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夜来の台風にひとりはぐれた白い雲が
気のとおくなるほど澄みに澄んだ
かぐわしい大気の空をながれてゆく
太陽の燃えかがやく野の景観に
それがおおきく落とす静かなかげは
……さよなら……さようなら……
……さよなら……さようなら……
いちいちそううなずく眼差しのように
一筋ひかる街道をよこぎり
あざやかな暗緑の水田の面を移り
ちいさく動く行人をおい越して
しずかにしずかに村落の屋根屋根や
樹上にかげり
……さよなら……さようなら……
……さよなら……さようなら……
ずっとこの会釈をつづけなから
やがて優しくわが視野から遠ざかる
(伊東静雄 反響・「夏の終り」)
けたたましいほどの蝉の鳴き声が、急に静かになりました。日が暮れると、草陰の虫の音が此処彼処から聞こえてくる季節がやってきました。9月も中旬になると、過行く夏を惜しむように、空に浮かぶ雲もサヨナラの会釈をしているように感じます。多少暑い日があっても、夏の太陽の輝きはありません。今年の秋分の日は9月22日です。太陽は、北半球から赤道を越え、南半球にその位置を変えようとしています。
この時期になると、私は上に載せた伊東静雄の詩・「夏の終り」を思い出します。夏の残り香を含みながら、それでも爽やかな秋の到来を感じさせる詩です。教室にあったこの詩集を机の上に置いておくと、生徒たちがそれを見て反応しました。
「先生、とても古い本だね。」
本の後ろをめくると、昭和46年に刷られた本でした。私が大学生の時に買った本です。もしかしたら初めて買った詩集だったかもしれません。紙が酸化して黄色くなってしまい、確かに年代物の本になってしまいました。
けれども、この詩を読み返せば、その当時の感動が蘇ってきます。つい先日のように・・・・・。
時間の歯車は、否応なく回り続け、声を出して朗読した真新しい詩集は、いつしかセピア色の古書になっていました。けれども、若い頃に読んで感動した本は、今読み返しても、色褪せることなく心の琴線に触れる魂の震えを感じます。
同様に、二十代当時に夜行日帰りでチャレンジしていた頃の山登りの写真を見ると、同様の感慨深い記憶が蘇ります。「夜行日帰り」という言葉は、すでに死語となって久しくなりました。こうした山登りは、土曜日に仕事を終えたその足で、新宿のアルプス広場に並び、夜行列車に乗って、翌朝から山に登り、その日のうちにとんぼ返りする山登りのことです。
写真に写っている自分と、現在の私自身を比較したくない現実。無論、心の中ではその当時と遜色ない自分が存在します。けれども、山歩きをしていて、以前では考えられない転び方をした時など、過ぎ去った時間の長さを突き付けられることがあります。
夜来の台風にひとりはぐれた白い雲が
気のとおくなるほど澄みに澄んだ
かぐわしい大気の空をながれてゆく
私もこの白い雲のように、美しい自然と人々の中を、爽やかに悠然と、そして泰然自若の心境で過ごしていきたいと願っています。
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セピア色というのは古い写真の淡い褐色だということは知っておりましたが、セピアというのがイカの墨のことだというのを調べて知ってびっくりしております。
50年前の写真でもセピア色ではなく、カラー写真もあったりしますが、主人の残したアルバムにはセピア色の写真が並んだりしています。
また、青春時代の記憶がセピア色のように感じられたりします。
最近、高齢者のおしゃれについて関心があるのですが、高齢者にはセピア色はかえって難しく、濃いめの色の衣服がよさそうと思ったりします。
大きめの柄と、ちょっと派手な色彩が、中高年になると似合うようになります。どうしてなんでしょうね。
周りの物品は、年とともに劣化するように、体力的な衰えは仕方がないようです。けれども、精神的には劣化しないようにしたいものです。社会的な交流と、適度な運動が、精神的な劣化を防いでくれるでしょう。
外国旅行よりも3、4日でビフォーアフターみたいに
おしゃれに変身できるという滞在型旅行ができると楽しいかも知れない、と高齢の女性の方たちと話しております。高齢の女性が元気でいるというのが大事だと思いますので。
「おしゃれに変身できるという滞在型旅行」が可能な優雅な老後が遅れたら、それもまた楽しいことかもしれません。
いずれにしろ、高齢者が日常生活で困ることなく、夢を追って生きれる環境を整備することが大切でしょう。
古いホテルが古いまま、あるいは空き家の利用、といったことでもいいと思います。
そこで知り合った人と自分の体験を発表し合うとか
読書会みたいなこともいいのかもしれません。
その土地の食材でその土地の自慢の料理とか。
とともに美容師さん、カメラマン、靴屋さん、洋服屋さんなどでビフォーアフターができるという感じですかね。
予算でコースを選べるとか。