ボストン美術館浮世絵名品展 鈴木春信 | アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】

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ダイナミックな構図とカラフルな色彩が魅力の浮世絵。
しかし、実は、誕生からしばらくのちは、
モノクロないしは、モノクロに2、3色ちょんちょんと色付けしたものが主流でした。
そんな浮世絵をカラフルなものにした立役者の一人、
鈴木春信の大々的な展覧会が、現在、千葉市美術館で開催中です。
その名も、“ボストン美術館浮世絵名品展 鈴木春信”
会期は10月23日までです。

ボストン


浮世絵界の超重要人物でありながら、
現存する鈴木春信の作品数は少なく、実に1000点ほどしかありません。
また、その8割以上が海外に所蔵されているのだそうです。
北斎や広重、歌麿、国芳に比べて、知名度が少ないのも、このあたりに要因がありそうです。
そんな鈴木春信の作品を多く有しているのが、アメリカのボストン美術館。
まさに、ボストン美術館の至宝ともいうべきコレクションです。
今回の展覧会では、それらのコレクションの中から選りすぐりの名品ばかりが里帰り。
レア度の高い展覧会と言えましょう。
星星


さてさて、今回の展覧会を通じて、
初めてまとまった数の鈴木春信作品を目にしての率直な感想は、

“まぁ、そんなにたくさん無くてもいいかなァ”

でした。
・・・・・せっかく沢山の春信作品を観させて頂きながらなんですが。

風流江戸八景 駒形秋月
鈴木春信 《風流江戸八景 駒形秋月》

鈴木春信《五常 智》
鈴木春信 《五常 智》


なんというか、ある程度、パターンが似たり寄ったり。
そして、味が薄め。
京風のおばんざいを、延々と食べさせられている感じでした (笑)


あと、描かれている女性モデルの縮尺が、ちょいちょいヘン。

浮世美人寄花 卯花 笠森の婦人
鈴木春信 《浮世美人寄花 卯花 笠森の婦人》


胴、長っ!!

着物の中にもう一人、足を担当している人 (?) がいるはずです。
いないとしたら、これは人ではなく、もはやPEZです。


それから、これは鈴木春信のせいではないのですが。
この当時にも、男の娘 (おとこのこ) が存在していたそうで、
そのため、男女を描いた浮世絵なのに、どっちが男子でどっちが女子かわからないことがしばし。
感情移入が、まったく出来ませんでした。

寄菊 夜菊を折り取る男女
鈴木春信 《寄菊 夜菊を折り取る男女》

桃の小枝を折り取る男女
鈴木春信 《桃の小枝を折り取る男女》


・・・・・と、ここまで鈴木春信をディスってばかりな気がしますが。
もちろん、素晴らしい作品も多かったです。
個人的に強く印象に残っているのは、《夕立》 という一枚。

夕立


下駄が脱げるほどの強風が女性を襲っています。
しかも、裾がチラリズム。
洗濯物もエラいことになっていますね。
夕立の臨場感が伝わってくる一枚です。
ちなみに、よく見ると、雨雲がほぼ洗濯物の上にあることがわかります。
いくらなんでも、雲、低すぎじゃない? (←結局、ディスる!)
もしくは、この女性が、雲の近くに住んでいるのかも。
エベレストとか。




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