Overflow(19) | My sweet home ~恋のカタチ。

My sweet home ~恋のカタチ。

せつなくてあったかい。
そんなラブストーリーがいっぱいの小説書いてます(^^)

「・・おめえらのことは・・ぜんぶおっかあに任せっきりだったからな・・・・。」


父は子供たちが幼い日のことを思い出しているようだった。



職人を絵に描いたような父は


マイホームパパには程遠く


今じゃ天然記念物級の頑固オヤジだった。



「・・お父ちゃんとお母ちゃんの子供に生まれて・・幸せだったよ。」



堪えていたけど片方の目からぽろりと涙が零れ落ちた。



「もう・・心配なんか。 してねえよ・・・」



父は少しだけ笑った。





それが


まともに父と交わした最後の言葉だったと思う。




詩織と無事に式を挙げた2週間後。



容態が急変した父は


あっという間に帰らぬ人になった。



あまりにあっという間で、みんな別れが言えないほどだった。




縁側に腰掛けていつも父が手入れをしていた庭を詩織と並んでぼんやり見ていた。



するとハッピーがてけてけとリードをくわえてやってくる。


毎日


こうして庭をウロウロする。


父を探していることがわかって拓馬はハッピーを撫でてやって



「・・・散歩か。 ちょっと待ってろな、」


そのリードを首輪につけてやった。



「・・お義父さんを・・待っているのかしら、」



詩織はハッピーの健気さに涙ぐんだ。



「オヤジはほんっと・・・かわいがっていたからなあ。」



ハッピーには父がいなくなってしまったことはわかっているんだろうか。


こうして毎日を過ごしていくうちに


きっともういないってことが分かる日がくるんだろう。




「もう桜がキレイだなあ、」


隅田川沿いをハッピーを連れて散歩をした。


「来週には満開ですね、」


詩織はあたたかい風に乱れそうな髪を手でおさえた。


友永邸の満開の桜を二人で見てから


もう1年が経って。


その間にたくさんのことが変わった。



もう片方の手を彼女とつなぎながら


今の幸せをかみしめる。



父が


そして家族がくれた幸せだと思っていた。



そうして父は帰らぬ人となります。 拓馬は桜の花にこの1年の激動を思い起こします…



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