1737年ころ、駐ザクセン公国ロシア大使として

ドレスデン にいたヘルマン・カール・フォン・カイザーリンク伯爵は不眠症に悩んでおられた。


これを聞きつけたバッハ は、日頃何かと目を掛けてくれる伯爵に

穏やかな眠りをもたらそうとして独奏チェンバロによる変奏曲を作曲、

伯爵はお付きの奏者に夜毎弾かせては安眠を得られたのだそうな…。


とは大変に有名な話でありまして、

この夜毎伯爵に聞かせていた奏者の名前がヨハン・ゴットリープ・ゴルトベルク。

バッハの曲が「ゴルトベルク変奏曲」と呼びならわされる理由とも考えられているようで。

(Wikipediaには、ゴルトベルクは当時14歳の少年で、まだ弾けなかったんでないのとありますが)


ところで、音楽には催眠効果をもたらすものがありますですねえ。

直接的に眠りを誘うというべきなのか、

音楽が心身をリラックスさせた結果として眠りに導かれるというべきであるのか。

いずれであるか(あるいはいずれでもないか)は定かではありませんですが、

後者に関してよく出てくる言葉が「アルファ波」というものですね。


場合によっては「より多くアルファ波を出すには…」てなことが取り沙汰されたりもするようですが、

リラックスした結果として出てくるものなら、「もっともっと!」と気負っていては出るものも出ない

のではなかろうかと。


で、逆に「アルファ波が出やすい」、つまりは心身をリラックスさせてくれやすい音楽はあるようで、

クラシック音楽でも爆裂系の曲でもなければ基本的にはリラックス出来てしまうと思いますが、

(退屈であくびが出るというのはちと違うのやもしれませんけれど)


その典型的な例としてよく挙げられるのがモーツァルト の音楽ではなかろうかと。

あれこれぐぐっておりましたら、「NEVARまとめ」というサイトにこんな記載がありましたですよ。

モーツァルトの曲を解析すると…、小川のせせらぎや風のそよぎのような「1/fのゆらぎ」で感じられる。

これまた「いかにも」的な話かと思いますが、実体験としても「やはり」と申しましょうか。

このほど出かけた読響の演奏会でモーツァルトの「クラリネット協奏曲」が流れてくる中、

数度にわたって撃沈寸前状態になったりしたものですから。


読売日本交響楽団 第190回土曜マチネーシリーズ@東京芸術劇場


ウィーン・フィルの主席クラリネット奏者ダニエル・オッテンザマーの、

深い呼吸にも似た音色を聴いておればむべなるかなではありますけれど、

まあ考えてみれば、何度も申しておりますように住まいは思い切り西日のあたる家でして、

昨夜はまだ良かったですが、その前の晩は日中にたっぷりと太陽の恩恵を蓄えた屋根や壁が

日暮れとともに室内に熱気を放出し始めるわけですから、ようよう寝られようもなく…。


つまりは大いなる寝不足状態で臨んだ演奏会であって、

度重なる撃沈寸前状態も、モーツァルトやらアルファ波やらの話以前に必然であったような(笑)。


と、演奏会のことを振り返ってみると全体の話にまとまりがなくなってくるところですけれど、

翻って考えてみれば心身をリラックスさせて、結果的に導眠作用につながるのであれば、

寝苦しい夜にもモーツァルトの音楽を流しつつ床についてみるというのもありなのかなと思ったり。


早速お試し!と思うところながら、

気付いてみれば絶えて久しくポータブル音楽プレーヤーを持っていないことに思い至る。

幸い昨日今日と涼しい日になってますが、残暑逃れをそう簡単に問屋が卸してくれるはずもなく、

まだまだ試す機会はあるはずなのですが…。


ブログランキング・にほんブログ村へ