新恵美佐子展 「花」 | アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】

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この春、中村屋サロン美術館で待望の新企画がスタートしました。
その名も、“中村屋サロン アーティストリレー”
出展作家自身が次の作家を指名し、リレー形式で繋いでいく。
言うなれば、『笑っていいとも』 の 「テレフォンショッキング」 のような展覧会シリーズです。

記念すべき、第1回目のゲスト (?) に選ばれたのは、
インドと日本を往復しながら、制作活動と発表を行っている日本画家・新恵美佐子さん。
新宿中村屋といえば、インドカリー。
なるほど。インド繋がりですね。


というわけで、早速、現在開催中の “新恵美佐子展 「花」” に行ってきました。




最初の展示室を埋め尽くしているのは、新恵さんの墨絵の作品。
一面、モノクロの世界です。




描かれているのは、和紙ではなく宣紙。
墨の発色やにじみ、かすれの美といった書画表現を満たすために生み出された中国の紙です。
なので、近づいてみると・・・




墨の濃淡が何層ものレイヤーになっていることに気づかれます。
単なる平面作品ではなく、奥行き (精神的空間) が感じられる、むしろ立体的な印象の作品でした。

こちらの 《花》 という作品も、




パッと見ただけでは、全くもって花に見えなかったのですが。
じーっと眺めていたら、満開の桜の木を見上げているかのような光景に見えてきました!
アハ体験です。
近すぎてピントが合っていない手前の花と、その奥にある花。
立っているはずなのに、まるで寝転んで眺めているような。
不思議な感覚に陥りました。


続く展示室では、一転してカラフルな世界が広がっています。





中でも必見なのが・・・いや、意識せずとも目に飛び込んでくるのが、
今回の展覧会のために制作されたターコイズブルーの大作 《揺籃》 です。




全体像を引きで鑑賞したいところですが、




展示スペースの関係で、それは不可能。
斜めの角度から鑑賞するか、




正面から作品の一部を鑑賞するより仕方ありませんでした。





ただ、あえて、そういう理不尽な (?) 環境で、
鑑賞したことにより、改めて新恵さんの作品が立体的であることを実感。
どんな角度から見たとしても、また一部だけ見たとしても。
作品全体の印象は全く変わりませんでした。
星


ちなみに、《花》《揺籃》 も深い精神性を感じる作品なので、
“新恵さんは、取っ付きづらい人間なんだろうなぁ” と、仙人みたいな人物を想像していたのですが。




作風が真逆の、ポップでカワイイ作品も多く描いていました。




たぶん、取っ付きづらいタイプの人物ではなさそうです。
なんかホッとしました (笑)

個人的にお気に入りなのは、墨で描かれた虎と雛鳥。




墨のにじみ、ふるえが実にキュートです。
可愛すぎて、「勝手にふるえてろ ラブラブ」 と言いたくなりました。




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