…という洞窟観音 は実は複合的な観光施設になっておりまして、
ほかに徳明園、山徳記念館というのがあり、共通入園券になっておるのですね。


洞窟観音は複合施設で


洞窟観音を作り上げたのが高崎で呉服商を営んでいた山田徳蔵という人ですので、
山徳記念館というのはその方の住まいの一部を展示施設にしている場所、
そして徳明園とはその住まいから見渡せる庭園というわけでして。


徳明園&山徳記念館への道


洞窟観音のある岩山を右手に巻くように進みますと、
木立を通して斜面の下側にそれらしきものが見えてきました。


斜面の下に庭園が広がっているらしく…


回遊式庭園ですので、まずは池を見下ろしながらひと巡りしてみます。
この庭園に見られる起伏は先の洞窟観音の掘削で出た土砂を使っているとのこと。
ちなみに高崎では有数の紅葉の名所であるようですが、
訪ねたのが11月始めではさすがにまだ色付きはまだまだのようですなあ。




基本的にはプライベートな庭園なのでしょう、
奥に見えた屋敷の縁側が庭園を望むベストスポットとして作られているそうですが、
11月中旬からという紅葉ライトアップの時季ならば頷けたことでありましょう。



ところでその屋敷の方ですが、展示施設になっている山徳記念館にも入ってみますと、
入り口のところにはこのようなステンドグラスが。


山徳記念館のステンドグラス


七福神…?いやここでは寿老人と毘沙門天の二枚落ちした五福神を信奉しているようで。
なんせ山徳さんの家業は呉服商なだけに、呉服を五福に掛けたということ。
商売人らしい発想のような気がしますですね。


ということで、山徳呉服店の本店に飾られていたのが先のステンドグラスで、
これの原画を描いたのが山徳さんと旧知であった北沢楽天なのだそうですよ。


北沢楽天「五福神」


とはいえ、北沢楽天とは俄かにピンとは来ませんでしたが、
日本の漫画家の草分けであって、明治期から風刺漫画を描いていた…と聞くに及んで、
「ああ、あれか!」と思い出したのが前に読んだ日本のビール受容史たる「ビールと日本人 」に
「田吾作と杢兵衛の東京見物」が引用されていたことでありました。

(ハイカラなことに疎い田舎出の人たちをカリカチュアライズしているのですな)


とまれ、そうした北沢楽天との関わりから
山徳記念館の展示は「風刺漫画」をコンセプトにしているようで、
訪ねたときには日本の歴代首相の似顔絵が並んでいたりしましたですよ。




ただの似顔絵でなく石の形を顔の輪郭に見立てるというのは遊び心ですな。
風刺に繋がる精神でもありましょうね。

昔は政治を風刺する精神が強く息づいていたように思いますけれど、

戦争の経験と戦後の経験、それぞれは全く違うところながら両者を通り抜けるうちに

だんだんと日本人の風刺精神は矮小化してしまっているかもしれませんですね…。


というまじめな話は場を変えるとして、

立ち去り際になって、最初は見過ごしてましたですが、
庭の池の真ん中に浦島太郎像があるのに気が付きました。


徳明園の浦島太郎


日本庭園の優雅を思わせるかと思えば、併設の建物には風刺漫画を展示し、
その庭園の中にも五福神の解説板を設けたり浦島太郎を置いてみたり。


この辺りのまとまりなさというか、なんでもあり感というか、
いわゆる大名庭園ではなく、また明治の大実業家による庭園でもない、
背伸びする庶民感覚とでも言いましょうか、そんな感じが微笑ましい徳明園なのでありました。


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