舟越保武彫刻展 まなざしの向こうに | アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】

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現在、練馬区立美術館では、“舟越保武彫刻展 まなざしの向こうに” が開催中。

舟越
(注:館内の写真撮影は、特別に許可を頂いております。)


舟越保武は、戦後の日本具象彫刻界を代表する彫刻家にして、
天童荒太さんの小説の表紙でお馴染み (?) の彫刻家・舟越桂さんの父に当たる人物です。

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大々的な回顧展となる今回の展覧会には、
舟越保武の代表作ともいうべき、《原の城》 や、

原の城》


《ダミアン神父》 が出展されているのは、もちろんのこと。

ダミアン神父


長崎市に設置された 《長崎26殉教者記念像》 にまつわる作品も数多く展示されていました。

長崎26殉教者記念像  長崎26殉教者記念像


長男が生まれて間もなく急死したのを機にカトリックの洗礼を受けたという舟越保武。
それだけに、宗教的な主題を取り扱った作品を多く制作しています。
僕自身はほとんどといっていいほど信仰心が無いのですが。

宗教的主題の作品


そんな僕でも、思わず手を合わせたくなってしまうような、崇高で敬虔な作品ばかりでした。
今は練馬区立美術館にいると、頭ではわかっているのに、
どこか教会の中にいるような気がしてならなかったです。
そんな不思議な体験をした展覧会でした。
星星


また、舟越保武のもう一つの代名詞ともいうべき女性像も多く展示されています。

女性像  女性像


大理石で作られているとは思えないほどの柔らかさ (←触っていないですよ!)。
特に頬の柔らかさは尋常ではありませんでした (←くどいようですが、触っていないですよ!)。


ちなみに、展覧会のラストに展示されていたのは、晩年の作品群。

彫刻


全盛期は、あんなにも柔らかそうな肌を表現出来ていたのに。
何でこんなにもゴツゴツな肌の彫刻なのかと不思議に思っていたら、
75歳の時に病気のため右半身不随となってしまったそうで、これらの彫刻は左手だけで制作されたとのことでした。
見た目 (外見) の美しさではなく、内面の美しさを感じる作品といいましょうか。
スゴ味を感じる彫刻でした。




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