パチンコとスロットの2月規制についての考察 その1

ギャンブル依存症対策としてスタートしたが…

2018年の風営法改定である、いわゆる平成30年2月パチンコスロット出玉規制ですが、実は正式な名称は次のように長いものです。

風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行規則(昭和六十年国家公安委員会規則第一号)施行日: 平成三十年二月一日最終更新: 平成二十九年十一月二十一日公布(平成二十九年国家公安委員会規則第十号)改正

(E-GOVからの引用抜粋)

http://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=360M50400000001

この2月規制について世間では、あまり効果が無いとか、効果が出るのはかなり先だとかいう話がチラホラと聞こえてまいります。

規制の中身について詳しい内容は割愛いたしますが、ようは出玉が少なくなるのと連チャン性が抑えられて、トータル的にはギャンブル依存症対策になるという事らしいです。

相変わらず存在する「大きな抜け道」

ですが、これまで何度も繰り返されてきたこういった類の規制の裏には、常に抜け穴が存在してきました。そういった抜け穴を利用して、逆に過激な機種を製造したり射幸性の高い遊戯を実現したりして、パチンコ業界は遊戯人口を伸ばしてきたのです。

ご多分に漏れず、今回の規制においてもそういった抜け穴はちゃんと存在しています。例えば、施行後も実質3年間は旧要件の機械を設置したまま営業できること(認定申請)、2月以降に購入した機械については前倒しで認定がきくこと(前倒し認定)、設置の延長を申請できること、などまだまだ抜け道が多いように感じます。

それともう一つ忘れてならないのは、規制といいながらスロットにおけるAT機が復活することです。特筆すべき事は、1ゲームあたりの純増枚数が過去の5号機による2枚以下から事実上の天井無しになったということでしょう。以下、ギャンブルジャーナルから、引用抜粋します。

最も興味深いのが「AT機能」の復活である。2015年末から開始されたAT機及びリノスペックを封じ込める自主規制「1Gあたりの純増枚数を2.0枚以下(ボーナス込み)」が今回の緩和により撤廃。さらに、旧基準5号機であった規制「純増枚数3枚まで」の上限も撤廃されるとのことだ。ただ、指示機能である有利区間は緩和対象にならず、過度な出玉性能を生じさせない点に関しては以前と変わらないとのこと。

ニュースサイトで読む: http://biz-journal.jp/gj/2018/01/post_5692.html
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依存症問題の唯一の解決策は 賭け額の上限規制

まあ予想はしていたですが、本当に期待を裏切らない内容で、今更ながらこの業界と警察・政治家との結びつきは極めて強いと言わざるを得ないでしょう。

私は以前から書き続けてまいりましたが、ギャンブル依存症問題を本気で解決するならば、プレイヤーごとに投資額の総量規制を科すしかありません。つまり、賭け額の上限を決めるということです。

その為に必要なことは、機種や仕組みの曖昧な規制や出玉規制では無く、ギャンブル全てにおける許可制を敷くしかありません。つまり現在のたばこ購入時に必要なTASPOのようなカードによる管理に加え、マイナンバーに基づくプレイヤーごとの遊戯上限額の枠決めです。

ギャンブルしたい人が行政に遊戯許可証を申請し、行政がその人の所得に応じた投資上限枠を決めて遊戯額を規制する

これが本筋であり、またこれしか解決策が無いと私は考えます。それが実現できない一番の理由は、業界と警察・政治家が根幹の部分でかかわり続けているからなのです。

続く

奥井 隆
奥井 隆
2 市民団体 ギャンブル依存症克服支援サイトSAGS 代表
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