さて、とっぷり暮れて到着した犬吠埼での一夜の宿は、
部屋の窓から太平洋の大海原を見渡せるようになっておりましたですよ。



ご存知のように犬吠埼は千葉県の東端であるという以上に関東地方の東端、
これより先は海という場所でありますから、景色と言えば海、海、海。
そうとなれば、当然に期待の高まるのが太平洋から昇る朝日となりましょうね。


が、しかし…。
予報どおりに雲が多く垂れ込めているのですなあ。


遠くを見晴るかす中では太陽が昇る瞬間くらいは見えるのではなかろうか、
なんとなれば雲は海面より高いところに浮いているのだから…と都合のよい理屈を考えるも、
さすがにいくら文系頭でもそりゃ無理だろうと。


地球は丸いわけで障害物なく遥か彼方まで見通すということは
地球の球面上を浮いている雲も球面に沿って、直線的には沈み込むようになるわけですから、
遠く遠くの先まで見てもやはり雲しか見えない…と、残念な事実に気付くのでありますよ。


いつの間にやら日は昇り…


些かでも雲のすき間ができんものか…とやきもきするのもお構いなしに
厳かに2017年1月8日の朝日はいつの間にやらどんどんと昇っていくのでありました。



思い切りズームで寄せてみますと雲の切れ間から光芒が差し込んでいるのが見える。
はたまた飛行機の航跡からしても低いところに雲がたれて込めれいるさまが窺える。
まあ、コンスタブルの風景画ではありませんが、雲があればこその眺めもまた
楽しからずやでありましょうか。



そんなこんなのうちに夜の帳はすでに開け放たれましたので、
ちょいと波打ち際まで出てみることに。


天気予報は曇りであるというのみならず低気圧の接近を伝えておりましたから、
そうした影響もあるのか、ばっちり外海の岸辺に寄せる波は迫力あるものでありました。


太平洋の波高し


あたかも東映映画の幕開けかと思われる波濤が次から次へと押し寄せてくる。
大岩にぶつかっては砕け散る波を見ていて、ふと気付いたことには
葛飾北斎 描くところの波のさまは決して誇張ではなかったのでなあと。


北斎描く波のよう


と、そんな荒々しい自然の姿に触れた海岸から少し引っ込んだところの遊歩道。
その一角に「なぜ、ここに?」というもの発見、ウチワサボテンの群落でしょうかね。


なぜここにウチワサボテンが?


だいたいサボテンというのは、植物の適材適所ではありませんが、
砂漠とかそういう過酷な環境で生育している気がしていたものですから、
犬吠埼の海岸はそれほど過酷な場所なのか…と思ってしまいそうに。


ですが、銚子から利根川を越えた先、茨城県神栖市の海岸沿いには
「ウチワサボテン群生地」なるものがあって、県指定の天然記念物にもなっているのだとか。


ちなみに「ウチワサボテン」「群生地」でぐぐると出てくるのは
とにかく茨城県神栖市の情報ばかりということからして、ある意味、珍しい存在なのかもですが、
この犬吠埼の海岸も気象環境などは群生している神栖市と大きな差はないでしょうから、
見かけても当然ということなのかもしれません。


とはいえ、神栖市HPの解説に曰く「熱帯アメリカ原産」であるというウチワサボテンに、
こんなところで出くわすとは思いも寄らない犬吠埼の海岸なのでありました。


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