「こっち、来て。」
瑠依の部屋は6畳くらいのリビングがあって、となりの部屋はものすごく狭いが一応寝室になっている。
そこに手招きされて
「ちょ・・」
小和はもう目が回りそうだった。
彼女が恐ろしく固まっているのに気づいて
「え? あ、違う! 違うから!」
瑠依は思いっきり首を振った。
「は?」
「ここ!」
と、ほぼベッドが占拠している部屋のクローゼットを開けた。
そこには何も衣類が入っておらず、マットレスが壁にピタっとくっつけてあった。
瑠依はサックスを取り出して、その中で扉を半分占めていきなり吹き出した。
え…
小和は目をパチクリさせて立ちんぼうになった。
ロミオとジュリエット
What is a youth…
切なく、甘く。
彼のサックスの音色が心に染みいる。
どーしよ…
泣きそう・・
小和は呆然と聴き入ってしまった。
最後の音が消えた後、
「ここ、角部屋でこのクローゼットの向こう、外だから。 隣の人に聞いたけど聴こえないって言ってたからたまに練習してんの、」
瑠依はそう言って笑った。
なんでもないことみたいに。
小和は手でそっと涙を拭った。
「・・ありがと、」
そしてぽつりとそう言った。
「あたしに。 聴かせようと思って?」
瑠依はその質問にニッコリ笑った。
「なんか。 ヘンなこと、すると思った?」
そしてそんな風に言われて。
「・・もー、」
いつもだったらカッとなって怒るところなのだけれど。
うつむいて笑ってしまった。
瑠依はそんな小和にそっと近づいて片手で彼女の背中を引きよせてキスをした。
びっくりしている彼女のその顔を見て、ふっと微笑み、もう一度唇を重ねた。
小和だけにサックスを聴かせようと瑠依は彼女を連れてきました・・
奏の登場はこのへんから→★
奏が北都家に下宿するいきさつからさくらとの出会いはこのへんから→★
お話が長くなっております。よろしかったら読んでやってください・・
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