新・眠らない医者の人生探求劇場・・・夢果たすまで

血液専門医・総合内科専門医の17年目医師が、日常生活や医療制度、趣味などに関して記載します。現在、コメント承認制です。

腫瘍を悪化させる細胞:抑制性単球の大元を確認したということかしら

2017-05-20 09:32:57 | Blogを書く理由

おはようございます。

 

昨日、自宅に帰りました。当初、「暖かいから防寒着はいらないだろう」と思っておりましたが、最高気温が4度とか6度で最初の1週間がすぎて行き、本当に寒かったですw

 

最後の2日間くらいは20度を超えるという「半袖でもいけるか」くらいになり・・・寒暖の差が激しい出張期間でした。

 

さて、少しネットを見ておりましたところ、少しきになる記事がありました。

 

<がん>悪化原因の細胞を発見 治療薬に応用できる可能性

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170517-00000008-mai-sctch

毎日新聞 5/17(水) 8:00配信

 がんや腸炎などの病気を悪化させる原因となる白血球のもとになる細胞を発見したと、東京医科歯科大の樗木(おおてき)俊聡教授(免疫学)の研究チームが16日付米科学誌イミュニティ電子版に発表した。がんや潰瘍性大腸炎などの治療薬へ応用できる可能性があるという。

 白血球は本来、体を守る免疫機能を持つ細胞で、白血球の一種である「単球」は、細胞内で傷ついた組織や異物を取り除く働きをする。しかし、単球ががん細胞の中に入ると「TAM」という細胞に変化し、がん細胞の増殖を促して病状を悪化させることがわかっていた。一方、TAMのもととなる単球が、体内でどのように作られているかはわかっていなかった。

 チームは、人のさい帯血や骨髄細胞から、単球を作るもとになる細胞を調べた。その結果、単球だけを数多く作り出す「cMoP」という細胞を発見した。樗木教授は「cMoPの働きを止めると単球が作られなくなり、その結果がん細胞の増殖や炎症の悪化を止められるかもしれない」と話した。【斎藤有香】

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僕も「単球」という細胞を調べていたので、この辺りの論文も色々読んだのですが、様々な腫瘍の中に「抑制系リンパ球(Treg)」のような「単球」や「マクロファージ」がいることがわかっています。リンパ腫にもいますし、固形癌にもいます。そんなのがTAM(Tumor associated macrophage (monocyteなどから分化)」です。

 

攻撃する免疫細胞と「暴走を抑える」免疫細胞がいて、腫瘍が「暴走を抑える免疫細胞」を呼びあつめることで「がん細胞に攻撃する免疫細胞」を抑えるという仕組みです。

 

これをやめさせればいいという考えですが・・・「単球系」だったので、僕もこういう仕事をしたかったんですよね。免疫好きだし。免疫の研究とか腫瘍をやっているのだから当然やりたいですよね。

 

ということで、「免疫の研究をしたいぞ〜」「患者さんも診たいぞ〜」と思ったところでした。

 

いつも読んでいただいてありがとうございます。今後もよろしくお願いいたします。

http://blog.with2.net/link.php?602868

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2 コメント

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すごい発見、かな? (女王様)
2017-05-27 03:00:07
自分がこういう病気になったからか 新聞のこの手の記事が目につくようになりました。

すごいけど、ではそれが立証されて実用化され、さらに保険医療になるまでは果たしてどのくらいかかるのか‥ と気が遠くなりそうです。
私が生きてるうちに活用されるのかしら? なんて。
時々 不安になります。 グリベックの生存率が10年でタシグナはまだ5年。
もう3年たってしまった。 薬変えたり休んだりしてるうちに あっという間に…。
あと10年はないのかな?とモヤモヤしてきます。
研究開発はもちろん頑張っていただくとして、厚労省もサクサク認めてほしいですね。
待ちながら命尽きる患者もたくさんいるんですから。

もっとも ガン特効薬なんか出来たら皆100歳まで生きてしまって年金や健康保険が破綻する、とか?
あるタバコ議員の声 としてテレビでやってましたけどねえ。
それなら尚更 一回でも受給を受けるまでは死なないぞ!と発奮したりして(笑)。

ところで Dダイマー。
気にしなくても とアンフェタ先生に言われて少し力が抜けました。 ありがとうございます。
自分Dダイマーやフィブリノゲンを調べていくと DICと言うキーワードにぶつかり。
これってアンフェタ先生が小林麻央さんの記事書いてた藩主型なんちゃらでは?? と不安で恐ろしくなってしまいました。

彼女のブログ、御覧になってないかも知れませんが つらそうで気の毒で なんとかならないのかとモヤモヤしちゃいます。
可哀想であると同時に 自分も血液とはいえガンで 他人事ではない姿なのかという不安。

流動食しかとれない、麻薬シール使うとなれば決して残り時間が長いとは言えませんね。
それでも頑張れる精神力は頭が下がります。 見習わなければ。

白血病も最後は 骨転移や痛みとの闘いなのでしょうか。
腰痛ごときで泣き言を言ってちゃ 乗り越えられませんね。
ガンとの格闘は もぐら叩きのようなもんだ とかコンドー医師は言ってました。 だから格闘するだけ消耗するから無駄なのだと、持論展開。

ううむ。
もう少し悪あがきして そのうちに画期的治療が出てくることを 夢みて とりあえず腎臓や肝臓をキープしていきたいものです。
これからだと思いますがすごいと思います (アンフェタミン)
2017-05-27 09:25:43
>女王様さん
おはようございます。コメントありがとうございます。

ガンの特効薬、僕はできたらと思っているのですが。そうしたら、医師の仕事がなくなって、僕も釣り人になれますし(笑

もし、ガンの心配がなくなったら、そういうものに備えなくて良くなって、経済が活性化するかもしれません。

ただ、特効薬ができると「手術」が不要になり、薬が効かないガンができた時に困るかもしれません。

いろいろなことを考えてしまいます。

DICの時のデータとはまた異なりますし、基準がありますのでD-ダイマーは本当に気にしなくて良いと思いますよ。

白血病・・・と言ってもCMLということであれば、多くの場合は急性転化して急性白血病の病態で無くなるということになります。痛みとはあまり関係ないことが多いかもしれませんが、痛みが主体になる方もいるとは思います。ただ、今はタシグナもそうですが良い薬ができていますので

イマチニブ:グリベックは最初に出たので長期データがあるということです。イマチニブでも良いデータが得られています。良すぎて、新しい薬と差が出ないという事実もあります。そのため・・・副作用や患者さんの背景で薬は変えるべきだと思いますが・・・どの薬も良い結果になると思います(後はSTOPスタディの結果次第でしょうか)

小林麻央さんのブログは拝見しておりませんが、ニュース記事などで少し見ました。患者さんが望むことをできるだけ実行できるようにしていければ良いのかなと思います。

また、コメントいただければと存じます。

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