたくさん溢れていて、
機会もあちこちにある。

なのに、日本人のベクトルは、
逆向きになっていっている。

だから一見、目立つ部分が、
クローズアップされているけど、
世の中のメジャーな部分は、
あくまで「普通」の人なのです。

その「普通」が見えにくいだけだし、
見えないのは自分の世界にいるから
なのかもしれません。

『かつて、中世では農民にしろ職人にしろ商人にしろ「なにものか」にならないと生きてはいけなかった。しかし現代では「なにものか」になることすら難しく、ともすれば非熟練の職でその日を生き抜き、ひとつ間違えるとブラック企業に使い捨てられることになる。経済的に豊かになるかどうかは運もあれば、その人のライフスタイルにもよることだろう。しかし精神的に充実できるかどうかは、自分自身の選択が問われることになるはずだ。人は自由になった分、精神的にも物質的にも、安定は自分で手に入れるしかなくなった。そのためには「自分の見たいものだけを見ているのでは足りない。自分の世界から出て、他の価値観も知る必要がある。言葉にするとこれだけになるが、それが本書の結論である。』(P273)

自分の世界から出る。
他の価値観も知る。
これ、とても重要ですね。

しかし、最初にも出ましたが、
それは孤独との戦いでもあります。
孤独にならないためには、
半径数メートルの世界の中で、
仲間たちと過ごすことです。

インタビューを通して、
これらの葛藤と向き合う姿が、
とても興味深い1冊でした。

読む人によって捉え方の変わる本。
あなたはどう感じるでしょうか。
ぜひチェックしてみてくださいね!










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