第百二十二話 国宝ハンター、初体験する! | アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】

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前回までのあらすじ~
 僕は国宝をハンティングする。
 好むと好まざるとにかかわらず、すべての国宝をだ。
 君はパスタを茹でながら、この記事を読んでいるのかもしれないし、
 あるいは、土曜日の朝にドリップコーヒーを淹れながら読んでいるのかもしれない。
 この国宝の旅の過酷さが、君に伝わっているのか、いささか不安だ。
 完璧な国宝ハンティングなどといったものは存在しない。完璧な絶望が存在しないようにね。
 やれやれ、また国宝の数が増えたようだ。



和歌山県の根来寺から、大阪府の慈眼院へ。
字面だけ見れば遠いような感じがしますが、地図で見れば2か所は意外と近い位置関係にあります。
直線距離にしたら、わずか約10㎞。
バスや電車を乗り継いで、約1時間で到着です。

こちらが、慈眼院の本堂。

慈眼院


あまり趣はありません (←おいっ)。
国宝ではありません。

国宝を拝観するには、事前に予約が必要となっています。
お寺の方に予約した旨を告げ、拝観料の200円を支払うと、裏手へと案内されました。

裏手


(ほ、本当に、こんなところに国宝が・・・?)

「この先にあります。」 と案内された、その場所には、閂でガードされた木戸が。

閂


木戸を開けて頂くと、そこには、イイ感じに苔むした趣のあるスペースが広がっていました。

光景


その奥に佇んでいるのが、国宝の 《慈眼院多宝塔》 (ジャンル:建造物) です。

慈眼院多宝塔


ちょうど、この1時間前に日本最大の木造多宝塔を前に、圧倒されてきたばかり。
それだけに、率直な第一印象は、

「小っこっ!!」

でした。残念ながら (笑)

高さは、約10メートル。
根来寺の多宝塔の約4分の1ほどしかありません。
なんと、こちらは日本最小規模の多宝塔なのだそうです。
最大と最小が、ご近所さんだなんて。

ただ、小さいながらも、味わいは大きく。
石山寺・高野山金剛三昧院のものと共に、日本3名塔と称されているのも納得。
実に趣のある塔でした。

心行くまで鑑賞し、慈眼院を後に。
ちなみに、木戸の閂はセルフサービス (?) 。
自分でかけるシステムでした。

閂


生まれて初めての閂体験。
無事に閂をかけることが出来ました。


そうそう。
多宝塔を鑑賞している際に、一つ気になったことが。
隣り合っている日根神社の境内が丸見えだったのです。

日根


こちらから丸見えということは、あちらからも丸見え。
もしかしたら、拝観料を支払わなくても、日根神社から多宝塔が見えたのかもしれません。

というわけで、日根神社へ。

日根  日根


結果から言えば、バッチリ見えました。

多宝塔


神々しい感じで見えました。

多宝塔


が!
やっぱり拝観料を払って、近くから観ましょう!
そっちのほうがオススメです。
閂も体験できますし。


お次は、慈眼院と同じ泉佐野市内にある孝恩寺へ。

孝恩寺


大正15年に建設されたという超レトロな駅舎・水間観音駅から歩くこと20分。
孝恩寺に到着です。

孝恩寺


国宝に指定されているのが、こちらの 《孝恩寺観音堂》 (ジャンル:建造物) 。

孝恩寺観音堂 全景

孝恩寺観音堂  孝恩寺観音堂


釘が1本も使われていないことから、「釘無堂」 とも呼ばれているのだとか。
鎌倉密教様式の貴重な建築なのだそうです。

確かに、パッと見た感じ、釘は使わていないようでしたが。
裏に回ってみると・・・

釘


消火器やスチールの棚が設置されていたり。
何より、近代的な建築と繋がっていたり。
「釘が1本も使われていないから、どうした?」 という感じになっていました。


さてさて、旅のラストは大阪市立美術館へ。
前回に引き続き、今回も “王羲之から空海へ 日中の名筆 漢字とかなの競演” を鑑賞してまいりました。

ハルカス


展覧会の後半戦に出展されていた国宝のうち、未見のものは、
文化庁が所蔵する 《世説新書巻第六残巻》 (ジャンル:書跡・典籍) と、
京都国立博物館が所蔵する 《稿本北山抄〈巻第十/〉》 (ジャンル:書跡・典籍) の2点のみ。


ハンティング数が800件を超えると、なかなか大量得点は狙えないですね。
これからますます厳しい戦いになりそうです。


今現在の国宝ハンティング数 831/1101




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