ただの映画好き日記

観た映画と読んだ本の自分用メモ。

この世界の片隅に

2017-01-18 | 映画 カ行


1944年広島。18歳のすずは、顔も見たことのない若者と結婚し、生まれ育った江波から20キロメートル離れた呉へとやって来る。それまで得意な絵を描いてばかりだった彼女は、一転して一家を支える主婦に。創意工夫を凝らしながら食糧難を乗り越え、毎日の食卓を作り出す。やがて戦争は激しくなり、日本海軍の要となっている呉はアメリカ軍によるすさまじい空襲にさらされ、数多くの軍艦が燃え上がり、町並みも破壊されていく。そんな状況でも懸命に生きていくすずだったが、ついに1945年8月を迎える。

この世界の片隅に 2016年/日本/片渕須直





優しくて可愛くて穏やかで、オープニングから愛おしさがこみ上げてきました。
開戦前、ごく普通の暮らし、家族がみんな元気で、笑い声が絶えなくて、時折、兄妹喧嘩があったり、この暮らしと家族の大切さを無意識に実感していて、それが永遠に続くと無意識に思っていて…。
徐々にきな臭さを感じつつも、それでも、毎日を元気に楽しく暮らすことができていて…。
気がつけば、いつもの暮らしに変化が訪れ、大切なものが一つずつ失われ、そして、あの日がやってきてしまい…。
今まで営まれていたごく普通の暮らしが奪われてしまうことに戸惑う余裕もなく、毎日を生きていくことに必死で…。
そんな状況の中でも何よりも家族を愛して、それは日本のどの家族でも、どこの国の家族でも同じなんだと思いました。

戦争に勝つ、米国に勝つ、その“勝つ”ことに、その“勝った”先に何を望んでいたんだろう…と、ふと思いました。
家族が元気で、普通にご飯を食べることができて…、ごくごく普通に暮らせることしか望んでいなかっただろうと思います。
世界を征服したいとか、米国を支配したいとかはもちろん、裕福になりたいとか贅沢したいとか、そういうことさえ思っていなかったのではないでしょうか。

家族を失い、家を失い、平穏を失い、食べるものを失い、感情も失い…、負けたから失ったのか、勝ってたら失っていなかったのか、もしも勝っていたら失ったものが返ってくるのか…。
勝っても負けても、失うものの大きさを突きつけられて、戦争の無意味さを痛感させられました。

玉音放送の後のすずの絶叫は、そういう気持ちの表れだと思ったのですが、私がそう思いたかっただけかもしれず、今、思い返してみると自信がありません。
見間違いかもしれませんが、太極旗があったように思うのですが、これの意味は?戦後間もなくの呉はどういう雰囲気だったのでしょうか?
取り敢えず、原作を読んでみることにします。

コメント (2)    この記事についてブログを書く
« 白鯨との闘い | トップ | 2017年本屋大賞ノミネート作品 »

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
文句ありません (ちっぷ)
2017-01-18 22:18:09
作品そのものが持つふんわりとした空気や戦争の悲惨さ。
ひとつひとつが愛おしく、切なく思い出されます。
早くも年間1位を争う映画が出て来たのではないでしょうか。
                 
ちっぷさんへ (izumi)
2017-01-19 18:36:06
ごく普通の日常が…と思うと、毎日を大切に生きなくちゃ申し訳ないですね。
本当に愛おしくて、すずちゃんが幸せに暮らせますようにって祈ってしまいました…。
最近の邦画って若者の恋愛ものが多いように思うのですが、こういう芯の強さを感じられる映画はやっぱり素晴らしいですね。

映画 カ行」カテゴリの最新記事