哲学の科学

science of philosophy

侵略する人々(15)

2016-07-23 | yy51侵略する人々


言語まで置換する深い侵略では、しばしば虐殺を伴う被侵略者の人口激減が起こっています。ヨーロッパ人による新大陸の侵略には天然痘、梅毒などの伝染病が免疫のない現地人に蔓延したため人口が激減し、それにともなって現地人が維持していた栄養補給システムが遺棄され、侵略者のそれに置換されていったため、言語、文化とともに遺伝子も置換されてしまいました。
侵略に関する歴史を観察するうえで、王朝など支配階級の交代などは文書に残り従来の歴史書の中心テーマとなっていましたが、より重要な歴史的変化は現地の言語、文化、遺伝子の交代であると考えれば、侵略の深さに注目すべきでしょう。その観点からは、武器、軍隊など表面に表れる武力ばかりでなく、科学技術力、栄養補給システムの効率、集団的免疫力などの総合的な格差が、侵略の深さを決定し、その後の歴史を変えていくといえます。

侵略は人々の身体を物理的に威嚇する悪の行為です。しかし、武力、科学技術力、栄養補給システムの効率、集団的免疫力などに明確な格差がある場合、効率に優れた栄養補給システムが拡散する過程として、侵略は、歴史を見る限り、必然的に起こり得る現象である、といえます。■






(51 侵略する人々 end)











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