July-2(18) | My sweet home ~恋のカタチ。

My sweet home ~恋のカタチ。

せつなくてあったかい。
そんなラブストーリーがいっぱいの小説書いてます(^^)

「ああ、いいのよ。 気にしないで、」

さくらは笑った。

翌日志藤は再び昼休みにさくらのもとを訪ねた。

さくらは大学の授業用の資料をまとめていた。

「ウチの親も久しぶりに若い子たちに来てもらって喜んでたし。 みんないい子にしてたしね、」

「そっか。 まあ・・下の娘が喜んでな。 今まで実家の京都くらいしか連れてったことがなかったから。 それだって調子のいい時しかいかれなかったし、」

「ななみちゃんはひなたちゃんよりも大人っぽくて。 なんか笑っちゃった。 どっちがお姉さんかわかんないくらいで、」

「学校も休みがちでひとりで本を読んでることが多かったし。 ウチの希望の星やねん、」

志藤は笑った。

「んで。 『あの二人』は別にお父さんが心配することはないみたいよ、」

さくらは資料をとんとんとテーブルの上で揃えながら言った。

「あ?」

「奏とひなたちゃん。 まあ・・ラブラブなんだろうけど。 でも。」

さくらはデスクの横に飾られたひなたからもらったフラワーボックスを見た。

「お互いのこと、すごく思いやってるし。 わきまえてるっていうか、」

「…今の子供は好奇心だけで先走るからな。 もう中3やし。」

志藤はまだ心配していた。

「そりゃ。 これからどうなるかはわかんないけど。 もっとつきあいが深くなっていくかもしれないし、・・大きな波がやってくるかもしれない。 いつまであんな風につきあってられるかも、わかんないけど。 でも。 あの子たちなりに真剣なんだなって・・思う、」

さくらの話に志藤は黙り込んでしまった。

「・・奏の。 演奏会の方はどやった?」

志藤は話を変えるように聞いてきた。

「うん。 よかったよ。 んで、もう若い女の子たちのファンがついちゃったりして。」

「え?」

「これから奏がもっと世に出て行ったら・・もっと女の子たちからキャーキャー言われちゃうかな。 ビジュアルでもきっと売り出せるよ、」

さくらは冗談めかして笑った。

そのあと、急に真面目な顔になって

「・・これから。 どうしていったらいいかなあってちょっと考えたりする、」

志藤を見た。

「これから・・」

「今は。 来年の受験に向けて、奏が藝高に受かるように指導していくことが最優先なんだけどー。 それと並行して、コンクールも考えなくちゃいけないかなとか、」

「うん・・」

「奏がどこの高校に行くことになったとしても。 その先も考えないといけないし、」


ぼくは、篠宮先生と世界に行きます


大我から聞いたあの言葉はさくらの何かを刺激した。


「奏は。 日本で終わらせたくないの。 あたしにどこまでの力があるのか。 いつまで奏を教えていられるのか・・わからないけど、」

さくらの思いが痛いほど伝わる。

「梓さんも設楽さんも。 奏のことは全てあたしに任せてくれるって言ってくれてるけど・・」

さくらは机の上のカレンダーを見た。

さくらもこの帰省で新たな思いを胸に抱いて・・
 


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