Trust(17) | My sweet home ~恋のカタチ。

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せつなくてあったかい。
そんなラブストーリーがいっぱいの小説書いてます(^^)

「や、それは。 別に両親もそれはわかってるし。 高原くんこそ高原を出るわけにいかへんやん。」

紗枝は毛頭考えてなかったことに少し慌てた。

「・・それは、そうですけど・・。 でも、なんか『籍』ってそんなに重要かなって。 結婚という形をとるにはどちらかの籍に入ることになるわけですけど・・どっちでもええんやないかと思って、」

「や、それはアカンやろ。」

どっちでもいいとか言いだす陸にさらに慌てた。

「女性が男性の籍に入るのが当たり前って、おかしくないですか。」

彼は本当に優しくてまっすぐな性格なのだが

普通の人と少し変わったところがあって、こういうところで引っ掛かってしまう。

「いや、おかしいとかおかしくないとかやなくて。 あたしは。 高原の籍に入るもんやとばっかり考えてたけど、」

「紗枝さんはこれから大きな仕事を任される人です。 姓が変わるのはよくないんやないですか? 仕事上で、」

「それは・・」

正直、仕事上で不都合があるなんて全く考えていなかった。

「お墓問題もあるし、」

「は? お墓???」

また意外なことを言われて驚いた。

「お墓のことは。 きちんと考えなくちゃいけません。 ご両親とも・・もっと話し合って。」

陸は大真面目だった。

思わずちょっとのけぞった。


「あー、いちいちそういうこと考えそう・・。あたしはあんま気にしないけどー」

「いや、ウチの親もね。 ひとり娘やけどしゃあないって思ってるし。 逆にもらってもらえて感謝しかしてへんて。」

紗枝は南に相談をした。

「しかも。 お墓! 我が弟ながらほんま細かいな。」

南は笑ってしまった。

「まあ確かにね。 大事ですよ。 お墓問題は。 でも・・なんやろ。 彼はあたしにこれでもかって尽くしてくれるけど・・。 あたしはなんもしてへんなって思う、」

昨日からモヤモヤしていたのはそこだった。

「陸は。 それが嬉しいんやもん。 紗枝ちゃんのためになってるってことが。 別になんも我慢してへんやろし。」

「そうかなあ、」

「いてくれるだけで。 もうええんちゃう? どっちの籍に入るとか。 それはもう二の次くらいの気持ちなんやないかな・・」

紗枝はこの前自分が夏希に言った言葉を思い出してしまった。

彼女も。

彼に何かをしてあげたいって・・もうそれだけやったんやろな・・

その気持ちが痛いほど身にしみた。

真面目な陸に『お墓問題』まで持ち出された紗枝は・・・



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