高畑勲がつくるちひろ展ようこそ!ちひろの絵のなかへ | アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】

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今年、開館40周年を迎えるちひろ美術館・東京
それを記念して、8月20日までスペシャルな展覧会が開催されています。
しかも、2つ。同時開催で!
星星


1つは、“高畑勲がつくるちひろ展ようこそ!ちひろの絵のなかへ”
日本を代表するアニメーション映画監督・高畑勲さんが演出したいわさきちひろの展覧会です。

“いわさきちひろの絵をアニメーションにした作品が見れたりして”

そんな期待を抱きつつ、展覧会を訪れたのですが、どうやらそういうことではありませんでした。
今回、高畑勲さんが演出したのは、
いわさきちひろの作品世界に入り込める、言うなれば “体感型” の展覧会。
ちひろ作品とマンツーマンで向き合うコーナーや、

マンツーマン
(注:館内の写真撮影は、特別に許可を頂いております。)


ちひろの絵を壁画サイズの大きさに高精細に拡大したコーナーが設けられていました。

ちひろ


“なんだ、アニメじゃないじゃん!”

と、はじめは思っていたのですが。
しばらく、ちひろ作品と向き合ってみていると、不思議なことに絵が動き始めたような気が!
まさに、脳内アニメーション!!
高畑勲さんの演出と知った上で展覧会を観ているせいもあるのでしょうが、

かぐや姫の物語 [DVD]/出演者不明



脳内で再生されたちひろアニメーションは、『かぐや姫の物語』 と通じる世界観がありました。

また、高畑勲さんが 『火垂るの墓』 を制作するにあたって、
戦争を知らない若いスタッフに、想像力を高めるために見せたのが、
ちひろがベトナム戦争のさなかに発表した 『戦火の中の子どもたち』 だったそうで。
会場には、その原画の数々がありのままの状態で展示されています。

戦火
戦火


ちひろが描いた少女が、節子の姿とオーバーラップしてしまいました。
涙なしには見られない展覧会です・°・(ノД`)・°・



さて、同時開催中のもう一つのスペシャルな展覧会は、“奈良美智がつくる 茂田井武展 夢の旅人”
こちらは、世界的な現代アーティスト・奈良美智さんが全面協力した展覧会です。
と言っても、奈良美智さん自身の作品は1点もなく、
奈良さんがセレクトした戦後日本で活躍した童画家・茂田井武の作品の数々が展示されています。

8.茂田井武画帳「続・白い十字架」より
茂田井武 画帳「続・白い十字架」より 1931-35年

11.茂田井武『セロひきのゴーシュ』より
茂田井武 『セロひきのゴーシュ』(福音館書店)より 1956年


さてさて、ちひろ美術館・東京が所蔵する茂田井武作品は、1000点以上!
奈良さんは、それらすべてに目を通し (!) 、
今見ても、「新しい」 と感じる作品を選んで、今回の展覧会を構成したそうです。

会場


茂田井武の作品の魅力は、アートテラーの僕がとやかく言うよりも。
茂田井テラーである (?) 奈良さんの言葉のほうが説得力があるので、そちらを紹介しておきます。

紹介
紹介


・・・つまり、そういうことです。

ちなみに、個人的に一番印象に残ったのが、下の2点。

江


可愛いけれど、どこか悲しさもある。
なんとなく、奈良美智さんの作品に通ずるものを感じました。
色合いも、なんとなく奈良美智さん風です。




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