Everyday,everynight(4) | My sweet home ~恋のカタチ。

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せつなくてあったかい。
そんなラブストーリーがいっぱいの小説書いてます(^^)

母が亡くなったのも


45だった。



あの時の母親と同い年なのか、と思うと


普通の大阪のおばちゃんだった母と比べて


気が遠くなるほど、彼女は美しかった。



「もうね、アラフォーとか図々しくて言えないわよ、」


紗枝は自嘲気味に笑った。


陸はその時はもやもやして何も考えられなかったが


彼女の年を聞いて自分の中の何かにスイッチが入った気がした。




「いえ・・・。 成田さんは・・・もう年なんかどうでもいいと思います、」


陸はぽつりと言った。


「え?」


「年なんか生きてりゃみんな食うんですから・・。」


そう言って彼女を見ると


紗枝は、アハハと笑い出し


「そや。 確かにな。 もうみんなあたしに悪いって思うのか年の話とかタブーみたいになってるし。 別に気にしてもないのに。 もう親もさすがに結婚とか言わなくなったし、」



彼女が地下鉄に向かって歩き出したので、陸は慌てて追いかけた。



「だから。 成田さんはそんなこと気にしなくてもいいんですよ、」


「だから。 気にしてへんて。」


紗枝は陸を見た。



「ま。 入社当時は冗談で『あたしは北都初の女性取締役になる』って言うてて。 それでも別に結婚を拒否していたわけでもなんでもなくて、縁があれば結婚して。 ま、その人が望むなら仕事辞めてもええかって普通のOLとおんなじふうに考えてた。」



なんだか彼女の話がもっと聞きたくて、陸は自分も改札に入って行った。


「結局、その縁がなかったんやろなあ、」


「成田さんほどの人が・・・ありえなくないですか?」


と言うとクルっと彼に向き直り


「バカにしてんの?」


といきなりキレられ


「バカになんかしてませんよ! 本当に心から、思います。」


慌てた。



「…あたしだって。 結婚したいと思う人くらいはいたわよ。」


紗枝は急に声のトーンを落として言った。



陸はその言葉にハッとする。



「でも。 やっぱり。 『縁』がなかったと思う。 そんなこんなしてるうちに、今に至るというわけ。」


そして一転、笑いながら言う彼女の気持ちが測れなかった。



なぜその結婚が叶わなかったのか。


とか


ちょっと知りたい気持ちもあったけれど、やはりそこには触れていけないと思い黙ってしまった。



「ていうか。 なんであんたもちゃっかり電車乗っちゃってんの? こっち方面?」


紗枝は地下鉄のつり革につかまりながら言った。


「え! い、いえ・・。 ちょっと違いますけど・・。 別に、家まで行くとかそんなんやなくてですね。 家の近くまでお送りするだけですから! ほんまに、」


なんか誤解されているんじゃないかと慌てて否定した。


その姿がおかしくて紗枝はまた笑った。



「怪しんでませんから。 すんません、ありがとうございます。」



オーバーに頭を下げた。


これはこれで


自分が男として見られていないのではないか、と残念な気持ちになるのは不思議だ。


そしてやっぱり紗枝が今まで独身を通していることに疑問を感じてしまう陸ですが…



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