(内田樹 洋泉社)

「誰にも迷惑かけてないんだから、ほっといてくれよ」と言って、売春したり、ドラッグをやったり、コンビニの前の道路にへたりこんでいる若者たちがいる。 彼らは「人に迷惑をかけない」というのが「社会人としての最低のライン」であり、それだけクリアーすれば、それで文句はないだろうというロジックをよく使う。なるほど、それもいいかもしれない。でも、自分自身に「社会人として最低のライン」しか要求しない人間は、当然だけれど、他人からも「社会人として最低の扱い」しか受けることができない。そのことはわきまえていた方がいいと思う。

「自分に敬意を払う」ことのできる者のみが、他人からも敬意を受け取ることができる。

間違えてはいけないが、自分に敬意を払うということは・・・と続くのである。

これは「今時の若い者は・・・」とおじさんが説教をたれる本ではない。

なぜなら、そのような本を読むのは「そうそう、俺もそう思っているんだよ。」と溜飲を下げるおじさんばかりであり、

肝心の説教されるべき若者は決して読まないことなど、したたかな著者にはお見通しだからである。

で、この本は「大人というものは、こういうふうに考えるものだ。なぜなら・・・」ということを教えてくれる。

いや逆に「こういうふうに考える人のことを大人と呼ぶのだ。」と、

いつまでたっても「大人」になりきれない「子どもたち」に、噛んで含めるように教えてくれる本なのである。

(2003年12月)

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