リー中川 アクションスターを考える | 元祖!一人プロレス

リー中川 アクションスターを考える

バーン!ドンッということで、先日テレビでアクションスター総選挙なるものがあったようで、SNSとかでいろいろと検索してみたら、なんと一位がトム・クルーズ!えっ…トムってアクションスターなの?とまずはそこに驚いた。まぁ、確かにミッションインポッシブルとかで、ジャッキーばりのとんでもないスタントやアクションもするし、ラストサムライでも乗馬も殺陣もこなしてたし、確かにアクションが出来る超一流俳優には違いないんだけどさ。。。とは言え、トム・クルーズが『アクションスター』というのはちょっと違うよなぁ〜、と。どっちかといえば、『ハリウッドスター』と言った方がしっくりくるよね。

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確かにメチャクチャ体張ってる!!怖いもの知らずのトム!でも『アクションスター』ではないと思うんだよねー。

総選挙のランキングは以下の通り

アクションスター総選挙・ベスト10

 1位 トム・クルーズ
 2位 アーノルド・シュワルツェネッガー
 3位 ジャッキー・チェン
 4位 ブルース・リー
 5位 ブルース・ウィリス
 6位 シルベスター・スタローン
 7位 キアヌ・リーブス
 8位 スティーブン・セガール
 9位 ジェット・リー
 10位 ジェイソン・ステイサム


ブルース・リーが4位だとぉぉ!!

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と怒りつつも、
一応は納得出来る顔ぶれではあったのだが、

な、なぜにキアヌが?
チャック・ノリスもヴァン・ダムもラングレンもドニー・イェンも入ってないのに、なぜキアヌがランキングに入ってるんだ?とちょっと納得出来なかった。これも時代なのか…

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カンフースターばりに構えるキアヌ・リーブス

まあでも、キアヌは大ヒットアクション映画『スピード』では、坊主頭にしてそれまでのイメージを一新してタフガイぶりを発揮したし、SFアクション超大作『マトリックス』では、あのユエン・ウーピンから武術指導を受けて功夫を体現し、近年『ジョン・ウィック』では、犬の仇を討つ最強の殺し屋でドンパチ派手に演じているし、十分にランキングされていいんだけども、うーん…キアヌは『アクションスター』ですか?違うよなぁ〜やっぱり『ハリウッドスター』なんだよね。まー結局解釈の違いというか、そもそも『アクションスター』ていう言葉がしっかりと定義付けされていないことに問題がある気がしてきたのだ。アクションスターって漠然としてるもんなぁ…てことで、超激烈アクションスター愛好家としてアクションスターを考えてみました。

◆アクションスターはすでに死語なのか?

そもそもアクションスター、という存在、その言葉自体、今の若者たちにとってはよくわからないものなのだろう。だから、ジョニー・デップとかをアクションスターとして認識してしまうんだね。まー、アクション映画全盛期時代のノリを体験してないから仕方ない。俺も世代的に西部劇がどれほど人気があったとか、どの俳優が人気あったとかわからないからね。やっぱリアルタイムで体験してることって大事だよね。

70年代、80年代、90年代は、ハリウッド映画全盛期の時代。そして、その中でも燦然と輝く【アクションスター映画】というジャンルがあった。それはいわゆるB級映画と呼ばれる類いのもので、過激な暴力描写が多く、内容が稚拙で低俗だと、映画界からは疎まれ、卑下され、常に差別されているジャンルでもあった。また、主演している俳優も、演技力の前に、まずは優れた武道家であったり、なんらかのスポーツや、ボディービルダーのチャンピオンであったりと、ルックスよりまずは身体的に優れる、超人的な肉体が売りの屈強な男達ばかりであったのだ。

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元ボディビルダー世界チャンピオンのシュワルツェネッガーのデビュー作、その名もSF超人ヘラクレス!

◆ 肉体が武器のアクションスター

そして、そのアクションスター達のほとんどは、純粋なアメリカ人ではなく外国人。だから人種差別を受けたり、虐げられてきた人達も多い。しかし彼らはコンプレックスを強靭な肉体と精神で跳ね除け、超人然とした独特のオーラで数々のアクション映画で地位を築き存在を確立し、世のマイノリティーから多くの喝采と賞賛を受けたのだ。

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ザ・アクションスターのスタローンも、イタリアン・スタリオン(種馬)と呼ばれバカにされた。しかしゴーフォーブロック!の屈強なハートで、映画界を代表するメガスターとなった。

だからアクションスターと呼ばれる彼らのアクションには、心の奥底からの湧き上がる魂の叫びがある。パンチはただのパンチではなく、様々な感情を表現していたのだ。それは小手先の演技論などを超えた独特のエネルギーを放ち、静と動を自在にコントロールし、その佇まいで観るものを熱く高揚させる存在なのだ。覆面を被らず、コスチュームも着ない、生身のままのリアルヒーロー。これこそが選ばれしもの、アクションスターなのだ!

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言わずと知れたブルース・リーの凄まじい肉体。こんな人間いません!まさしく超人!これぞアクションスター!

◆ アクションをしたがるハリウッドスター

だから、トム・クルーズや、キアヌは根本が違うんだよね。ハリウッドスターとして売れまくったその後に、アクション畑にやってきたんだよね。時代とともに、なんとなくバカにされてるポジションだったアクション映画界に、アカデミー賞クラスの演技の出来る俳優達が大挙参戦してきた、ということなのだ。リーアム・ニーソンや、マット・デイモンなんかその筆頭だ。

◆ CGIでアクションスターはいらなくなった?

さらにグリーンバックやCGIの技術が発達したことで、アクションが出来ない俳優でも出来るように見せれるので、もう猫も杓子もアクション映画に出演するようになったのだ。スパイダーマンやアベンジャーズなどのマーベルヒーロー物は大ヒットするし、とうとうマッドマックス怒りのフューリーロードという超爆裂B級アクション映画が、アカデミー視覚効果賞を獲るまでになった。完全にアクション映画への偏見はなくなったのだ。

そして、ついに!ジャッキー・チェンにアカデミー功労賞が贈られるなど、映画界において、アクション映画に対する評価がガラリと変わった。
エクスペンダブルズの大ヒットをみてもそれは納得できる。生けるレジェンドの共演はファンならずとも興奮した。もはやアクション映画をバカにしてる人なんかいない!結局なんだかんだ言っても、みんなアクション映画大好きなんじゃん!てことになったのだ。しかし、裏を返せばアクションスターにとっては営業妨害をされ続けている、という状態でもあるわけなのだ。だってアクション映画というジャンルは、本来アクションスターのためだけのものだったんだからね。それをアカデミー賞クラスの俳優達がやっちゃったら…本家のアクションスター達は商売上がったりなのである。

◆突然変異のアクションスター ブルース・ウィリス

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パルプフィクションで高倉健のように、刀を構えるブルース・ウィリス。

アクションスターだからアクション映画に出演する、アクション映画だけに出演するのがアクションスター。その常識を覆したのがブルース・ウィリスだ。彼は誰もが知るアクション映画の金字塔『ダイ・ハード』に主演し、アクションスターの仲間入りを果たしたのだが、本来彼はアクションが得意だったわけでもなく、テレビドラマ俳優であり、純粋に演技者だったのだ。それまでのアクション映画と言えば、スタローンやシュワちゃんみたいな、筋骨隆々の屈強な男がマシンガンをぶっ放したり、ジャッキーやノリスのようにカンフーやスタントをこなす肉体派俳優が出ているのが当たり前だったんどけど、いたってフツーのおじさんが、ひーこらグチりながら大活躍する、とてつもなく面白いアクション映画が出来たために、いろんなことがひっくり返っちゃったのだ。ウィリスも望んでもないのに、アクションスターという称号を与えられることになった。そう、ブルース・ウィリスこそ、演技の出来る俳優が、アクションスターへ転身した系の元祖だったのだ。また、アクションスターでありながらも、シックスセンスや12モンキー、パルプフィクションなど、様々なジャンルの映画にも出演する特殊なスター俳優なのだ。

一方メル・ギブソンなんかは、演技派の俳優であると同時にアカデミー賞常連の監督でもある。一見アクションスターじゃないんではないか?と思われがちだが、デビュー作はド直球のアクション映画マッドマックス!!なので彼は間違いなく正真正銘アクションスターなのです(笑)。近年も、復讐捜査線、ブラッド・ファーザーなど、ハードなアクション映画で活躍しているのだ。

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マックス、リッグス刑事、アクション映画を代表する2大キャラクターを演じたメル・ギブソン。

あと、ニコラス・ケイジは?カート・ラッセルは?ショーン・コネリーなどの007の俳優達は?はたまた、クリント・イーストウッドやハリソン・フォードとかは?果たしてアクションスターなのか?などなど、誰をアクションスターと呼べるのか?中々難しい。まあ元アクションスターとか、俳優からアクションスターに転向した、その逆でアクションスターからアカデミー賞俳優になった、とかいろんなパターンがあるだろうけど、まあ、また今度考えるとしよう(笑)。

◆アクションスターまとめ

いろいろ好き勝手に書いたけど、結局何が言いたかったのかと言うと、基本的にアクションスターというのは、限られた年代に活躍した、肉体派俳優のことを指すものなんだと思う。アクション映画には、アクションスターしか出てなかった時代は、確かにあったのだ。しかし、今はアクションをする俳優がたくさんいる。ただ、彼らはアクションスターではなく、アクションの出来る俳優ということ。まして今やフィジカルトレーニングは誰もがしている時代だし、アクションスターでなくても、格闘技を習ってる俳優も多い。んでもって、俳優みんながアクション映画に出るもんだから、アクションスターがお家芸を奪われてしまった時代とも言える。セガールはリーアム・ニーソンに何本も仕事を奪われただろうし、ヴァン・ダムやラングレンも、ニコラス・ケイジらにその座を追われることとなったと思う。かと思えば、その隙に高飛び込み選手であった、ハゲイケメンことジェイソン・ステイサムがドサクサに紛れて、次世代アクションスターのメインに躍り出たのだ。そんな感じで、なんとなく時代の変化とともに、アクションスターというカテゴリーがなくなっちゃったんじゃないかと思うんだよね。

あと、スタントマンやパルクーラーは、身体能力は優れているけど、アクションスターではないと思うし、定義付けるのは難しい。もちろんジャッキーのように、スタントマンからアクションスターになる人もいるかも知れないけど、ドニー・イェンは若い頃から主役級だったし、やっぱしどれだけ肉体的に優れたスキルを持っていても、特別なオーラを持つ選ばれしものしか、アクションスターにはなれないってこと。それがスタントマンとアクションスターの違いではないかと思う。

では、最後に自分なりに、影響力や貢献度などを考慮して、アクションスター総選挙してみました。順当に考えたらこうなるかなぁと思います。

リー中川のアクションスター総選挙

殿堂入り アクションスター
ブルース・リー     チャールズ・ブロンソン 

同列1位 ジャッキー・チェン 
               シルベスター・スタローン

2位   アーノルド・シュワルツェネッガー
3位   ブルース・ウィリス
4位   メル・ギブソン
5位   チャック・ノリス
6位   スティーブン・セガール
7位   ジャン=クロード・ヴァン・ダム
8位   ジェット・リー
9位   ドルフ・ラングレン 
10位   ドニー・イェン

どうです?このランキング中々妥当じゃない?(笑)サモハンは!ショーコスギは?千葉真一は?とか声があると思いますが、東洋系マーシャルアーツスターを混ぜるとそれはもう大変なことになるのでそれはまた今度(笑)。しかしながら、現代のトップアクションスターはドニー・イェンであることは間違いないので10位に入ってます。

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レジェンド功夫スター、サモハンも、今はドニーの時代、と言い切る。ドニーは、イップ・マンでアクションスターとしての地位を不動のものにした。

でも本来はアクションスターに順位などない!!
全員すごいのだ!リスペクト!!!と、いうことで

みなさん!今一度!
アクションスター映画を観直そう!!

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どうです?この迫力!いやー、こうしてジャケット見てるだけでワクワクしてくるね。これぞ、アクションスター映画!!さあ今日はどれを観ようか?
 
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スペースの都合で、ヴァン・ダムとラングレンだけ、単独作品じゃなかったので追加でアップしました(笑)2人の出世作をみんなで観ようぜ!!