世界の眼でみる古墳文化 | アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】

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ビジュアルのインパクトが強すぎるポスターに惹かれて、
国立歴史民俗博物館で開催中の展覧会 “世界の眼でみる古墳文化” に行ってきました。




なぜ、こんなに大きいのか?
なぜ、こんなに数多く作られたのか?
なぜ、日本各地に存在するのか?
いまだに、イマイチよくわかっていない古墳。


百舌鳥古墳群空撮写真(堺市提供)


今回の展覧会では、そんな古墳の特筆をピラミッドやマヤの神殿といった、
世界の先史モニュメントと比較することによって、明らかにしようと試みています。
世界のものと比べることで初めて、『ここがヘンだよ日本の古墳』 がわかるというわけです。

例えば、ヨーロッパにも、日本の円墳に似た墳丘墓はあるのですが。


英国の墳丘墓の調査写真


パネルの解説をよくよく読むと、その成り立ちは全然違うことがわかります。


(注:館内の写真撮影は、特別に許可を頂いております。)


まず、王が亡くなったあと木組みの墓室に埋葬されます。
そして、その後、その墓室を取り巻くように追葬が行われていきます。
その数、120基ほど。
言うなれば、墓室のニュータウン状態。
追葬が行われるたびに、墳丘は巨大化していくのです。
ところが、日本の古墳に関しては、
どれだけ巨大でも、原則として1古墳 (?) につき、埋葬されているのは1人だけ。
今まで考えたこともなかったですが、
確かに、ヨーロッパの墳丘墓と比べてみたことで、日本の古墳の不思議さに気づかされました。


また、ヨーロッパよりは文化が近い中国と比較することで、こんな事実も明らかに。




中国は、王墓や宮殿の位置など、
皇帝の指示のもと、都市整備をきっちり計画しているのに対し、




日本の古墳造りは、無秩序そのもの。
大きさもバラバラですし、それぞれがあさっての方向を向いています。
というか、今でこそ、民家が立ち並んでいますが、
そもそも、古墳の近くには都市が造られてはいません。
ますます、古墳の不思議さが際立ってきました。

さらに、お隣の朝鮮の王墓と比べることで、こんな事実が判明します。




日本が古墳時代の頃、もちろん朝鮮でも盛んに墳墓が造られたようです。
しかし、日本ほどバリエーションは豊かではないとのこと。
その代わり、王宮や山城などの建造に労力を注いでいたようです。
そう、普通の国は戦争に備えて、防衛に力を入れるのが普通。
島国で他国から攻められる心配がなかった日本からこそ、
無意味 (と思われる) な古墳造りに、労力と財力を投入できたというわけですね。
言われてみれば、なるほどです。


ということで、古墳については、
とっても興味が沸きましたし、とっても勉強になりましたし。
非常に意義のある展覧会であったことは確かなのですが。





パネルとレプリカの展示物が、半数以上だったので、
展覧会でなく、“図録で十分かも・・・” という印象は否めません。
星

とは言え、それはあくまで僕の眼でみた感想。
保存状態が抜群に良い古墳時代の鉄製の鎧 (重要文化財!) が展示されているので、




武具に興味がある人にはたまらないでしょうし。
漫画家・安彦良和さん描きおろしの古代の王の原画は、




ガンダムファン、漫画ファンにはたまらないでしょう。
皆様自身の眼でみて判断してくださいませ。




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