新・眠らない医者の人生探求劇場・・・夢果たすまで

血液専門医・総合内科専門医の17年目医師が、日常生活や医療制度、趣味などに関して記載します。現在、コメント承認制です。

卵巣バンク:新しい試みですが、希望があるのは良いことだと思います

2016-05-07 16:03:31 | 医療

引き続き、記事をひとつ

 

卵巣バンクの話が出ておりました。

 

がん患者向け「卵巣バンク」、自然妊娠に道

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160507-00050081-yom-sci

読売新聞 5月7日(土)14時23分配信

 乳がんの治療などで卵巣機能を損なう恐れがある女性を対象に、摘出した卵巣を凍結保存して妊娠の可能性を残す「卵巣バンク」を今月にも設立すると、不妊治療施設を経営する「レディースクリニック京野」(仙台市)が発表した。

 抗がん剤治療などで不妊になる恐れがある女性がん患者が、妊娠の可能性を残す方法として卵子の凍結保存があるが、十分な数を採卵できるとは限らない。卵巣には卵子の元になる細胞が多く含まれており、がんの治癒後、解凍した卵巣を本人の体に戻すと周期的な排卵が数年続き、自然妊娠の可能性もあるという。

 卵巣バンクは主に東京都内に設け、大学病院など提携医療機関から搬送された卵巣を凍結保存する。患者の年齢は37歳以下とする。

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女性の妊孕性の問題、いろいろあると思います。一般的な抗癌剤治療で「ホジキンリンパ腫」のABVD療法、非ホジキンリンパ腫の「CHOP療法」、急性骨髄性白血病に対する寛解導入療法+地固め療法、急性リンパ性白血病に対する治療・・・これらはだいたい卵巣機能不全のリスクは20%未満とされています。

 

実際に若い患者さんだと治療中に妊娠した方もいて・・・(汗

 

その時の会話

「治療中に妊娠してしまったのですけど・・・奇形などのリスクはどうでしょうか?」

「リスクに関してはっきりと言えませんが、0にはならないと思います。普通の妊娠でも起こり得ることですし、生んでみなくてはわかりません。生んでみて問題なければよかった…となると思いますが、もし何か異常があった時に『治療のせいでおきたのだろう』と思ってしまうかどうか・・・」

「・・・・わかりました」

結局、お子様が何人かいらっしゃったこともあり中絶されましたが、若い人では一部の抗癌剤治療や骨髄移植などのものを除いて「リスク」は低いものが多いです。

しかし、0ではない。あと、ブスルファンや大量CY、放射線照射など骨髄移植の際の抗癌剤ではほとんどダメになってしまいます。

 

その0ではない・・・ということに対して精子保存は一般的ですが、卵子保存は難しい(タイミング、その他)。そのため、移植のほうが望ましいという場合でも避けたいとおっしゃられる方もいらっしゃいます。

こういったことが確立した技術になれば、そういう女性たちにとって大きな希望になるだろうと思います。

 

ということで、明日はバックアップ、その後はまた1週間頑張ります。

 

 

いつも読んでいただいてありがとうございます。今後もよろしくお願いいたします。

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それでは、また。

 

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9 コメント

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素晴らしい‥のかな? (女王様)
2016-05-09 19:11:47
人工受精とか体外受精とか 生命倫理的に「?」て思うので…。

多めに採取する→残りの命はゴミですか? 選りすぐった以外の命の価値は? みたいな。
出来ない、作れないなら ないなりの人生はいろいろあると思うのですが。

薬の奇形リスクや早産死産、もろもろあるでしょうけれど 五体満足に越したことはないが、そうでなければ要らないのだろうか という疑問とか←大変難しい問題ですけど

私自身は 腎臓治療中だったので 薬害以上に妊娠中毒が危険だからと止められました。
胎児の命もお母さんの命も危ないんだよ、と。

薬の影響が胎児に出ても それはそれで受け止めて愛情を注げるけれど、自分に何かあったらその子を守ってやれないし助けてやれない。 命に別状がなくても透析生活の障害者では 育ててやれないし 子の足枷になってしまう。

そう考えて 持たない人生を選びました。
今考えたら結果的にCMLですからねえ、 大正解でした。
親が癌て 子供にはつらいことだし、子がいるとお金かかりますから CML治療なんかできなかったんじゃないかな?

幸せの形は 人それぞれ。 子がいないことが不幸ではないし ハンディがあるから不幸ということでもないし。
「授かり物」とも言いますからねー。
人それぞれだからこそ 軽々には言えないけれど…

医学が進んでムリが可能になると、昔なら渋々諦めたものが カネさえあれば叶う現実に 微妙な違和感を感じるんでしょうか。

さて。
世の中連休は終わり、私はもう1日あったので開業医ハシゴでした。
皮膚科 5時間待ち。 番号札出すので5時間くらいしたらまた来て下さい と。
その間 整形外科へ。こちらは約2時間待ちで 順番前後することもあるから外出しないで下さいね って
連休明けの病院は異常ですよー。
アンパンマン写真の一時間半なんて 甘い甘い!
大事な最後の休日が すっかりオジャンでした(泣)

大病院は混むから町医者へ なんて今やとんでもない思い違いです。トホホ。
おっしゃられるように考え方はいろいろかと (アンフェタミン)
2016-05-09 23:07:58
>女王様さん
こんばんは、コメントありがとうございます。

おそらくですが、これは自己臓器移植のような(そういう表現が正しいかは不明です)ものだと思います。血液内科でよく行う「自家末梢血幹細胞移植」に近い考えです。

つまり、ダメージを受ける前に取り出して保存しておき、治療がすべて終わったら元の場所に戻すということだと思います。まぁ、記事だけで想像しているので何とも言えませんが。

命というのは大事なものだと思います。ただ、育てられないとか、責任が負えないのであれば生んではいけないとも思います(中絶を容認するわけではないのですが)。

おっしゃられるように人それぞれだと思います。小さい子がいるから入院での治療を受けないとおっしゃられた方もいましたし、逆に親がいないと子供がかわいそうだから、絶対に頑張るとおっしゃった方もいました。いろいろな考え方があると思います。

人工授精などに対する考え方もいろいろあると思いますが、子供がほしい人が子供を授かるチャンスがあると思えば、良いことなのではないでしょうか?
僕は神様を信じているわけではないですけど、それこそそういうチャンスをくれた神様がいるのだと思っています。

病院の待ち時間ってどこでもすごいですよね。僕も待たせていると思っていますが、それ以上のところも多いのかな・・・?

また、いろいろ教えてください。

また、コメントいただければと存じます
よけておくんですね (女王様)
2016-05-11 02:06:32
なるほど~。 解釈が間違いでした。失礼いたしました。
変な表現ですが、大掃除するために全て別の部屋に移動して、きれいになったらまた戻す みたいな感じでしょうか。

片付け下手な人間なので、実際はよけた先の部屋がさらにてんこ盛りになったり、捨てられない性で結局大掃除になってない私ですが(汗)

センセの仰る通り、人それぞれですね。 状況や性格上やら。
であるならば選択肢が増えたことは素晴らしいのかもしれません。
「試験管baby」と呼ばれ、ひた隠しした時代を知ってる世代なので(年が‥!) 卵子や精子を凍結して云々とか 代理出産とかに何か違和感があったりします。

そういえば私も アナフィラキシーで夜間急患に行った時、愛犬がいるから入院しない!帰ります! と言い張って、若い担当医と半ば喧嘩腰になりましたw
たかが犬って言われてついムキになってしまって。
結果的に預かってくれる所に連れていくため外出届として、お願いしてから入院グッズ詰めたスーツケースを転がして病院に戻ったのですが、アナフィラキシーに入院なんか要らないのでは?もう治まってるし…と渋々 未だに納得いかないままです。

人間の子供とペットを一律にしては違うかも知れないけれど、守りたい大切な存在のためなら頑張れることもありますね。
または、誰かが自分を大切に必要に思ってくれるとか。 病気と闘うには重要なポイントだとしみじみ感じます。
両親は鬼籍・子供もいない。 つい治療なんか止めようと思ってしまうけれど、しっぽ振りながら顔を舐めまわす我が子の為に元気でいないと!

ところで。
質問をしたいのですが、延々待った皮膚科医も整形外科でも 問診票を書かされますね? この既往症欄にCMLは書かないといけないでしょうか。
白血病と書くのはかなり抵抗があり‥ だからCMLと記入すると受付嬢からこれは何ですか?と聞かれ かえって気まずくなる。

喘息や腎炎は 漠然と必要性が理解できるしさほど抵抗ないのですが CMLは整形や皮膚科眼科でも必要事項ですか?

たまたま耳鼻科に行った時は 受付が近所の奥様ですごくイヤで記入しませんでした。 以来いつもペンが止まります。
どうしたものか 教えて頂きたくて。 歯科医なら必要だけど皮膚科眼科ならなくても可 とかありますか?
よろしくお願いします。
基本は書いていただいた方が (アンフェタミン)
2016-05-15 16:44:25
>女王様さん
こんにちは、コメントありがとうございます。

何かに対する考え方、人それぞれだと思います。
たぶん、ペットを飼っていない人間から見たら「たかが犬だろう」というかもしれませんが、飼っている側から見たら家族です・・というのは当たり前のことかもしれません。

それとは関係なく、医療系であると共通認識というものがあります。アナフィラキシーの場合、一晩は入院…というやつです。
一度落ち着いても24時間は油断できないということがあります。家に帰してしまい、家で亡くなっていたということになれば自宅に帰した医師は確実に訴えられたら負けます。

ですので、医師の立場としては「アナフィラキシーは帰すわけにはいかない」と思ったのは普通の判断であり、むしろ「一筆したためて帰れ」とか言わずに喧嘩したというその医師はいい医師だったと思いますよ。

既往症の欄に書くかどうか、これは各個人の自由ですが、薬などを使用する際に考慮するべきこともあります。何科ら良い、何科ならダメとは僕からは言いにくいので、何をしてもらいに来たのかを考えて飲み薬がほしいのであれば、書いてもらったほうがよいのではないかと思います。

また、コメントいただければと存じます
Unknown (さち)
2016-05-15 23:16:53
CMLと言われスプリセル内服治療8か月になります。
私も新しい受診のたびにCMLと書いたり言ったりしています。白血病とはなかなか言いにくいです。治療は大きな問題なく進んでいるようですが、やっぱり。
先日は、生命保険の年に一度の確認です、と生保レディさんがこられましたが、病名は言いたくありません、と言ってしまいました。まあ申請ではなかったので、必要もなかったんですが。
来月は、協会けんぼの健診がありますが、今からちよっと気が重いです。
世界中で研究は進んでいます (アンフェタミン)
2016-05-16 05:36:00
>さちさん
おはようございます。コメントありがとうございます。

さちさんをはじめとした多くの患者さんが気にしないで書けるような病気にできるように…と思っております。

医療は確実に進歩しています。最近でもC型肝炎などは完治できる可能性が格段に上がりました。今はまだいつとは言えませんが、世界中で研究者は研究をしていると思います。完治と言えるかはわかりませんがSTOP試験(スプリセルなどでよい状態を維持した後に内服中止を行うもの)なども現在行われています。

治療が今後も順調に進むことを祈念しております。

また、コメントいただければと存じます
ありがとうございます (女王様)
2016-05-16 22:35:01
アナフィラキシー、標準だったんですね。
不承不承 6日も入院させられ、たっぷりステロイド点滴をされ、ずっとふて腐れていました。
いろんなアレルゲン検査もされましたし‥。

エビ 牛肉 て普通に食べてたのになあ? とか 犬ねこも毎日触れてるのに とか。
更に深い検査で Nsaidsに引っ掛かり 今後うちの病院ではどの科でも出さないように指示入れておくとのことでした。

アレルギーで入院すると デザートの果物もないんですね。
知りませんでした。 代わりに缶ミカンとか缶モモとか ちと凹みました。

既往症ですが 使用中の薬欄にグリベックと書けば まあ普通の医者なら悟ってもらえるだろうと思い、眼科医では書きませんでした。
CMLと記入して わからなかった歯科医がいて オイオイ!てなこともありましたが(汗)

受付嬢も察して わざわざ他患者さんがいる横で聞かないでほしいですけれどね。
ご自分は知らなくても そのまま医師に回してくれれば済むと思うのですが。

発症してもうじき丸二年。
未だに病名や 「血液腫瘍科」という単語に抵抗がある 弱い自分が情けないです…。
追伸・さちさんへ (女王様)
2016-05-16 22:54:42
いやですよね 人前で「白血病」と言うのは。
慢性だからと説明しても 友人に打ち明けたらドン引きされましたし やはりイメージが…。
自分が告知された時に固まったくらいですから仕方ないんですけれど。

職場にも伝えていません。 知られたくないのと クビになる怖さと両方で。
せめて病院で仕事をする人たちは CMLで受け流してくれる配慮がほしいですよね。

お互い 完全大寛解を目指して ポジティブに頑張りましょう!
いつか 「白血病だったんだよ実は」と笑って話せる時がくることを祈って。


アンフェタセンセ 場所をお借りして申し訳ありませんでした。
6日は長いかもしれません (アンフェタミン)
2016-05-21 21:48:01
>女王様さん
こんばんは、コメントありがとうございます。

アナフィラキシーの患者は少なくとも一晩は入院させる必要があります。6日間かかったのは重症だったからなのか、医師が慎重だったのかはわかりませんが・・・

アレルギーの血液検査は参考になるだけで、確定的ではありませんので。

略語などについては専門から離れるとわからなくなることも多いかと思います。僕も極力略語は使用しないようにしておりますが、時折使っていることもあります(抗菌薬とかは使いますね)。

自分の病気のことを人に知られるのが嫌だというのは普通の感覚だと思いますので、気になされなくてもよいと思います。

また、コメントいただければと存じます

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