【洗い指定以外の工程に伴う保証について】

復元洗い等、洗い指定以外の工程を含む処理についてはクリーニングの保証対象外となります。
生地が耐え切れず溶けてしまったり、直せないほど変形してしまう等、
想定外の不具合が出てしまった場合は代金は頂かずご返品にはさせて頂いていますが、
弁償等の保証は一切できません。 それぞれ詳しく説明させて頂きますのでご了承願います。

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ウールハンチング帽クリーニング~合成皮革劣化による剥がれ2~

ウールハンチング帽クリーニング~合成皮革劣化による剥がれ2~

※ 劣化した合皮の剥がし、修復はお受けしておりません。事例としてのご紹介です。

おしゃれ工房you友(ゆうゆう) 大友眞吾です。

前回、洗う前に気が付いた合成皮革(合皮)の剥がれ事例をご紹介しました。今回は洗ったら剥がれてしまった合成皮革のご紹介です。

帽子の留め具部分、革のように見えていた長さを調節するベルト部分。洗う前に剥がれが出ていないのを確認してから洗っていますが、洗ったら見事に剥がれてきてしまいました。

受付時、合皮の場合は少しでも劣化が見受けられた場合、洗えないとお伝えし、まだ大丈夫に見えていても剥がれの可能性と寿命のご説明を必ずしています。

時間とともに寿命が来てしまう素材なので、洗い方が上手いとか関係ないんです。どのくらい持つかはメーカーの使う合皮次第なんです。

今回は素材がウール70%の帽子ですが、汗と臭いを取るために水洗いをしています。1点手洗いです。ドライクリーニングなら水分を使わないのでもう少し長持ちしたかもしれないのですが、汗と臭いを取りたいのに取れない洗いでは意味がないんです。

ウールハンチング帽クリーニング~合成皮革劣化による剥がれ2~

ドライクリーニングでも皮脂など油性系の汚れは除去できますので、クリーニングすることが無意味と言っているわけではないんです。お客様が気になる臭いとか汗を取って欲しいという事に対して、取れない洗い方をしても意味がない、という事です。

臭い取りはダウン製品を筆頭に、汗の蓄積、皮脂など蓄積による加齢臭のような臭い、ワキガ体質の方からのニオイ取りなどドライクリーニングしかされない服のニオイのご相談はとても多いんです。

っと・・・臭い取りの話は次回にして・・・

ウールハンチング帽クリーニング~合成皮革劣化による剥がれ2~

革のように見えるモノには合成皮革と人工皮革があります。私が調べた限りでは明確な定義づけはされていないのかな・・・

調べてみてもこの2種は色々な意見というか聞く人によって分かれるので、私が扱ってきた経験と私なりに調べた見解という事で、劣化した時の状態とか劣化が始まったサインなどをご紹介したいと思いますので興味のある方は続きをどうぞ^^

ウールハンチング帽クリーニング~合成皮革劣化による剥がれ2~

合成皮革とは合皮と呼ばれ、文字通り皮と生地を合わせたモノです。基布に薄い皮を貼り付ける状態で合わせているので切って断面を見ると基布の上に皮が載ってる状態(二層)が見えます。

実際には薄い皮を貼り付けているわけではなく、乾くと塗膜になる塗料を塗るようにして付けられています。合皮は少し寄せる感じにシワを作ってみて、浮きが少しでも出ているのが見えたら寿命。

浮きが出ていなくても洗う事で剥がれる事も多々ありますが、寿命が来ていなければ剥がれてくることはないんです。

それに対して人工皮革は革と同じような作りで作られているモノ。切って断面を見ると革と似たような繊維状のモノが見えます。不織布のような繊維状のモノに合皮と同じ塗料を芯まで浸透させ革と似たような構造を作っているモノ。

合皮は上に皮を乗せてあるので剥がれてきますが人工皮革は全体に浸透させてあるため剥がれてくることはなくべとべとしてきたりします。

ウールハンチング帽クリーニング~合成皮革劣化による剥がれ2~

合成皮革と人工皮革の大きな違いですが、実は革のように見えるモノは同じような材料で作られています。材料の配合、作られ方により耐久力とか加水分解までの時間とか変わってくるんです。

服やこうした身に着ける装飾品でも10年以上の寿命があるモノもあるし、2~3年でだめになってしまうモノもあります。品質で言えば例えば革より高い人工皮革の高級ソファーとか、半分革、半分人工皮革で作られている車のシート。

特に車のシートは夏場は高温、直射日光にも当たるけど、そう簡単には劣化しません。服に使えば簡単に劣化などしないと思いますが・・・コストの関係なのかここまでの品質を持ってるモノが使われるのはほとんどないですね。

人工皮革は芯まで革と似た構造を持っていて剥がれる事はなくべとつきが出てくるモノ。合皮は表面のみコーティングするように加工されているモノでひび割れたり剥がれてきたりします。

最近ではポリウレタンコーティングされている服もよく見かけます。代表的なのがライセンス物マッキントッシュかな。ゴム引きコートは品質表示にポリウレタンコーティングと記されています。全品ではないかも・・・

ちなみにゴム樹脂もポリウレタンも、弾力があり伸縮するゴム状のモノを総称してエラストマーと言います。輪ゴムもエラストマー。EAってインポート製品でよく見かけますがスパンテックス。ゴムのように伸縮する素材ありますよね。

伸縮するゴム樹脂芯に伸縮しない繊維を横に巻き付けて伸縮するように作られた繊維です。ゴム芯にはポリウレタンが使われているので、寿命が来ると伸びたまま戻らなくなります。パンツのゴムとか靴下のゴムとかいろんなところで使われています。

ライセンス物マッキントッシュゴム引きはどのくらいの耐久度があるかはまだ歴史が浅いのでもう数年しないとわかりません。国産だから日本の気候に合う、長年愛用できるポリウレタンが使われていたらいいですよね!

ウールハンチング帽クリーニング~合成皮革劣化による剥がれ2~

品質表示に「PU」 「PVC」と書かれているモノがあります。
「PU」はポリウレタンで「PVC」(ポニビニルクロライド)はポリ塩化ビニルという素材になります。

「PU」のポリウレタンは合皮や人工皮革、表面コーティングだけではなく服の見えない部分、内側にも使われたりしています。代表的な服がダウンブルゾンやコートかな。

薄い生地でも通風性を遮断するため、裏側に生地を貼り合わせているのですが、この貼り合わせに使われるのがポリウレタン樹脂と言われる接着剤なんです。

同じように経時劣化するため、溶け出すと油シミのようなシミができたりします。詳しくは前回の記事を読んでください。

塗料と言う者は、色が付いた粒子に接着剤を混ぜ貼り付けてあるものです。セメダインでも木工用ボンドでも接着剤(樹脂)に石でも紙でも入れて混ぜ合わせて塗って乾かせば入れたモノが貼り付きますよね。理屈は同じです。

この樹脂を用途に合わせて使い分けているのが塗料とか接着剤なんです。

PVCというのはポリ塩化ビニル、通称「塩ビ」と呼ばれるものです。この「塩ビ」は簡単に言えばプラスチックなんです。プラスチックって熱を掛けると柔らかくなりますよね。

柔らかくなった状態を常温でも維持できるように薬品を混ぜたモノが「塩ビ」なんです。

柔らかくなる薬剤は少しずつ揮発するように抜けていきます。すると抜けていくごとに元のプラスチックに戻るように固くなっていきます。

代表的というか、有名なものがヴィトンのモノグラムかな。質の良い塩ビを使われているので簡単には固くなりませんが、長年愛用していくと新品時の柔らかさやしなやかさが無くなり固くなっていき、いずれは折れ曲がらないくらいバリバリになっていきます。

ただ、この現象は柔らかくしている薬品を入れ直してあげる事で柔らかさとしなやかさは復元しますでの、バック補修などできるお店へご相談ください^^

服やバックに使われている塩ビは固くなります。私の経験上、バックの内側など溶け出した場合、塩ビではなくポリウレタンだと思います。塩ビの場合は加水分解はせず固くなっていくとおもいます。

服に使われるのもほとんどはポリウレタンで、がちがちに固くなったりコートなどバリバリしてきたら塩ビって判断になると思います。

実は高額有名ブランド品でバリバリなったコートを何着も見ています。少し前にもしかしたら・・・と思ったのですがその後相談がなく確認はできていませんが・・・またご相談が着たら試してみようと思う方法があります^^





 
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