倒れてからもなお
俺は総選挙に立候補しトップ当選はしたが、
一度も登院はせずに過ごしてきた。
その間、家の者たちの計らいで
誰にも会わずにすごしてきた。
そして今度の総選挙には出馬しない、
いや出来はしない、
と婿の直紀が発表してくれた。
ということで政治家としての俺は
完全に終わったのだ。
思えばあれから今日まで
俺はどうやって過ごしてきたのだろうか。
思い出そうとしても思いつかない。
一日一生という言葉があるが、
今までの毎日はまさにそれだった。
そんな俺に直紀が
引導を渡してくれたということだ。
しかし、俺のやったことの
何が間違っていたというのだろうか。
だってそうではないか、
今のこの国を眺めてみろ、
俺の言った通りになっているではないか。
俺の予見の何が外れていたというのだ。
まあそれはいい。
俺がやったことの正しさは
その内に歴史が証してくれるだおうに
「天才」
石原 慎太郎 著
政治家でなくなった角さん、
普通の人にやっと戻れた角さん
よかったではないかと思えるほど、
天は角さんに幸せをあたえず
アレヨアレヨと
息を引き取ってしまうのだから
なんと人生とははかないもの...!
一国のトップにまで上り詰めた人の末路は
あまりにもはかなく、残酷である
脳梗塞が角さんを襲い、
引導を渡たされたのである
この世には神も仏もないのかと
角さんは思ったに違いない
そして角さんのこと、
こんな病気は絶対に治る、
治せると信じて疑わなかったはず
だって俺は俺は、何かのはずみで、
間違いなく蘇るに違いないと
本気で思っていたにちがいない
角さん自身は政治家復帰を
何度も夢見たに違いない
思い残す仕事があったとは思えないが
人が息をするように角さんは
政治家であることが生きている証
しかしその想いは実現することはなかった
早起き鳥
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