January-1(1) | My sweet home ~恋のカタチ。

My sweet home ~恋のカタチ。

せつなくてあったかい。
そんなラブストーリーがいっぱいの小説書いてます(^^)

「関係なくなくない!」


浩斗は売り言葉に買い言葉みたいになり


もう何を言っているのか自分でもわからなくなった。



「・・ウチのママに聞いた。浩斗がこっちに帰ってきたわけ。 なんか・・浩斗らしくない、」


ひなたはそう言ってうつむいた。


「え・・」


「・・なんかさ。 ほんっとにあたしの記憶がおぼろげなころからずううっと一緒だったから浩斗は。 ウチの兄弟たちみたいな感じで。 浩斗のママとパパが別れた後・・あたしにはよくわかんなかったけど、パパがいないなんて全然気づかないくらい浩斗のママ、すっごく浩斗の事大事にしてたじゃん。 仕事が忙しいのにいつも笑顔で。 たまにママが幼稚園のお迎えに来るとき、浩斗・・お母さんの事見つけるとバーッと走っていって。抱きついて。 なんかそんなことばっかり思い出す、」


あまり記憶がいい方でも


感性が鋭い方ではない。


でも。


幼い頃の光景を辿ると、まるでその時に戻ったような気持ちになり


胸がいっぱいになる。



「すっごい・・仲良し家族だったから。 浩斗んち。 こんな形で離れ離れになっちゃっていいの? もっともっと浩斗が大きくなって自分がやりたいことができた時は・・お母さんも喜んでどこへでも出してくれると思うよ。 でも、こんなんじゃ逃げてるだけじゃん。 浩斗は、もっともっと頑張り屋だったし、強かったじゃん。」


胸がいっぱいになったら


涙が出てきた。



「やっと。 浩斗のママが幸せになれたのに。 浩斗がいなくなったら・・ほんっと悲しむから! あたしたち、まだ中学生じゃん。 一番大事なのって・・家族じゃないの?」


ひなたが涙を流しっぱなしで必死に訴える姿に


奏はそっとハンカチを差し出した。


それを当然のように手に取って、もう小さい子供みたいにゴシゴシと顔を拭くひなたに


浩斗は口をぎゅっと結んだあと


ついそれがおかしくてふっと笑ってしまった。


ひなたは涙を拭いた後、それを見て


「ちょっと!何笑ってんのよ!!」


こっちが真剣に話をしているのに、と思うと腹立たしかった。



「・・おまえ。 変わんねえな。」


浩斗はボソっと言った。


「え?」


「きっと。 これからも変わんねえんだろうな。」


何か浩斗を覆っていた固い鎧が外れたかのように


小さい時のままの浩斗の笑顔だった。



「・・ひなたに。 そう言われたくて。 戻ってきたのかもしれない。」


「あ?」


「だけど。 少しずつでも・・成長しねえとな。  いつまでもガキでいらんねえし。 思い通りに行かないからってスネて逃げるわけにもいかない。 おれは、母ちゃんや姉ちゃんや・・父ちゃんと家族になって頑張ろうって決めたんだから。 なんか。 スッキリした。」


浩斗は奏を笑顔で見やった。


奏はずっと黙って、そして同じような笑顔を返した。



浩斗はひとつ大きく息をつき、



「ま、今度会う時にはすぐにおれってわかんないかもしれねーなー。 すんごい背もでっかくなる予定だし、イケメンになる予定だし、そして英語ぺらぺらになっちゃって。 めっちゃグレード上がってる予定だから。」


ひなたをチラっと見て言った。


「はあ?」


「ま、おまえは変わらないだろうから・・一発でわかるだろうけどな。」


「ちょっと! なんなのよ、いきなり! シツレイな・・」


「外人になっちゃってっかもなー。 アメリカ人の彼女とか連れて帰ってきちゃうかもなー」


「どっから湧き出てくんのよ、その自信!」


二人のやりとりを見て、奏は思わず笑ってしまった。



「んじゃ。 おれ帰るわ。 ・・正月過ぎたら向こう戻るから。 心配すんな、」


浩斗はしゃべるだけしゃべって立ち去ろうとした。


「浩斗、」


「・・いつまでも同じじゃいられないもんな。」


浩斗は背を向けたままそう言って


チラっと奏を見やって


「じゃあな、」


と言った。


「・・じゃあ、」


奏も小さな声で言った。


いつの間にか北風が寒かったことも


忘れて。


ひなたは以前の浩斗に戻って欲しいと思うばかりなのですが・・


ひなたと奏のエピソードはここら辺からどうぞ!→→→


そしてそれ以前のひなたと浩斗のエピソードはここらへん→→→


で、その後の浩斗との別れの話はここらへんです→→→





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