日本国宝展 | アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】

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本日ご紹介する展覧会は、東京国立博物館で開催中の “日本国宝展” です。
シンプルなタイトルその通りに、日本の国宝をテーマにした展覧会。
建造物と美術工芸品を合わせた有形文化財1092件のうち、なんと約120件がトーハクに集結しています。
日本美術をテーマにした展覧会のポスターに、
よく 「国宝○件!重要文化財○件!」 というコピーがありますが。
今回の展覧会に関して言えば、出品作品すべてが国宝。 (一部正倉院宝物の展示あり)
日本美術ファンには、まさに夢のような空間が会場に広がっています。


会場

会場  会場
(注:館内の写真撮影は、特別に許可を頂いております)


まさに、会場は国宝だらけ。
一級品しか並んでいない会場は、まるで超高級料理が食べ放題なホテルバイキングのよう。
目移りすること必至です。

「オススメはどれですか?」 と聞かれたならば、
「全部です。」 と答えるより仕方のない展覧会ですが。
それでも、あえていくつか絞るのであれば、まずは 《元興寺極楽坊五重小塔》 は必見です。

元興寺極楽坊五重小塔


いや、必見と言われずとも、必ず目に飛び込んでくるとは思います。
なぜなら、高さは5メートル50センチ。
建造物のジャンルにカテゴライズされている国宝です。
そんな国宝建造物である 《元興寺極楽坊五重小塔》 は、今回の展覧会のために、
元興寺で一度解体され、その状態で運ばれ、東京国立博物館で再び組み立てられたのだそうです。
昔からここにいたような顔をして (?) 存在していますが、かなり労力がかかっています。
仰ぎ見ずにはいられません。

ちなみに、国宝ハンターの京都遠征時に、元興寺で 《元興寺極楽坊五重小塔》 を目にしていますが。
その時、目にしたよりも、数倍感動がありました。
本場で観るのも風情があっていいですが、
やはり博物館でライトアップされて、美術品として観ると、ディテールまで味わうことが出来ます。
それは、 《元興寺極楽坊五重小塔》 以外も然り。
「その国宝は、実際の場所で観たことがあるからいいや。」 とか、
「その国宝は、これから旅行して観に行くからいいや。」 などと思って、
トーハクに行かないのは、なんとももったいないことです。
美術品としてショウアップされた国宝の姿を、お楽しみくださいませ。


また、オススメとして外せないのは、国宝の土偶たちです。
現在は、 《土偶(合掌土偶)》《土偶(縄文のビーナス)》 の2体しか展示されていませんが。
11月21日からは、 《土偶(仮面の女神)》 を含む3体の国宝の土偶が合流。

仮面の女神  国宝 《土偶(仮面の女神)》
縄文時代(後期)・前2000~前1000年 長野県茅野市中ッ原遺跡出土 茅野市蔵 尖石縄文考古館保管
(注:展示期間 11月21日(金)~12月7日(日))



つまり、5体すべての国宝の土偶が揃うのです!
縄文のSMAP (←?) が勢揃いする貴重な機会。
これは、見逃せません。


さらに、11月18日から12日間限定で、国宝の 《金印》 が登場!

金印   弥生時代・1世紀 福岡市東区志賀島出土 福岡市博物館蔵
(注:展示期間 11月18日(火)~11月30日(日))



教科書でお馴染みのあの 《金印》 を東京で観れる貴重な機会です。
こちらも見逃せません。


と、書いてしまいますと、

「じゃあ、11月21日以降に行けばいいや」

と、思われたことでしょうが。
いえいえ、逆に、今しか観られない貴重な国宝もあるのです。
例えば、個人的にオススメなのは、東京国立博物館所蔵の 《地獄草紙》 (展示は11月9日まで) 。
飲酒に関する地獄が描かれています。
これから年末にかけて、飲み会のシーズンが到来しますので、
是非とも、 《地獄草紙》 を観て、自分を戒めておきましょう。

それと、国宝ではないですが、国宝級に貴重な正倉院宝物も11月3日まで特別に展示されています。
展示されているのは、 《鳥毛立女屏風》 を含む代表的な宝物11件。

鳥毛立女屏風 第3 扇(北倉44)(部分)  《鳥毛立女屏風 第3扇(北倉44)》(部分) 奈良時代・8 世紀 正倉院宝物
(注:第1扇も展示中。展示期間 10月15日(水)~11月3日(月・祝))



国宝約120件にくわえて、正倉院宝物まで集められた展覧会。
もはやこの展覧会そのものを、国宝に指定してもいい気がします。




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