新・眠らない医者の人生探求劇場・・・夢果たすまで

血液専門医・総合内科専門医の17年目医師が、日常生活や医療制度、趣味などに関して記載します。現在、コメント承認制です。

風邪ひきました:かぜ症候群の話・・・

2017-12-06 20:27:55 | 医療

こんばんは

 

先ほど日帰り出張から帰って来ました。出発までは調子は良かったのに、行く途中から喉が痛くなって、着いた時には結構調子が悪く・・・。

 

帰宅途中は寒気はするし、鼻は垂れるし、喉は痛いし・・・。

その段階で葛根湯とロキソニンをとりあえず飲みました。

先ほど家に着いたので、葛根乙を追加で2包(自分だからやっているので、患者さんには絶対やりません)のみ、温かい食べ物を作って(柚子胡椒を大量に投入し)、そしてお風呂では熱めのお湯に長めに入って・・・。

 

民間療法か!

 

自分でツッコミを入れてしまいました。

 

ちなみに本日行きました場所の医務室から、相談がいくつかあったのですが、少し前に「来てくださっている先生の風邪用の処方の薬がジェネリックに変わる際に一時期切れるのですが、どうしたら良いか」という話でした。風邪用処方はどんなものか・・・と思い、伺ったら抗菌薬が入っていました(汗

 

今も風邪に抗菌薬を使う方は使うのね・・・と思った次第です。

 

ということで、風邪の話です。

と言っても風邪ですからね〜

 

風邪・・・かぜは一つの病気というよりは「かぜ症候群」という位置付けになります。

症候群というのは「いくつかの病気が集まり、同じような仲間を作っている」ものを言います。骨髄異形成症候群では「血液の数値が減って、へんてこりんな血液を作り、白血病に進行しうる病気の総称」ということです。

 

かぜ症候群は多くは「ウイルス」による急性気道炎症を言います。気道は上気道と下気道に分かれます。上気道というのは「鼻〜喉頭まで」を言います。喉頭がわかりにくいのですが、気管の入り口までです。気管から先・・・肺までは「下気道」と言います。

かぜ症候群は基本的に上気道炎が主体ですが、気管支炎症状も起こしますので、下気道も炎症が波及する・・・感染が広がるので「急性気道炎症」になります。

 

かぜ症候群を起こすのは90%はウイルスです。ライノウイルス、コロナウイルス、RSウイルス、パラインフルエンザウイルス、アデノウイルスなどなど・・・様々なウイルスが関係します。ライノウイルスったって色々ありますしね。少なくとも100種類。ヒトライノウイルスA型で75種類、B型で25種類、C型は分離できていないので細かく種類がわかっていない。

ということで、免疫もできないわけです。同じウイルスに感染したらどうにかなりますが、血清型が違えば免疫も違いますので。だから風邪は何回もかかるわけですね。

 

 

ということで、僕の認識ではごく限られた症例、すなわちマイコプラズマとクラミジアの一部でしょうか・・・抗菌薬を使用するのは。鼻の症状(鼻汁)があるならウイルスか、マイコプラズマをまず考えます(急性副鼻腔炎は細菌)。

あと扁桃炎・咽頭炎を起こす溶連菌ですが、溶連菌は鼻の症状はありませんし、扁桃に白苔がついたり・・そもそも検査キットもありますし・・・。

 

ということで、通常抗菌薬は不要・・・ということで、抗菌薬を使用しないでね・・・という話になっております。

 

・・・と書いている間にも、鼻をかみすぎて唇の上がただれてきてしまったので、ここで終わります。

 

風邪薬・・・というのは基本的に対症療法の薬です。勝手に治る病気ですが、ウイルスの種類が多すぎて、特効薬が作れません。

一番いいのは葛根湯だと僕は思っているのですが、タイミングは重要です。葛根湯は風邪の初期に効果を発揮します。傷寒論でもきちんと書いてありますが、ピークを過ぎたら薬は変えます。葛根湯はいつまでも飲む薬ではないです。

 

風邪だけでも、色々な話ができそうなんですが・・・僕の風邪がとんでも無いことになっているので、この辺で・・・

 

いつも読んでいただいてありがとうございます。今後もよろしくお願いいたします。

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6 コメント

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漢方薬 (Nao)
2017-12-07 11:27:33
お医者さんでも風邪はひいてしまうんですね(>_<)
簡単に仕事は休めないとは思いますが、無理なさいませんように・・・

葛根湯って効くんですね?!
気休めかと思ってました(^^;
今度、風邪かな?と思ったら、試してみます!

とは言っても、私風邪ひかないんです(笑)
発熱したのは15年以上前にインフルに罹った時が最後。
なんと、白血病でも発熱無しです。
輸血無しも滅多に無いと思いますが、発熱無しも凄いですよね~(苦笑)
こんなに丈夫なのに、なぜか病気になりました。
白血病って、病気知らずの人がなること多くないですか??たまたまなんでしょうか・・・

漢方薬って凄いですよね。
今回の葛根湯もそうですが、私は咳だけは出やすくていつも麦門冬湯を処方してもらってました。
一般の咳止めよりも効く気がします。
眠くならないのも助かります。
そして、治療に使った亜ヒ酸も漢方薬ですよね?
この件について、自分のBlogで記事にしたことがあります。
https://ameblo.jp/asobiba-ie/entry-12251646620.html
何故APLに効くか分からないけど、効果があったから治療に使うようになった・・・と。中国恐るべし(^^;
そして、この病気になったのが現在で本当に良かったです(^-^)

早く体調が良くなりますように。
お大事にしてください。
風邪 (ごんた)
2017-12-07 12:05:14
アンフェタミン先生、忙しかったりすると風邪ひきやすくなりますよね。
お身体を大事にされてください。

母の病気をきっかけに先生のブログを見始めましたが、母の死後も先生の病気の説明がわかりやすくて、すっかりこちらのブログのファンになってしまいました!

学校の勉強はかなり良くなかったのに(笑)
病気のことがすいすい入ってきます。

先生みたいな方がたくさん居られたら
質問は何でも聞けて、病院はもっと楽な気持ちで行ける場所になるだろうなと思います。

今回は更にわかりやすい風邪の話題だったので
私も気になることがありました。

抗菌薬とは抗生物質ですか?
子供の風邪で小児科を受診すると必ず鼻水、咳の薬と共に抗生物質を出されます。
詳しい検査をしなくても、です。
抗生物質が効かないウイルス?でもとりあえず出す、のでしょうか。

最近では抗生物質が効かない病気も子供たちの間で増えていると噂を聞いたことがあります。
噂なのか、本当なのかわからないけどなんか怖いなぁと。
ただの風邪なのに抗生物質を出す必要性はあるのでしょうか?
私の小さな頃は風邪で病院に行った記憶が無いし、抗生物質なんて余程じゃないと出なかったような…
違うかな。

うちの子供が可愛い風邪でひどくなりそうかな?と思う時は小児科を受診し、貰った薬は全て飲ませていましたが、
ある時から飲ませても全く効いている感じがしなくなったので薬は気になる症状のものだけ、私が勝手に選んでひどくなりそうな時に飲ませていたのですが、それでは意味が無いのでしょうか?

小児科の先生は理由があって診断していると思うので貰った薬は全て飲ませる方が良いのですか?
経験から何かを見つけるというのはすごいと思います (アンフェタミン)
2017-12-07 21:54:25
>Naoさん
こんばんは、コメントありがとうございます。

医者も風邪は引きます。病院勤務中ではあまりひかないのですが、どちらかというと油断した頃にもらいます(笑

風邪にかかられないなんて、強い免疫をお持ちなんですね。後、しっかり予防されているのだろうと思います。

輸血なし、発熱なしは僕は経験したことはありません。緩和ケアのつもりで内服治療を行なっていた患者さんが、一時的に寛解状態に入って、輸血依存から離脱したことはありますが・・・(2人います)。

漢方薬は「証」が合うとかなりよく効くときがあります。

亜砒酸は一般的な漢方薬と違うかもしれませんが、ATRAにせよ亜砒酸にせよ中国からだったと思います。経験からくる薬剤・・・。そこから何かを見つけるというのはすごい話だと思います。

体調はなんとか今日から明日にかけてで治したいと思っています。

また、コメントいただければと存じます
基本的にいらないと思いますが・・・ (アンフェタミン)
2017-12-07 22:02:38
>ごんたさん
こんばんは、コメントありがとうございます。

引き続き、ブログを応援していただきましてありがとうございます。分かりやすいとか、ファンになったとか言われると頑張って続けたいと僕も思います。

抗菌薬というのは俗にいう抗生物質です。抗生物質と言われていたものは「カビ」などの生き物が細菌を殺す物質を作っていて、それを薬にしたものです。生き物から作り出した、他の生き物を殺すもの・・・これが抗生物質です。今では人工的に作ることができるようになったので「抗菌薬」と言っています。

鼻水、咳・・・ときますと上気道と下気道が療法やられていますので、一般的にはウイルスによるものです。抗菌薬は効きません。
しかし、その小児科の先生がどう考えられて薬を出されているかは、僕は存じませんので難しいのですが。

本来は「医師が出した薬は全て飲む」が基本だと思いますが、風邪について症状に合わせて出されていない感じであれば、検討しても良いかもしれません。

たまに細菌が被って感染することがありますが、それが怖いし、親御さんから文句言われたくないから抗菌薬を出している・・・という感じならば、「必要なければ出さなくて良い」と言ってしまえれば良いのかもしれません。

ここはインターネットの世界ですので、そこは主治医の先生と相談していただくのが一番かと思います。

また、コメントいただければと存じます
同じく、です (女王様)
2017-12-08 01:44:13
病院でうつされたか、こたつで本読みながらうたた寝したせいか‥。
こたつ寝はいけないとわかってるけれど あの気持ちよさはたまらないですね。 こっくりこっくり たまに首カックン。

鼻が詰まって苦しく、点鼻薬するとぐしゅぐしゅ鼻水が止まらない。 市販薬を飲むと 鼻の奥にして上顎の奥あたりが渇いてやはり息苦しい。
このヘビロテに辟易してます。
鼻の下のヒリヒリは、メンタムがいいですよ。
ワセリンでも保護には悪くないけれど メンタムのが少し鼻が通る気がします。

ついでに 私も転倒しました(笑)。 もう1週間たちますが まだ膝小僧の擦り傷と腫れと 数ヶ所の青アザが治りません。
年とると本当に治りが悪いというか、咄嗟に受け身が取れず 踏ん張りが効かず ハデにコケます。
アザの場所を痛くて庇っていると また一段と痛みが引かないですね。 お年寄りが転倒しやすいことやそれがきっかけで動けなくなる事がリアルにわかってきました。

ラジオの 医師の健康番組でも風邪を扱っていました。
その医師も 補中液?を飲んで寝るに限る と言ってましたよ。
総合感冒薬はあまり効果はない。 寝るのが一番と。
私はとにかく 鼻で止めることにしてます。
喉にくると長引きますし 気管支とかに行くと喘息でとんでもないことになりかねません。
腎臓にも 何故か風邪は大敵だそうですね。
出歩かないに限るけどそうもいかないし…。

BNP 詳しく教えていただいてありがとうございました。
まさに循環なんですね。
タシグナにQTとか心臓に副作用があると書いてあったので、心臓に異常が起きたから浮腫が出て腎臓が低下したかと思っていました。

利尿剤は腎臓に負担と言いながら、ラシックス40も使っていいのだろうか とか ニフェジピンを1日3回って大丈夫なのか とか疑問はありますが、とりあえず水分を出して心臓を楽にするんですね。
‥少しばかり、どうせ腎臓は良くならないからそういう手段なのかしら? みたいな気持ちになりましたが。
浮腫にきく漢方薬を探したり
まだ透析がイヤで悪あがきをしています。
風邪なんてひいてる場合じゃありません。
体力が落ちていたり、疲れていると風邪はみるみる悪化しますよね。 若いころは風邪でダウンなんて滅多になかったのに。

今年は寒さが早いというか 厳しいです。
母親が風呂ポックリ、いわゆるヒートショックで亡くなったので 気を付けないと。 だから心不全という単語に敏感になったのでしょう。
勝手だけれど 急死はしたくないですよね。 他人様に迷惑をかけることにもなりかねませんから。

っって 書いてるうちにまた鼻がズルズル~。
鼻は本当にイライラします。
アンフェタ先生もどうぞお大事に。
クリスマスプレゼントなぞ考えながら ゆっくり静養なさってください。
風邪でもお薬などは気をつけてください (アンフェタミン)
2017-12-09 17:14:43
>女王様さん
こんばんは、コメントありがとうございます。

風邪、鼻が詰まっていると寝苦しいですし、辛いですよね。僕も今困っているのですが、騙し騙しやっているところです。
女王様さんは市販の風邪薬をお使いということですが、腎臓が悪いと使いにくい薬もありますので、風邪とは言っても病院の先生とご相談された方が良いかもしれません。

風邪の漢方薬はおそらく補中益気湯です。僕も葛根湯→補中益気湯の順で使用します。まぁ、寝るのが一番というのは正しいと思います。

タシグナのQT延長はそれほど心配しすぎなくても良いと思いますが、心不全というよりは不整脈の話になります。

ラシックスについては腎機能が悪くなると作用効果が落ちますので、増量しても効果が乏しいことがあります。ですので、心配しすぎなくても良いと思いますが、浮腫がなくなっていくようでしたら、主治医の先生と早めに相談してください。

透析については誰もなりたいとは思わないと思います。ただ、必要な時は必要ですので、主治医の先生と相談なさってください。

また、コメントいただければと存じます

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