先ごろはタイの洞窟に少年たちが閉じ込められたと連日ニュースで騒がれておりましたが、
無事に救出されたことでニュース番組からは消えたと思いましたら、その後には早速にも
今回の事件が「ハリウッドで映画化か?!」なんつう話が聞こえてきたりしましたなあ。


実話ベースの映画作品がずいぶんと増えた気がしている昨今ですけれど、
まさに「事実は小説より奇なり」とでもいうような実話が都市鉱山のように
存在しているということなのでしょうか。
たまたま見た映画「マダム・フローレンス!夢見るふたり」も実話ベースでありました。


マダム・フローレンス!  夢見るふたり [DVD]


大金持ちの音楽愛好家であるマダム・フローレンス(メリル・ストリープ )は
ニューヨークにあって音楽関係者に多大な寄付をしている関係から、
大指揮者トスカニーニやジュリアード音楽院の教授たちからも一目置かれる存在なのですな。


音楽ビジネスには多額の費用がかかることから、大事なパトロンを失いたくない取り巻きは
マダム・フローレンスをちやほやするわけですが、そのちやほやの中には彼女の歌唱を
褒めちぎるということも含まれていたものですから、本人ばかりが勘違いをすることに。


音楽愛好家も講ずると自分も演奏者となってみたいと思うのは想像に難くないところですが、
彼女の場合は声楽で、周りが上手い上手いと褒めることから本人は自分の歌声を多くの人に
聴いてもらいたいとカーネギーホールでのリサイタルをもくろむことに(お金、ありますから)。


フローレンスの生涯のパートナーとして傍に寄り添うシンクレア(ヒュー・グラント)は
実はフローレンスの歌が聴くに堪えないものであることを何とか本人に気取られないよう
周囲への配慮を促すなどは陰に回って画策に努めてきたのですが、
サロンで内々に歌うならまだしもカーネギーホールでの公演となると
何を言い出す輩が現れるか分かったものではないと気が気でないのに、
当の本人は自身たっぷりなのですなあ。


で、結果としてはあまりに痛々しくて詳述できませんが、これも実話。
たぶんフローレンス自らは、後に自分の生涯に関する伝記的な何かが残されるとして
よもやこうした映画になろうとは考えてもみなかったことでしょう。


もっとも痛い勘違いを笑い倒すのが本作の唯一絶対的な意図とも思いませんので、
どういう部分を重点に受け止めるかは見た方次第でもありましょうけれどね。


地球上には76億もの人が生きていて、単純に言って76億通りの人生がある。
すでに亡くなった方の人生を振り返ることまで含めれば、実話が多く映画化されるといっても、
砂浜に落とした針を見つけ出すような程度の取り上げ方かもしれませんですね。

広く誰彼に知られることはないけれど、身近なところではその存在が大事に思われている、
そんな生き方で生涯を送る人がほとんどでありましょうね。


その人たちは、お金持ちでもなく、カーネギーホールでリサイタルもしませんけれど、
何かしらにせよ、幸せを感じている方がきっと多いことでしょう。


映画では結局のところフローレンスは幸せだったと伝えたいのかもしれませんですが、
一様ではない幸せのありよう、人を見て幸せかどうかを云々しても詮無く、
自らが思う幸せのありようは自らの中に見つければいいのでありましょう、たぶん。


…というところで、とても些細な幸せ気分を求めて?
両親を伴って一泊旅行に出かけてまいりますので、明日はお休み。
何するでなく宿で風呂に入り宴会食を食しカラオケでもすれば両親は幸せ気分。
そのようすを見てこちらもそのような気分になれば良しというわけです。ではでは。