哲学の科学

science of philosophy

宇宙人はいるか(5)

2017-05-20 | yy57宇宙人はいるか


問題を限定するために、まず、宇宙のどこかに地球と同じような環境を持つ天体があると仮定して、そこでは数十億年の時間をかければ地球のように生物に満ちた生態系が実現するのかどうか、を少し詳しく調べてみましょう。
近年、宇宙生物学(astrobiology)という科学が発展してこの問題は学術的に研究されています。生物が発生し進化する惑星(あるいは小天体)に必要な環境条件が分かってきています。
地球が形成されたころの高温の溶岩で覆われた地表面が放射冷却されていく過程で海ができ火山ができ、宇宙放射線が降り注ぐような環境変化の下で生命の材料である有機高分子が自然生成されることは理論と実験で確かめられてきました。実際、このような環境変化は太陽系以外の惑星系でもかなり頻繁に起こり得る現象であるので、その生成物である有機高分子はかなりの頻度でいろいろな惑星系に存在するはずです。
水(液体状態のH2O)および有機分子が安定的に高濃度に存在するためには温度と気圧が適当な範囲内にあって紫外線や放射線から遮蔽された微細な閉空間(たとえば多孔質岩石、粘土、アスベスト、生物体など)が必要です。惑星あるいは惑星の衛星や彗星などがこのような環境を保有するためには、母星(太陽系の太陽のように惑星軌道の中心にある恒星)からの軌道半径、自転速度、地表面重力、地表面成分、気体濃度、などの組み合わせが適当な範囲内にある条件が必要です。
惑星系の各惑星の重力、軌道、自転速度、表面の化学成分などは惑星生成時に原料となった希薄物質の分布状態や生成過程での衝突融合の偶然性によって幅の広いばらつきがありますから、広い宇宙の数千億の惑星系はそれぞれ勝手なばらばらの条件で生成されていると推測できます。つまり、それぞれの惑星の個性はばらついている。どうにでもなり得る、かなり変わった惑星がいくらでもあり得る、といえます。
そうであれば、液相の水とそれに溶け込んだ有機分子が頻繁に縮合しかつ高分子量の重合体として安定的に存在する惑星あるいは天体上の環境は、この銀河系の中にでもいくつもある、といってよいでしょう。それを地球的天体ということにしましょう。
地球的天体では、先に述べたように有機高分子からたまたま細胞ができ、それがたまたま多重膜細胞に進化し、またしてもたまたま多細胞となり、多様な動物となる可能性を否定することはできません。数億年の時間があれば、あらゆる化学過程は繰り返し、何億回も同じような化合や分離が起こるわけですから、低い確率の現象も繰り返し発生するからです。自己複製機能を持つ細胞が偶然できてしまうと、急速に増殖し、進化発展する可能性は急に大きくなるでしょう。






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